飲食業経営ノウハウ

飲食店の利益率を改善する方法とは?計算方法、コスト見直し対策まとめ

2022年09月02日

飲食店の利益率を改善する方法とは?計算方法、コスト見直し対策まとめ

コロナ禍の影響で長きに渡り間売上が落ちていた飲食業界だが、現在は第7波の影響はあるものの営業制限は実施されず、少しずつ持ち直してきている状況だ。だが来客数や売上が回復していても、利益が出せていないと経営難になってしまいかねない。

今回は飲食店の利益率の計算方法や、コロナ禍でも利益率アップにつながる対策について解説していく。

飲食店の利益率とは?粗利、営業利益の概要と計算方法

2020年度の飲食業界の営業利益率は前年度比マイナス2.71%となり、赤字になっている企業が多かった。
参考:経済産業省「2021年企業活動基本調査確報-2020年度実績-(PDF)
参考:業界動向SEARCH.COM「飲食業界

利益にはいくつか種類がある。今回は特に、「粗利益」と「営業利益」に関して解説する。

粗利益とは、飲食店が提供したメニューの利益の指標となる数値だ。店舗の売上高から原材料費を引いたシンプルな計算式となる。言い換えれば、商品の付加価値がどの程度なのかを示したものが粗利益と言えるだろう。

<粗利益率の計算方法>
売上高 - 原材料費 = 粗利益
粗利益 ÷ 売上高 × 100 =粗利率(%)

 

営業利益とは、売上高からメニューの原材料費だけでなくその他の経費も差し引いたものだ。つまり、最終的に飲食店の手元に残ったプラス分が営業利益となる。経費にも様々なものがあり、毎月の金額が変わるアルバイトの人件費や光熱費、原材料費などが「変動費」、お店の稼働に関係なく引かれる家賃や正社員の人件費などが「固定費」になる。

<営業利益率の計算方法>
売上高 - 経費(変動費+固定費) = 営業利益
営業利益 ÷ 売上高 × 100 = 営業利益率(%)

 

関連記事:原価・利益率の計算方法とロスを減らす在庫管理のコツ

業種毎の利益率の目安

そもそも自店舗の利益率が適正かどうかは、その業態の相場を知っておかないと判断できない部分も多い。2020年以降は、飲食業界で見ると利益率が大きく減少しているが、業態によってはプラスになっているケースもある。まずは自社の飲食店が目指すべき利益率の目安を知っておこう。

【業態別の利益率】
業態前年度比利益率黒字企業の利益率
一般飲食店 2.4 % 5.8 %
食堂、レストラン 2.3 % 5.5 %
一般食堂 1.5 % 5.4 %
日本料理店 2.2 % 6.2 %
西洋料理店 2.4 % 4.8 %
中華料理店 2.8 % 6.4 %
朝鮮料理店 1.1 % 6.0 %
カレー料理店 2.5 % 3.2 %
そば・うどん店 3.6 % 8.1 %
すし店 3.0 % 6.7 %
喫茶店 1.8 % 4.9 %
その他の一般飲食店 2.3 % 6.6 %
お好み焼き屋 2.0 % 5.5 %
ハンバーガー店 3.2 % -
遊興飲食店 2.1 % 5.2 %
料亭 1.7 %  -
バー、キャバレー、ナイトクラブ 1.8 % 4.8 %
スナック 1.9 % 3.9 %
酒場・ビヤホール 2.2 % 5.3 %

参考:日本政策金融公庫「小企業の経営指標調査(2019年度)」一部抜粋

自店舗の直近の利益率が業界相場よりも低い場合は、早急に改善や対策を打ち出すことが必要になる。まずは自社の利益率が低い理由を調査し、原因を把握しよう。

飲食店の利益率が低い理由とは

売上が上がっているにも関わらず、黒字化しきれていないのは利益率が低いことが原因の1つだ。飲食業界は、他の業界と比較しても原材料費と人件費にかかる出費が多く、黒字化経営を続けることは難しいと言われている。その要因を紐解き、意識してコントロールしていこう。

