飲食業経営ノウハウ

福しんがAI自動発注システム採用。人手不足対策と業務改善を目指す

2022年09月14日

福しんがAI自動発注システム採用。人手不足対策と業務改善を目指す

飲食業界を悩ませる人手不足だが、近年はその意味合いが変わりつつある。以前のように「募集しても人が集まらない」というより、HACCP対応や食材・衛生面の管理、人員・労務管理など細々としたバックオフィス業務が増えたことで、現場がより一層「人手不足感」に悩まされているのだ。

今回は人手不足に対して、自動発注システムの導入などで解決を図っている株式会社福しん代表取締役の高橋 順氏に、具体的な取り組みや実践のコツを伺った。

店舗運営で管理しなければならないものが増えている

福しんがAI自動発注システム採用。人手不足対策と業務改善を目指す

株式会社福しん
代表取締役 高橋 順 氏

高橋社長が、ラーメン・定食チェーン店「福しん」に入社したのは2000年。店舗勤務から店長、エリアマネージャーを歴任し、2006年に代表取締役に就任した。以来20年以上にわたって飲食業界を見続ける中で、人手不足を強く実感してきたという。

「30年以上前のバブル時代から、飲食店の人手不足といえば『飲食業はちょっと…』と敬遠されて人が集まらないというような意味合いでした。確かに昔も今も、基本的に人は足りていないという側面はあまり変わっていません」

しかし、人手不足の意味合いは昔と今で大きく異なるという。

「現在は、昔の飲食店に比べて管理しなければいけないもの、記録しなければいけないものがどんどん増えています。HACCP関連や労働時間の管理、有給消化などさまざまな労務関連、それから衛生面の管理。本部も店舗も増え続ける管理業務に時間を取られすぎているのです。その結果、現場が本来やるべきサービス対応や商品開発に時間を割けず、近年ではより強く人手不足を感じる要因になっています」

そこで福しんでは、増え続ける管理業務をDXで効率化しようとさまざまな試みを行ってきた。まず取り組んだのは、食材の自動発注だ。

20年前に自動発注システムの導入を検討するも、当時は課題が山積みだった

福しんで自動発注システムを導入しようとした経緯は、約20年前にさかのぼる。それ以前は電話で発注しており、ミスの多さや通話にかかるコストが高いことが課題だった。これをデジタル化するため、自社専用システムの開発を進めたのがきっかけだ。

「ただし当時は、3つの理由からうまくいきませんでした。まず、売上予測の精度が低かったこと。当社はもともと土日と平日の変動率に差があまりなく、店舗によっては5%も違わないケースもありました。ほぼ毎日同じような売上推移だったために、1ヶ月間同じ売上予測でも問題がなかったのです。そのような状態から、いきなりシステムで売上予測をしようとしたためにかえって混乱してしまいました」

さらに自動発注をするためには毎日残量を計測しなければならず、棚卸業務の負担も増えてしまったという。

「毎日なくなるような物品であればいいのですが、フライヤーの揚げ油などは1週間に1回、もしくは5日に1回交換すればいいのに、発注しない日にも毎日『在庫:1』と打ち込まなければならない。これが意外にも負担だったのです」

3つ目の課題は、人の手で発注していた頃よりも発注量が増えてしまったことだ。20年前のシステムも過去の売上から必要食材を予測するものだったが、現代の技術に比べて計算の精度が低かった。当時は目安の1.1倍(110%)の食材があればいいというざっくりとした計算だったため、特にロットが少ないものやリードタイムが長い物品などは「110%で足りないと困るから」と120%、150%と発注量がどんどん増えていった。

せっかくシステム化を進めたにもかかわらず、業務が増え、発注量も増えて原価率が上がってしまった。その後、今から10年ほど前にも別の自動発注システムを検討したが、やはり在庫を数える作業量が今までの倍になってしまうことが判明し断念したという。

AI自動発注に感じた、大きな可能性

長年にわたり業務効率化につながるITツールを探していた高橋氏だが、株式会社Goalsが提供する飲食店特化型AI自動発注サービス『HANZO』には、当初から大きな可能性を感じたという。

「これまで課題だった売上予測の精度や、棚卸業務の負担軽減などをAIで解決できるのではという期待がありました。AIの技術は年々進化していますから、これを活用すればDXによる業務効率化が実現できるのではと考え『HANZO』の導入を決めたのです」

