企業インタビュー

原価のリアルタイム把握と本部のスリム化で、コロナ禍でも好調な居酒屋経営~ワンスプーン

2022年05月19日

原価把握や売上実績のリアルタイム把握で、コロナ禍でも好調な居酒屋経営~ワンスプーン

北海道札幌市を拠点に居酒屋業態を9店舗展開する株式会社ワンスプーン様。肉寿司、串揚げ、博多水炊き、炉端焼き、クラフトビールなど、いずれも異なる個店ベースの業態を出店し、業績を拡大してきました。

代表取締役の河野将士社長は“従業員が楽しめる店作り”を目的に様々なITツールを導入し、現場のモチベーション維持や業務の合理化を図ってきました。その具体策について、飲食業向け受発注システムの導入支援を行った株式会社サイトシーテック石垣舞子氏が伺いました。

株式会社サイトシーテック 営業部長 石垣舞子氏 株式会社ワンスプーン代表取締役 河野将士氏 株式会社ワンスプーン 取締役 料理長 笹田忠氏
株式会社サイトシーテック
営業部長 石垣舞子氏
株式会社ワンスプーン
代表取締役 河野将士氏
株式会社ワンスプーン
取締役 料理長 笹田忠氏

 

マルチブランド化で従業員のモチベーションを向上

石垣:飲食業界に入ったきっかけは何でしょう?

河野社長:私はもともと大阪の出身で、学生時代に京都のバーでアルバイトとしてバーテンダーをやっていました。そこで仕事の深みや楽しさを知って、飲食業界に進みたいと思ったのです。親の勧めもあっていったんは大手の外食企業に入社し、営業職のエリアマネジャーまで務めました。その後、25歳のときに、叔父が経営している飲食事業を持つ会社に入ったのです。やがて会社の再編があり、37歳のとき、札幌で4店舗を展開する会社の立て直しを任されて独立しました。それが2014年のことです。

石垣:現在の店舗展開はマルチブランド戦略ですね。どのようなねらいでしょう?

原価把握や売上実績のリアルタイム把握で、コロナ禍でも好調な居酒屋経営~ワンスプーン-メニュー写真

河野社長:ちょうど大手企業を辞める2005年頃から、飲食店に対する消費者の動向が変わってきました。パッケージ化された大手チェーンから客足が遠のいていると感じたのです。

また、例えば調理スタッフも、決められたレシピ通りに調理するよりは、まずは調理の楽しさを知るべきで、そのためには調理スタッフ自身が何を作るのか考えることが必要なのではないかとずっと考えていました。決められたものを調理するのではなく、みんなでメニューを考え議論が活発になる。そのようなお店作りをしていくほうが現場のモチベーションにつながります。そのような考えで、個店ベースで店舗展開しています。

現在の業態は30坪ほどのサイズがメインで、肉寿司、串揚げ、博多水炊き、炉端、クラフトビール、百貨店に入るファミレス、アジア料理など、出す店ごとにコンセプトを変えています。スタッフは自分の店に対する愛着が強いのは確かですね。あまりに好きすぎて「別の店に異動しないか」と話を向けると、「異動するくらいなら辞めます」と脅されたこともありました(笑)。

経理業務をアウトソーシング。本部のスリム化がコロナ禍経営のカギに

石垣:居酒屋業態はコロナ禍の影響は大きかったのではないですか?

河野社長:もちろん影響はありましたが、深刻というわけでもありませんでした。まん延防止等重点措置が明けた2021年の10~12月、ちょうどオミクロン株流行前の第1四半期に関しては、現在展開している6店舗については2020年の売上とほぼ同水準に回復して、うち2店舗は2019年の売上を超えていました。

この2年間、お客様もご来店の回数が少なかったので、それまで半年に一度していたグランドメニュー変更をいったんやめて、大手のグルメサイトもほぼすべて契約を切りました。調理は正社員がすることが多くクオリティを保っていますが、ヒット商品があったわけでもありません。ですからなぜ売上が伸びたかは分かっていません。ありがちですが、大変な中でも現場のメンバーがきちんとした料理を出して、接客をがんばってくれたことが大きいと思います。

また当社では、本部をスリム化するため経理業務は毎月10万円程度でアウトソーシングして、その分を現場に還元するようにしています。開発や広報、経理などはアウトソーシングしたほうがコストは下がり、精度は上がるのではという考えです。そもそも飲食業に携わるようになってから、この業界は本部に人が多いと感じていました。飲食業の利益率はどの企業もあまり変わらないので、いかに本部をスリム化できるかがコロナ禍の今こそ店舗経営で重要になります。

当社が経理業務をアウトソーシングできるのも、日々のコスト管理をITツールで処理しているからです。請求書やFAXなどの紙の帳票から経理データの入力を依頼すれば、時間がかかり高くなってしまいます。特に仕入れはインフォマートの『BtoBプラットフォーム受発注』を使い、納品伝票などはデータで処理しています。

FAXで発注すると日次精算してもコストが合わなかったり、帳票の紛失も起こったりします。システムならすぐにデータの処理ができるので、アウトソーシングに向いているのです。この作業をすべて人の手で入力していたら、経理と人事を併せても最低1人分、30万円ほどかかるでしょう。システム利用料を考えてもコスト的にずいぶん安上がりで済んでいるわけです。ITの導入を悩んでいる方に教えてあげたいくらいです(笑)。

FAX発注からの解放で知った、「IT化は社内インフラの一部」

石垣:笹田料理長は受発注システムの使用に抵抗はありましたか?