利益率の低いメニューの注文数が多い

飲食店では、メニューによって利益率の高いものと低いものがそれぞれ存在している。例えば、「刺身盛り合わせ」のようなお店の看板メニューは基本的に材料費が高いものを使っているため原価率も高い。一方で、枝豆やフライドポテトのようなサイドメニューだと、原価も安く利益率が高い。

もちろん顧客を呼び込むためには、原価が高くても見栄えの良いメニューを目玉商品にする必要がある。原価の高いものと低いものをバランスよく提供できる工夫をしたい。

他店との価格競争

近場に同業のライバル店がある場合、顧客を取り合ってしまうケースも多々ある。そこで他店との差別化を図るために、安い価格設定でメニュー提供することもあるだろう。しかしメニューの値下げが常習化してしまうと、利益率の大きな低下を招いてしまう。

他店と差別化するのであれば、価格以外にもメニューの目新しさや味、原材料の原産地、接客の品質改善やワンランク上のターゲット層に絞ったアプローチなどといった工夫を積極的に行うことが望ましい。特にコロナ禍以降は、顧客のニーズも大きく変わっている。半個室を増やして少人数のお客様の来店に特化させるほか、付加価値のあるメニューやサービスの提供、デリバリーやテイクアウトなどを実施するのも1つの手段だ。

コストが増大している

飲食店で売上や集客アップを図ることは重要だが、それにばかり目がいっていると対策に費やした費用がかさんでしまう。

<コスト見直しのポイント例>
・アルバイトのシフトが必要のない時間帯に多くなっている
・必要以上の食材を使うオーバーポーションや、発注量の調整ミスによる食材廃棄
・原材料高騰への対策がおろそかになっており発注金額が高くなっている
・販促コストがかかっているが、それを上回る効果を出せていない

もし自店舗に当てはまる事項がある場合は、利益率アップに繋がる対策を行おう。

利益率の高い飲食店に変える6つの工夫

コロナ禍において飲食店が利益率を高めるには、売上拡大とコスト削減の工夫が求められてくる。施策の一例を紹介する。

キャンペーンや期間限定イベントで高付加価値メニューを提供

特別感のあるフェアやキャンペーンを実施している飲食店も多い。例えば、地元農家から仕入れた野菜や希少部位の食肉、漁港直送の鮮魚などを使った付加価値のあるメニューは高単価で販売できるうえ、自店舗のコンセプト設定にも繋がりやすい。

デリバリーやテイクアウトの導入

コロナ禍で店内飲食だけでなく、テイクアウト・デリバリーのニーズが顕在化した。特にデリバリーでは、実店舗で飲食をする場合とデリバリーをする場合で価格設定を変えたり、利益率の高いメニューをデリバリーのメニューの中心に並べたりしている飲食店もある。

関連記事:今からはじめる飲食店のテイクアウト・デリバリー売上・集客力アップ策

少人数向けの宴会メニューを追加して集客向上

昨今、大人数での宴会やビジネスの接待などで飲食店を利用する顧客は減少し、今後もこの傾向は続くと推測される。一方で、少人数や1人での来店需要は高い傾向にあるため、既存の宴会メニューなどを減らし、少人数向けのセットやコースを追加する方法も有効だ。

関連記事:ABC分析で利益体質に!飲食店向け計算方法・メニュー見直し・注意点を解説

原価と原材料の見直し・価格改定

原材料が高騰したからといって既存メニューの値上げを実施するだけでは、客離れを招きかねない。価格据え置きのまま原価率を抑えられるよう、仕入れの見直しは重要だ。仕入れ品や仕入れ先の情報はこまめにチェックしよう。

しかし原材料が高騰する中で、食材の仕入れ金額を抑えながらもメニューの質を維持するのは難しい。価格改定やメニューのリニューアルを行って原価率をコントロールする方法も必要だ。下記の記事をぜひ参考にしてみてほしい。

