業界動向

飲食店中心に普及する冷凍食品自販機。導入メリットと販路拡大の可能性

2022年01月28日

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2022年に入ってからも新型コロナウイルスの影響で外食業界の見通しは不透明な状況が続く。そんな中、飲食店や食品メーカーでは安全に食品を提供できる取り組みとして、冷凍食品の自販機販売に注目が集まっている。非接触・非対面で、24時間商品を販売できるからだ。

冷凍食品を販売する外食企業はどのように事業展開しているのか、冷凍食品の自販機販売が今後の売上拡大の方法として適切なのか、また導入メリットなど実際の事例を参考に解説していく。

外食企業による冷凍自販機の事例

冷凍食品専門の自販機は近年、様々な外食企業で導入されている。その主なものとしては、サンデン・リテールシステム株式会社が提供する冷凍食品向けの自販機「ど冷えもん」だ。同社の冷凍自販機は、2021年の1月に発売してから全国各地で展開され、注文台数は1,300台を突破するなど、今後も様々な外食企業の導入が予想されている。

食品の種類は多種多様で冷凍餃子やラーメン、食肉、ケーキといったスイーツ類などが展開されており、500円〜1,000円程度の価格で販売中だ。現在は以下のような外食企業の事例が挙げられる。

店舗・企業自販機で取り扱う食品販売期間
マルシン飯店 冷凍生餃子 2021年4月20日〜
株式会社丸山製麺 全国の有名ラーメン 2021年5月18日~
築地 北海番屋 北海道産のいくら醤油漬やたらこ甘塩味 2021年6月7日〜
スイーツ工房 Papa-Lab ケーキなどのスイーツ商品 2021年8月26日〜
中国料理 温故知新 餃子、炒飯、まぜそばなど 2021年9月28日~
炭火焼肉 肉屋 もつ鍋(もつ・スープ) 2021年10月4日~
長崎ちゃんぽん専門店リンガーハット 長崎ちゃんぽんや長崎皿うどんなどの店舗メニュー 2021年10月18日〜

 

 冷凍食品の自販機「ど冷えもん」は、様々な形状の容器に対応したマルチストック方式となっている。これにより、従来の商品パッケージでは難しかった大型容器の販売も可能だ。他にも冷凍と冷蔵の切り替えが可能なタイプや薄型サイズのものなど3種類を展開。販売する商品のバリエーションを増やしたい食品メーカーや、軒先が狭い飲食店でも設置しやすいなどのニーズにも対応している。

またPCやスマホから自販機の販売状況と在庫状態が可視化できるので、原材料の発注量や商品の製造量を調整しやすい点もポイント。商品の補充タイミングを把握することで、在庫切れによる機会損失も防げる。こういった機能面の充実もあり、2021年の外食アワード中間流通・外食支援事業者(外食産業記者会)を受賞した。

冷凍食品の流通手段となる自販機展開

冷凍食品の自販機販売の拡大は、法改正も後押ししている。2021年6月に施行された食品衛生法の改正により、営業許可業種が見直された。これにより、従来では営業許可をとる必要があった食品の自販機販売の申請手続きが簡略化されている。

調理機能のない冷凍・冷蔵の自販機、または調理機能を有する自販機でも高度な機能を持ち屋内に設置されたものは届出のみで済ませることが可能になった。すでに加工された冷凍食品を補充するだけの自販機であれば、厚生労働省の「食品衛生申請等システム」から業種に応じた申請をオンラインで行い、スムーズに販売を開始できる。

飲食店で自販機を展開するメリット

飲食店が自販機の特性を活かすことで、企業の売上アップや利益確保を実現することも不可能ではない。具体的に食品メーカーや飲食店にとってどのようなメリットがあるのか解説していく。

コストの削減

業務の人員コストを大幅に削減できるのが自販機の大きな利点だ。少人数の従業員で店舗を受け持つことができれば、一般的な販売店舗よりも低コストで経営することが可能になる。商品の清算や店内の監視といった業務を行う従業員が必要ないので、数十万円単位の人件費を抑えられる。

