企業インタビュー

串カツ田中・インフォマート、合弁会社設立。店舗運営アプリ『V-Manage』で店長の本来業務を支援

2022年07月15日

串カツ田中・インフォマート、合弁会社設立。店舗運営アプリ『V-Manage』で店長の本来業務を支援

(左)株式会社串カツ田中ホールディングス 取締役副社長 COO/株式会社Restartz 取締役 大須賀 伸博 氏
(右)株式会社インフォマート コーポレート・デベロップメント 新規開発ラボ 部長/株式会社Restartz 代表取締役 箱崎 竜太郎 氏

コロナ禍に加えて材料費の高騰、人手不足など課題が多い飲食業界。これからはお客様に支持されるため、高付加価値のサービス提供が一層求められる。しかし、飲食店の店長は雑務対応が多く、本来すべき接客やスタッフ教育に割く時間が取りづらいのが現状だ。

このような課題を解決すべく、串カツ田中とインフォマートは2021年10月に合弁会社Restartzを設立。22年10月に店舗運営プラットフォームアプリ『V-Manage』をリリースする。新会社のトップを務める2名に、課題の要因や将来の展望について語り合ってもらった。

コロナ禍の経営は「生産性の向上」がカギ

株式会社串カツ田中ホールディングス 取締役副社長 COO/株式会社Restartz 取締役 大須賀 伸博 氏(以下、大須賀氏):私はもともと串カツ田中で店長や営業部長を経験したのちに現在の役職に就きました。2年前に立ち上げたIT戦略部では、本部と店舗をつなぐシステム関連を担当しています。

株式会社串カツ田中ホールディングス 取締役副社長 COO/株式会社Restartz 取締役 大須賀 伸博 氏

株式会社串カツ田中ホールディングス
取締役副社長 COO
株式会社Restartz 取締役
大須賀 伸博 氏

コロナ禍で最初の緊急事態宣言が出て飲食店が完全に止まった際、色々なことを考えました。先の見えない状態で何をしていいのかまったく分からない。そんな中、売上の追求はもちろん大事ですが、同時にこれから売上が100%に戻ることはないだろうとも感じたのです。

さらに当時は飲食店が感染源という風潮もあり、人手不足も加速していくかもしれないという危機感もありました。だからこそ現場のオペレーションを変えて生産性を上げ、利益率を高めていかなければと考えました。

株式会社インフォマート コーポレート・デベロップメント 新規開発ラボ 部長 株式会社Restart 代表取締役 箱崎 竜太郎 氏

株式会社インフォマート
コーポレート・デベロップメント
新規開発ラボ 部長
株式会社Restart 代表取締役
箱崎 竜太郎 氏

株式会社インフォマート コーポレート・デベロップメント 新規開発ラボ 部長/株式会社Restartz 代表取締役 箱崎 竜太郎氏(以下、箱崎氏):飲食店の多くは人手不足と、管理業務の負担という課題を抱えています。ただでさえアルバイトの採用や発注、シフトの管理や店舗の清掃など膨大な管理業務に追われているのに、衛生管理やHACCPなどやるべき業務はどんどん増えていきます。またその一方で、働き手は減っていく時代です。

日本の生産年齢人口(15-64歳)の推移グラフ(出典:国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」)2000年以降は減少の一途をたどる

国立社会保障・人口問題研究所「日本の将来推計人口(平成29年推計)」

飲食店の店長は「1人で会社を経営しているようなもの」

大須賀氏:店長時代に実感したのですが、マネージャーは管理業務に時間を取られて、なかなか接客に集中できません。ホール業務と厨房業務、清掃に加え、半月ごとのシフト作成、毎週の報告、発注など属人化したタスクは100を超えることもあります。さらに、アルバイトの面接・教育などの人事業務のほか、月末はPL表を締め経理業務や備品確認など総務業務もやります。

店長がやるべき業務は幅広く、ひとつの会社を経営しているようなもので、圧倒的にマンパワーが足りません。まずはこの業務を時間軸でしっかりと管理して、属人化させないことが大切です。管理コストを削って生産性を上げ、本来やるべき接客に注力できる体制を作りたいですね。

箱崎氏:業務を属人化させないことは非常に大切です。ある飲食店では、ガスの元栓を締め忘れないよう、毎日10店舗の担当者から閉店後にLINEで元栓を撮影した写真を送らせているといいます。全店舗そろったかのチェックを毎日毎日、しかも閉店後にしているのです。ルーチンだから慣れればいいということではなく、未実施の店舗があればそのタイミングできちんとアラートが来て気付けるようにするなど、手数をひとつでもふたつでも減らしていかなければ生産性は上がりませんし、現場やマネージャーの負担も減りません。

両社が組めばスピード感をもって課題を解決できる

大須賀氏:こうした課題を解決しようと、はじめは串カツ田中で社内ツールの開発も検討していましたが、インフォマート様と共同で取り組むことでよりスピード感が出るのではないかと考えました。そこで、両社の役員が知り合いだったこともあり、お声をかけさせていただいたのです。

箱崎氏:串カツ田中様からお話をいただいたときは、すごいチャンスだと感じました。我々も『BtoBプラットフォーム』というサービスを展開していますが、もっと飲食業界に踏み込んだ、ITによる支援ができないかと考えていたからです。飲食店の生産性向上やオペレーションの改善は、当社のもつ受発注のノウハウとはまた領域が違いますし、技術だけでなく現場に軸足を置くことが何よりも大切です。それはインフォマート単独では難しい。大規模チェーンを展開されている串カツ田中様と一緒に会社を設立し、飲食業界全体に向けてしっかり取り組んでいくことでシンボルにしたいという思いもありました。

