セミナー・イベントレポート
2021年11月04日
コロナ禍の社会情勢のなかで、外食企業は常に経営を見直し改善する姿勢が求められている。消費者の傾向を把握し、何が求められているのか判断して経営戦略を立てなければ一気に業績が傾きかねない。
本セミナーは11月18日(木)に開催される「つながり」をテーマとしたフード業界向けのイベント「FOODCROSS conference 2021 」に関連したイベントとして10月に開催された。今回は飲食店コンサルのスパイスコード、居酒屋甲子園、経営にDXを取り入れているCRISP、筋肉食堂のTANPACなど、様々な企業をセミナーに招き、withコロナ時代における外食企業の取組みを紹介する。
前編は、基調講演として「現場の人こそ知ってほしい!数字に強い経営を行うために知っておくべきこと」。後編は「顧客体験を最大化するDX戦略」「コンセプトに基づいたお店作り・販路拡大のポイントとは」についてそれぞれ解説した。その内容を紹介する。
株式会社スパイスコード 執行役員
Food Manager 吉原 弘 氏
基調講演では、司会進行役に居酒屋甲子園山崎氏を迎え、スパイスコード吉原氏、同社久保氏との対談形式で進められた。スパイスコード(東京都中央区)は飲食店で行う料理の仕込みや加工を外部委託で製造できるシステム「ロカルメオーダー」を運営する企業で、食品加工向上と飲食店の架け橋を担っている。
同社の執行役員である吉原弘氏は、これまで数多くの外食企業の要職を歴任し、外食産業の課題解決に従事してきた人物だ。吉原氏は飲食店のコスト改善のためには、売上構成の0.5%に満たない商品をメニューから外すことで、大幅にコストカットできると強調した。
吉原:安定した経営には、守りと攻めの姿勢を見直す必要があると思います。経営を見直す際に皆さんがやっているのは、仕入れや人件費の削減でしょう。しかし、そういった場合の多くが仕込みや発注時間にどれくらいの時間がかかっているか数値化できていないことによって、売り上げが伸び悩んでいる理由なのです。
例えば、提供するまでの時間が遅いというクレームが多い店は、それを解消するためには、オペレーションの工数を減らす必要があります。また、メニューの原価のコントロールがされていないところも多く、そういう店舗の多くはPOSとエクセルで売り上げを管理しています。
それにより最終的にどの商品がどれくらい売れているのか、あるいは売れていない商品はどれなのか把握できず、消費者のニーズがどこにあるのか分からないといった事態になるのです。
吉原:料理の種類が多いと仕込みや在庫整理、発注時間などに費やす時間が増えていってしまいます。売上構成の0.5%に満たないものに対して工数をかけるというのは、ものすごく無駄だと思いますし、こういうところを変えていかないと従業員の負担は減らないでしょう。
料理の種類が多いと人件費がかかってしまうので、中間の工数を減らしていくことをダイナミックに考えないと経営を立て直すことは難しいと思います。
122種類あったのを70種類まで絞った店舗では、売上が昨年対比で110%を超えました。メニューを削減したことで、現場の工数が減って提供する時間が早くなり、売上が回復したのです。
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