新規店舗を展開する際に自販機を導入する場合、新たな従業員を募集する手間が掛からないのもメリットだ。新規スタッフの採用から人材育成、店舗内における作業マニュアルやルールの作成などでかかる経営者の負担を削減できる。設備や人員の配置など、自社の予算に合わせた店舗計画を立てることが重要といえる。

一方で、セルフレジや自販機を活用した方法では設備投資にかなりの資金が必要となる。初期投資を抑えたいのであれば、地方で見かける野菜販売所のように冷蔵庫と料金箱のみを設置した販売拠点も手段の1つだ。

冷凍保存で食品ロスの削減

冷凍食品は、通常の料理に比べて長期保存しやすい点も大きなメリットだ。これにより原材料のままではなく、調理した状態で在庫として抱えやすくなる。

飲食店では作り置きの量を増やすことで、原材料の廃棄量を減らすことが可能になる。冷凍食品であれば、店舗で販売している商品の売れ残りの量を抑えやすくなるだろう。

ウイルスの感染防止や予防対策

飲食店では従業員と来店客の接触は避けられないが、自販機を導入することでその機会を減らし、新型コロナウイルスの感染リスクを抑えられる。来店客同士の感染を防ぐ対策としても有効だ。

幅広い顧客層の獲得

自販機のある店舗では従業員の配置を減らせる分、通常よりも営業時間を延長して運営しやすい。定休日や深夜の営業を行うことで、これまで営業時間外に店舗前を通っていたサラリーマンなどにもアプローチできる。

開店や閉店、商品補充などの業務を行う必要はあるものの、それ以外の時間で店舗に常駐する必要がなく、営業時間の延長による負担も軽減できる。

企業や商品の認知度向上

スーパーマーケットなどで流通されている食品は、同じジャンルの商品が多種多様に陳列されている。食品1つでも消費者にとっては無数の選択肢が広がっているため、大手メーカーの商品に自社商品が埋もれてしまいがちだ。例えば、自社商品で統一された販売所を設置することで商品を手に取ってもらいやすい工夫をしたり、競合との差別化を図ったりすることができる。

定期的な利用客だけでなく、通りがかった通行人への認知度向上も望めることから、幅広い地域に自販機を置くことで「冷凍自販機といえばこの食品メーカー」というイメージを持ってもらいやすい。

独自の販売路線を確保

食品メーカーの場合、商品の販売先はスーパーやコンビニ、食品卸などが挙げられる。しかしただ中には売り先が求めているニーズに当てはまらず、思うように販路拡大できない食品が出てくるケースもあるだろう。

そこで自販機を導入すれば、直接的に消費者への販売ルートを確立できる。また自販機での販売実績により「売れる商品」と提案できれば、 従来の流通先へ提案する際もスムーズに商談を進められるはずだ。

こうした手軽さに加え、コロナ禍で非接触・非対面のニーズが増えている現状にマッチした食品の販売手法として、冷凍食品向け自販機の導入に期待が高まっている。

顧客の行動データを収集

監視カメラやAIなどのシステムを導入することで、商品の販売データだけでなく来店客の行動データまで収集することが可能になる。

例えば手に取った商品を棚に戻す、商品棚の前に立っている時間や来店客の回遊ルートなど、売上の数値だけだと分からない情報を取得することが可能だ。こうした顧客情報は、商品の陳列や配置の改善に大きく役立つこともある。様々な観点から業務改善を行うことで、店舗の売上アップに期待できる。

ただし来店客の細かい行動データを取得するには、多数の監視カメラやAIによる分析をしたり、それらのシステムを構築したりしなければならない。設備投資に費用がかる点には注意が必要だ。