大須賀氏:ITツールで課題を解決することは理にかなっています。我々のような外食企業とインフォマート様が組めば、セキュリティ面でも良いものができるでしょう。

『V-manage』でルーチン業務を最適化する

店舗運営アプリ『V-Manage』イメージ画面。スマホ、タブレット、PCなどで利用可能。

V-Manageイメージ画面

箱崎氏:アプリ開発のやり取りを進める中でさまざまな案を検討しました。たとえばチャットやシフト関連のツールはすでにあるけれど、ルーチン業務の確認とチェックシートのデジタル化を提供するサービスは世の中にあまり出ていないことに気が付いたのです。業務のチェックはExcelでも可能ですが、わざわざパソコンを開いて作業をするのは煩わしい。そこで『V-Manage』のアプリで、ルーチン業務を最適化できればいいなと考えました。

大須賀氏:V-Manage』アプリケーションの個人一覧からページを開くと、店舗で開店から閉店までに行う作業内容が、全て時間軸で出てきます。やり終えたらそこにチェックをつけることができます。飲食店ではある程度タイムスケジュールが決まっている業務が多く、たとえば当社は17時が発注の締め切り時間ですが、16時30分にアラートが出るだけでも本当に助かります。

箱崎氏:コンセプトは「飲食店に、もう1人のマネージャーを」です。第1ステップとしては必要な情報を明確に提供し、行った状態をきちんとデータとして保存します。やるべきことを1ヶ所に全て列挙し、その情報を本部や店舗に紐づけて保管していくことが非常に大切なのです。

あとはITサービスで現場の手数を減らし、やるべきことのチェックを簡単にできるようにしたいとも考えました。現在はタスクを登録してそれを見る、チェックするという仕組みまでは完成しています。6月24日に串カツ田中様の3店舗での試験導入も開始しました。今後は夏以降に他の外食企業様に試験導入していただくことも考えており、フィードバックを得てさらに使いやすいツールにしていきます。

ルーチン業務が一括管理できるポータルサイトに

V-Manageアラート画面(イメージ)

V-Manageイメージ画面

箱崎氏:将来的にはチャットやシフトなど、他社のサービスと組み合わせていくことで、ポータルのサイトを見れば飲食店に必要なものがだいたい揃っていて、今何をしなくてはいけないか、今重要な情報は何かが見えるようなところまで行きたいと思っています。すべての情報を店舗や本部に紐づけ、人が入れ替わってもノウハウを引き継げるようにしたいですね。

大須賀氏:シフト管理のシステム化はぜひ実現したいと思います。現状はどの店舗でも、最初に全員からシフトを提出してもらい、調整するという無駄な作業が発生しています。これがアプリケーションによって、シフトを出してほしいのは○日の△時だと表示できると、削る作業が最小限になるでしょう。あとはシフトを組む際にも店長のさじ加減ではなく、ロジックで個人のスキルやキャリアに基づいて自動的に配置できるようになれば、工数・精度ともに改善できると思います。

「すべてが連動する世界」を目指して

箱崎氏:究極的なゴールとしては、接客サービス以外のルーチン業務をほぼ全自動化したいですね。ゴールは「全てが連動する世界」です。たとえばPOSの情報を取り込んでメニューに分解して、売り上げが分かる。オープンデータを使い、来客数の予想から従業員がどれぐらい必要かを分析し、ポジション別に必要な従業員数を配置する。ということを考えています。配置の際にスタッフの属人的な評価をどこまで入れるかは個人情報保護法などの点から難しいですが、「キッチンには2人ほしい」「ホールは3人で」などの設定と、スタッフの申請に基づいてシフトが勝手に埋まっていくようなことは実現できると思います。

大須賀氏:家庭にも AlexaなどのようなAIアシスタントが普及してきて、時間軸でいろんなものを設定できたり、動かしたりという経験が少しずつ広まっています。それに近いことが飲食店でもできるのではないでしょうか。お米の炊飯ひとつとっても、炊飯器とメニュー情報をつなげて自動的に「何時に○合の米を炊くように」とアシストしてくれるなど、そういうところから飲食店のインフラツールとして広がると、箱崎さんのおっしゃる全自動化の可能性も見えてくるでしょう。

マネジメントコストを削減し、おもてなしに注力

串カツ田中・インフォマート、合弁会社設立。店舗運営アプリ『V-Manage』で店長の本来業務を支援

箱崎氏:やることがまず1ヶ所に集まっていないと、それをどこまで自動化していいか、どの優先度で自動化していいかが分かりません。ですので、まずは『V-Manage』を切り口としてやるべきことを全て1ヶ所で明らかにしていきます。さらに、遅れがちなタスクがもし見えるとしたら、「ここから手を打ちましょう」みたいな会話ができるようになり、皮切りとしては非常に良いアプローチだと思います。

大須賀氏:そもそも私は、アルバイトさんや社員さんを管理する業務自体が不要だと思っています。それぞれがやることを理解して、それを見て動けるのであれば一番効率的ではないでしょうか。店長だった頃も「できることは自分たちでやってください」と任せていました。

ただし、方法やルールは明示します。今はそのルールを紙で提示していますが、将来的にはシステム化して能力に応じた発注業務をしてもらうなど、お互いにストレスのないルール作りをしていこうと考えています。すると今まで発生していた管理コストも減ると思います。『V-Manage』が店舗の指標となり、店の情報を店長だけでなく誰もが取れる状態のシステムになっていくことを期待しています。


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