関連記事:止まらない飲食店の値上げ。売上と客数を落とさない食材高騰対策方法

適切な在庫管理でフードロスを減らす

水産品など消費期限の短い生鮮食材を多く扱う場合や、賞味期限の管理がおろそかになっていると廃棄が出やすくなる。これらのフードロスを削減できれば、その分のコスト削減ができる。

まずは自店舗の調理マニュアルの見直しや適正在庫を把握するところから始めよう。

関連記事:適正在庫とは?飲食店における在庫の把握・維持方法のポイント

人件費の見直し

店舗数が増えるほど人件費もかかってくる。一方で、人員を削りすぎてしまうと従業員1人あたりの負担が大きくなるため、労働力のバランスを確保することも重要だ。

対策の一例として、配膳ロボットやセルフオーダー、セルフレジの導入などが挙げられる。コロナ禍では、人同士の接触を避けることで感染対策できるというメリットもある。

関連記事:飲食店経営の要点。変動費・固定費それぞれのコスト削減方法

FLコストとFL比率の適正値を意識する

飲食店にかかるコストの中でも、メニューの原価と人件費は変動費に属するため、比較的コントロールがしやすい。2つの費用はFLコスト(Food:原価・材料費、Labor:労働)とも言われ、FoodとLaborの比率(%)をどれほど抑えられるかが店舗の利益に直結する。

一般的にはFL比率が70%を超えると経営状態はかなり厳しく、65%ほどであってもほとんど利益が出ないと判断されるため、60%以下の適正値に抑えることが望ましい。この数値を目標に食材費を25〜40%、人件費を35〜20%ほどに調整できれば利益を確保しやすくなる。

関連記事:飲食店経営に欠かせない、FLコストとFLコスト比率とは?

損益分岐点の把握も必要

損益分岐点を意識すると、売上の目標金額を設定しやすい。損益分岐点とは、赤字と黒字のちょうどボーダーラインになる指標のことだ。「変動費・固定費」と「売上高」が同じ金額になり、収益が±0になる数値だ。

<損益分岐点の計算方法>
固定費 ÷(1 - (変動費 ÷ 売上高))= 損益分岐点

 

損益分岐点を超えれば黒字になり、下回れば赤字になる。利益が発生するために最低限必要な売上高のため、損益分岐点をしっかりと把握しておきたい。例えば「変動費が○○くらいだから、今月の売上目標は最低○○以上が必要」という具合に考えることができる。

関連記事:飲食店の売上・コストの考え方と、経営数値の活かし方

原価率の計算や管理が大変!そんなときこそIT管理

飲食店が利益を出すには、売上とコストを把握する必要がある。売上はPOSなどを導入すれば、日ごとの金額がすぐに計算できるだろう。一方でコストは変動費と固定費に分かれ、変動費は食材原価やアルバイト人件費などがある。飲食店が日々の営業の中で、仕入れ品ごとの単価や数量、アルバイト一人ひとりの勤怠時間をエクセルなどで入力していると、非常に手間がかかり人員のリソースも割かれてしまう。エクセルなどで管理するには限界がある。

スムーズに変動費を管理するには、管理システムを導入するのもひとつの手だ。例えば「BtoBプラットフォーム 受発注」なら、発注方法をシステム化することで入れ品の価格や数量を自動計算できる。素早く正確なコスト管理をしたいのであれば、ITツールを利用するのが現実的だろう。

売上や経費のバランスを考慮し、徹底した数値管理で利益率を向上

コロナ禍やロシアウクライナ問題による原価高騰などの影響を受けて、飲食店の利益アップが難しいと感じている飲食店経営者も多いだろう。今の時代に適応した事業の創出や消費者の需要にマッチしたサービスを提供することが必要だ。

売上や経費、利益率だけではなく、お客様へのサービスとのバランスをうまく取りながら、安定した利益を確保して継続的な飲食店経営につながる改善をしていきたい。

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