食品メーカーによる冷凍食品自販機の設置・販売ノウハウ

冷凍食品の自販機を設置するにあたって、最低限の設備や清算システムの導入、無人化による問題やトラブルを防止する取り組みなどが必要である。商品の特性や消費者のニーズを理解し、集客が見込める設置エリアを見定めなければならない。

現在では冷凍餃子から焼肉やラーメン、いくらの醤油漬けやたらこ甘塩味といった水産物の販売事例もある。メーカーの自社商品だけでなく、外食企業大手と共同で商品開発を行うなど、販路拡大の可能性も広がっているのだ。参入する外食企業や食品メーカーも増えつつあるため、競合店との差別化を図ることも重要となる。そこでどんな事業展開を行うべきなのか、実際の事例を紹介するので参考にしてみてほしい。

オフィス需要を狙った冷凍自販機

長年、冷凍食品の自販機を展開していた「ニチレイフーズ」は、2021年3月より新規事業として、NTT西日本と共同でオフィス向けの食事提供サービス「cooliya(くうりや)」のテストマーケティングを開始。その一環として、自販機による冷凍食品の販売を採用している。

これにより、「昼食を手早く済ませたい」「毎日昼食をとる時間帯が異なる」といった従業員のニーズに合わせた食事提供を目指しているのだ。またテレワークの導入で出社する従業員が減り、食堂の運営が難しくなった企業のニーズにも対応しやすい。スーパーやコンビニといった一般的な流通経路と差別化することで、食品メーカーなどの新たな販路拡大になることが期待される。

冷凍庫と料金箱のみのシンプルな無人店舗

無人店舗といえば、「Amazon Go」のような自動改札の入場ゲートや広い内装をイメージすることも多いだろう。しかし小規模の店舗で展開する場合、冷凍庫と料金箱だけを設置したシンプルな冷凍食品の販売所もある。それが冷凍餃子を無人店舗で販売する「祇園餃子」だ。省スペースの店舗内には、商品が陳列された冷凍庫を設置している。お客様は36個入りで1,000円の商品を手に取り、設置された料金箱の中にお金を入れるアナログ方式だ。

子供でも食べやすいようニンニクの量を控えた味付け、店員とやり取りする必要がなくササッと購入できる手軽さがファミリー層に人気となっており、約3ヶ月で6店舗を出店するほどの成功を収めている。

盗難等のリスクへの対応

無人店舗の場合、冷凍庫と料金箱だけでは商品や売上が盗難されるケースが懸念される。そうしたリスクは、監視カメラを設置するなどの対策で防げるだろう。

またラーメンチェーン店の大阪ふくちぁんが運営する無人販売所「ふくちぁん餃子」では、料金を入れる箱が賽銭箱のようなデザインになっている工夫も。来店客の良心に訴えかける見た目と監視カメラの2重対策で、盗難や料金未払いの防止に一役買っている。

無人販売で利益アップにつながる販売体制を構築

無人販売は、以前から様々な業態で実証実験が行われ、すでに実際の店舗へ導入されているケースも多い。例えば、小売業だとコンビニやスーパーのセルフレジ、駅の改札の電子マネー決済なども普及している分野だ。

今後、こうした風潮は外食業界でも強くなることが予想される。コロナ禍の影響で売上が下がっていることから、多くの飲食店や食品メーカーでは既存の販売経路以外での売上確保が課題として続くからだ。

冷凍食品の自販機や無人店舗は、商品PR・コスト削減・非対面・生産効率の向上・24時間営業の実現などと今の時代にマッチした特徴を持ち合わせている。自社の事業を発展させるための施策として、一度検討してみてはいかがだろう。

 

[参考]
東京都「新たな営業の許可制度」
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/law/files/kyoka_leaflet.pdf
厚生労働省「食品衛生等申請システム」
https://ifas.mhlw.go.jp/faspte/page/login.jsp
サンデン・リテールシステム株式会社「ど冷えもん」
https://www.sanden-rs.com/product/detail.php?pid=221


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