取締役 料理長 笹田忠氏(以下、笹田料理長):私は料理の道に入って27年ほどになります。今となっては発注にFAXを使いたくはないですね。前職では仕入れのため毎日15枚ほどFAXを仕入れ業者さんに送っていました。文字が汚ければ品物が届かない、「1.0㎏」と書いたのを「10㎏」と間違われたこともありました。

また、店舗の営業が終わってから発注をするのですが、その時間帯は他店も同じ作業をします。仕入れ業者さんのFAXが送信中で送れず、結局1時間もFAXに張り付いていたこともありました。そのため他店より早くFAXを送ろうと、いまから思えばずいぶんムダな努力をしていたと感じます。

河野社長:そういった現場の実態を知っていたからこそ、社内インフラとしてITをしっかり整備しようと思いました。POSの導入や会計ソフトをクラウドで連動させて、経営数字をつなげています。手作業で入力するのは小口現金の取引くらいですね。

FAXで発注していた当時は、当月のコストは翌月15日か20日に経理が締めて帳票をまとめるので、実績が分かるのは翌々月でした。システムを使えば月次決算の締め処理が翌月5日には把握できるので、利益がわかります。利益がわかれば次の動きが見えてきますので、スピーディな経営改善に役立っています。コロナ渦中の業績回復についても、実績の数字をリアルタイムで把握できていることと無関係ではないと思います。

笹田料理長:料理人としても、受発注システムは重宝しています。たとえば発注書を検索するだけでグラムや金額が分かるので、すぐに原価を把握できます。他店舗がどんな商品を仕入れたかも見られるので、あの業態であの食材を仕入れたのならこういう料理になる、ではこの店ではこれをやってみようというアイデアにつながったりします。

また、仕入れ品の一覧画面を眺めて発注作業をしていると、業者さんが取り扱っている他の商品を知ることができます。レシピを考えている時に、閃いたタイミングですぐ材料を発注できるので、新たなメニュー開発につながることもあります。作り手は気分が大事で、作りたいと思ったときにどこでもすぐ発注できることが、クリエイティブな面で効果的だと思っています。業務に追われているとなかなかできないことですので。

石垣:ITの導入に対して、現場スタッフの反応は悪かったのではないでしょうか?

河野社長:当社のスタッフは最初から発注画面を動かしていました。30代が中心ですからITに対する理解度もあり、iPadの操作に慣れるのも早いですし、それより若い世代はそもそもFAXの使い方を知りません。ITの操作は1週間ほどで慣れていきますし、50代のスタッフも使っています。

笹田料理長:棚卸も、冷蔵庫を開けながら数字をiPadに打ち込んでいって完了です。ITツールを使っていなかった頃はエクセルに打ち込んでいましたが、月末の棚卸は明け方まで作業していました。それが今ではなくなりました。もはやインフラですので、不便なときと比べようがないわけです。

石垣:北海道内の外食企業ではインフォマートのシステム導入が広まっていますが、まだ導入を悩まれている事業者様も多いです。そんな方にお伝えできることはありますか?

河野社長:受発注システムを使った当社では、経営者はいつでも原価の把握ができ、現場スタッフは発注や棚卸による残業がなくなり、モチベーションにもつながっています。仕入れ業者もFAX注文のミスがなくなりました。飲食業を取り巻く環境を考えると、人材不足や働き方改革、コスト高など様々な課題があります。受発注システムは利用者によって便利なポイントは違いますが、使わないと経営が難しいでしょう。

アフターコロナは付加価値をつけた経営にシフト

石垣:今後の店舗運営はどのようにお考えですか?

河野社長:アフターコロナは、これまでのように会社の部署レベルの宴会はなくなり、このニーズはもう戻らないのではと考えています。一方で2名様から4名様の会食が主流になっていき、その人数にあったポーションに調整しようとしています。さらに今後も続くとみられる原材料費や人件費などあらゆるコストの増加傾向を考えれば、今までと同じ経営スタイルでは勝負できない時代に入ってきているでしょう。

また、お客様は外食する回数が減ったことで、単価に対する感覚は柔軟になっているような気がします。そのために、いままで原価を基本に考えてきたのを、今後は粗利を軸に付加価値を高めていく必要があると思います。

ここ1、2年は出店ではなく既存業態のテコ入れが必要になるでしょう。それと同時に、ブランディングにも力を入れていきます。例えば、いま店で使うウスターソースはイチから手作りしています。笹田料理長がいるからこそできることですが、今後これを全店に波及してみようと思っています。自社製品を他社の店舗にも卸していく展開ができれば面白くなってきますね。そのためには、現場からのアイデアがいっそう大事になるでしょう。現在の経験をいかして、アフターコロナを楽しんでいきたいです。

株式会社サイトシーテック石垣舞子 株式会社サイトシーテック 営業部長 石垣 舞子
1979年生まれ。北海道苫小牧市出身。医療系専門学校卒業。医療機関で2年間勤務した後、営業へ転職。歯科医院、経営コンサルタント会社、医療系専門学校教員専任講師など様々な業種を経験する。システムに疎い私でも「これからの時代のもの」と感じ株式会社サイトシーテックに転職し現在に至る。


仕入れ金額の計算を自動化する発注システム

株式会社ワンスプーン

本社所在地:北海道札幌市中央区南二条西4丁目10-2清水ビルB1F
事業内容:飲食店の経営
代表者:代表取締役 河野 将士

企業インタビュー  バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ



ダスキンのHACCP対応アプリ(無料・効率化・かんたん)
業務用食品、衛生関連資材の購入は、BtoBプラットフォーム商談 eSmartで!会員登録無料・今なら3500ポイントプレゼント!

メルマガ登録はこちら
フーズチャネルタイムズ 無料購読はこちら