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「生産者×飲食店」のコラボ事例から見た、食材調達や企画のポイント

2021年06月02日

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コロナ禍による影響で消費者の外食離れが続く中、飲食店ではお客をつなぎとめるために、これまで以上に自店舗ならではのサービスや料理などで付加価値が求められている。その施策のひとつに、地産地消メニューなど生産者と飲食店のコラボ企画が挙げられるだろう。

今回の記事では、飲食店は生産者とどのようにつながっていけばいいのか、どんな飲食店が向いているのかなどについて紹介していく。

なぜいま「生産者×飲食店」なのか

2020年に入ってから現在まで、新型コロナウイルスの感染拡大による影響で様々な業界で経営難に陥っている企業が増えている。特に飲食業界では消費者の外食する機会が減ってしまったことで、飲食店だけでなく食材の供給元である卸売業や生産者など食のサプライチェーンに深刻な影響を与えている。しかも、コロナ禍による外食機会の減少は、感染拡大が収束した後もすぐに回復するとは限らない。

飲食店がこの苦しい現状を乗り切るには、消費者に一度限りの来店ではなく、固定客としてリピーターになってもらうほかないだろう。そのためには、飲食店だけでなく食材の提供企業などと協力して、自店舗の魅力を高め、魅力やコンセプトを伝えることが必要だ。

そこでひとつの手段となるのが、地産地消メニューなどによる生産者とのコラボ企画だ。お客が飲食店を利用する際、その地域で生産された野菜や鮮魚などが料理に使われていると、それだけで特別感を感じられるものだ。店内で生産者との交流が発信されていれば、地域密着という温かみのある印象を与えやすい。顧客との接点ができるという点で、メリットは大きいはずだ。

食材の生産者などを巻き込んだ飲食店の企画は、すでに取り組んでいる企業も多い。その事例を見てみよう。

生産者×飲食店のコラボ事例

生産者情報をWebで発信~モスフードサービス

モスバーガーを展開する株式会社モスフードサービスでは、2005年から主要な食材の原産地情報の表示を全店で実施。同社のWebサイトでも、材料に使用される生野菜の生産者の写真やインタビューなどの情報を記載し、農家との交流なども事細かに発信している。

外食企業として材料へのこだわりが感じられるうえ、消費者の健康や安全に配慮した工夫がなされている。生産者の知名度アップなどにもつながるため、双方にメリットのある取り組みと言えるだろう。

地元自治体の再開発事業に参加~ナチュラ

イタリアンや和食、バーなどが入った複合型の飲食店を展開する株式会社ナチュラ(神奈川県)は、地元の川崎市が募集していた「総合自治会館跡地等活用事業」の事業者に選定された。

広大な再開発エリアをシェアリングファームにしたり、ファームで取れた野菜や地元産野菜を中心とした地産地消型の飲食施設・ショップを設置したりなどの商業施設にする予定だ。オープンは2023年の春で、自社の飲食事業だけでなく地域の農業を活かす体制を築こうとしている。

卸売市場の仕入先とタッグを組む~MUGEN

海鮮居酒屋などの飲食関連事業を行う株式会社MUGEN(東京都)は、食品廃棄量の多い日本の現状を改善すべく、2014年に「もったいないプロジェクト」を始動した。

同プロジェクトでは、まだ食べられるのに捨てられる食材を使った料理を、自店舗の「築地もったいない プロジェクト 魚治(東京都代田区)」で提供している。食材の仕入先は築地市場(2014年当時、現在は豊洲市場)で仲卸をしていた山治で、せりで売れ残った魚や商品として規格外の魚などが対象だ。

中央卸売市場のような規模の大きい取引所では、仕入れ量が多くなる分、廃棄される食材ロスも増えてしまう。株式会社MUGENは、それらの「もったいない」に着目することで、無駄のない仕組みづくりを実現している。

生産者や流通事業者と飲食店によるコラボ企画では、双方の事業利益と同時に、フードロスの削減に取り組む姿勢を示す企業も多い。日本は食品廃棄量が非常に多く、世界の国が一丸となって掲げているSDGs(持続可能な開発目標)においても、フードロスの削減は重要な取り組みとなっている。個々の飲食店だけではできる範囲が限られるが、異なる業種の企業と連携すれば、相乗効果を生む可能性も生まれる。積極的に実現していきたいところだ。

地産地消の飲食店は「流通」が命綱

地元産の青果や魚介を仕入れている飲食店の場合、生産者側が経営の悪化などで休業してしまうと、一部の食材の流通がストップしてしまう。

そうなれば、他の生産者を新たに探すか、メニューの提供自体をストップすることも考えなければならない。だからこそ、日頃から飲食店は地元生産者を見つけ、しっかりした物流体制を築かなければならない。

生産者との直接契約が向いている飲食店

飲食店が生産者と直接契約する場合、まずは店舗のメニューに必要な食材を取り扱っている生産者を探す必要がある。見つけ出したとしても、契約にこぎつけるために直接足を運び、どの程度の量を仕入れられるか、仕入れ値が変動する場合はどうするかなどの交渉や契約手続きなども行う必要がある。

さらに、自店舗までどうやって食材を運ぶかも問題だ。自社でトラックを持っていなければ地元の運送会社などと協力する必要もあり、これにはそれなりの時間や労力がかかる。

また生産者からの直接仕入れは、天候の変化や災害などで生産がストップしてしまうなどのリスクを想定しなければならない。不測の事態には、別の仕入れルートを確保するなどの対応が必要となる。

生産者との直接契約は、契約の柔軟性やコスト削減効果は高いものの、ある程度のリスクも伴う。複数の仕入れルートを確立できるような、ある程度規模のある飲食店のほうが向いている。多店舗展開している飲食店だと、リスク分散もしやすいだろう。

卸売業者の利用が向いている飲食店

卸売業者を利用するメリットは、プロの目利きによって食材が選定されていることや仕入れ量を調整しやすい点が挙げられる。生産者との直接契約よりも仕入れやすい分、仲介料がかかることは覚えておきたい。

ただしまとめて発注できれば、注文数に応じて価格交渉できることもある。生産者を探して契約する際の労力を考えると、初めて地産地消の食材を導入する飲食店や小規模店舗ならこちらのほうが向いており、少ないリスクでスタートしやすい。

また卸売市場などに足繁く通っていると、食材の選び方やおおよその市場価格といった様々な知見を得られる。仕入先との関係が深まれば、業界の動向などを知る良い機会につながるだろう。

こうした仕入れに関するノウハウや知識は、通常の飲食店経営では得られないことも多い。特に地産地消の食材を取り扱ったことがない飲食店は、まず卸売市場などで経験を積んでから生産者との直接契約に進むのもいいだろう。

飲食店と生産者の連携が今後の事業継続に大きく貢献

地産地消の食材を使用することで、メニュー価値向上を通した顧客との関係構築、地域に根付いた店舗経営につながる。一方の生産者も、販路確保などのメリットが挙げられる。

「生産者×飲食店」コラボは、コロナ禍における一時的な事業提携ではなく、今後も経営を続けていくための事業として大きく貢献するはずだ。飲食店経営は、生産者や食品卸などの様々な組織が存在しており、流通が発達しているからこそ成り立っているのだ。


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