高橋社長にはこれまでにさまざまなサブスクリプションのシステムや、UberEatsのオンラインデリバリーなどに対応してきた経験があり、店舗への導入もスムーズだった。導入スケジュールをしっかり引き計画通りに実行したこと、ミーティングやチャットツールなどで頻繁にコミュニケーションがとれる環境を整えたことが功を奏したという。一方で売上データの連携については、自社オリジナルのPOSシステムを使っていたことから、データの受け渡し方法の調整が必要となり、やや苦労したという。

「私は過去にシステムエンジニアをしていてPCやデータベースに関する知識があったものですから、私が外部のオリジナルPOSの作成会社と当社、それからGoalsさんとの架け橋になってやりとりを進めました」

また商品マスタ登録についても、すべてのアイテムを登録するには時間がかかったそうだ。

「当社はラーメン・定食店なので商品品目は他社よりも少ないのですが、それでも全部のアイテムを登録するには、かなり時間がかかりました。あらかじめ綿密な打ち合わせを行って導入の流れを確認し、確実にスケジュールを進めることで乗り切ることができたと思います」

発注業務を完全自動化し、店長の負担を減らす

AI自動発注システム『HANZO』導入後は発注量も適切で、現場の負担軽減につながっているという。

「HANZOでは来客数と食材の消費量をAI予測し、必要発注量を動的に算出してくれます。人間というのはなかなか自動化ツールを信じられないものですが、たとえば車にしても、人が運転するよりも自動運転の方が事故は少ないという話もありますから、将来的には発注に関わる部分をすべて『HANZO』に任せていきたいと考えています」

高橋氏が思い描くのは「AI自動発注による人件費削減」というコストカット面ばかりでなく、たとえば営業終了後の作業を縮小することにより営業時間が拡大できるなど、プラスの効果だ。

「将来的には発注業務を店長の仕事から外して、バックオフィスやセントラルキッチンで行いたいと考えています。せっかく『HANZO』を導入するのであれば、とことん使い尽くしていきたいです」

メニュー情報のデータ化で、意思決定が迅速に

さらに、『HANZO』とメニュー管理システム『メニューPlus』の連携により、メニューごとの原価をリアルタイムで反映できるようになったという。

「これまでのレシピ情報は、調理の担当者が変わるたびにExcelが変わり、ファイルがどこにあるのかも分からない状態だったため、紙ベースで共有をしていたこともあります。原価管理においても、商品や店舗によって仕入価格が変わっても原価が反映されていないことがありました」

しかし、システムを活用してレシピ情報をクラウド上に保管したことで、原価管理の課題が解消され、経営の意思決定が迅速に行えるようになったという。

「最初にメニュー情報をデータ化する段階では時間と費用がかかりますが、一度データ化してしまえばメリットばかりとなるのです。直近では、ある原材料に対して、代替品で販売を続けたほうがいいのか、販売自体を取りやめたほうがいいのかすぐに決定できた例もあります。このように福しんでは色々な場面でクラウド化、DX化を進めているため、店舗を訪れなくても最新のデータの確認ができ、経営の意思決定をすぐにして対応することができるようになりました」

DXで本来のサービスにかける時間を増やしたい

『HANZO』が作成した売上予測を福しんのシステムに取り込み、シフト作成や人員配置に活かしたいとも考えているそうだ。

「将来的には、社内の利益管理にも活かしたいです。さらに今後は契約書や請求書、領収書など書類関連のDXも進めていきたいと思っています。これからは書類の保管もどんどんクラウド化されていくでしょう。中小のチェーン店でも、SaaS(Software as a Service:インストール不要でインターネット経由で利用できるサービス)を使うことにより、HACCP関連や保健所の書類など大量の書類を大企業なみに一元管理できるようになります。総合的にDX化を進めることで現場の業務を効率化し、接客サービスや商品開発など、本来注力すべき業務にかける時間を増やしていきたいです」

飲食店特化型AI自動発注サービス『HANZO』

株式会社福しん

設立:1972年10月
本社所在地:東京都豊島区目白5丁目31番3号
事業内容:飲食店の運営、飲食店向けコンサルティング、中華食材の販売、不動産事業
代表者:代表取締役社長 高橋 順
企業サイト:http://fuku-sin.co.jp/

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