飲食業経営ノウハウ
2021年03月10日
飲食店にとって、食材の原価率は必要不可欠な経営データとなる。特に昨今では、コロナ禍の影響で客足が減少しているため、メニューごとの細かい原価率の調整や改善により利益を確保しなければならない。
しかしメニュー数や店舗数が多くなるほど、仕入れ食材や原価などの情報を正確かつ迅速に管理するのは難しくなるだろう。そこで今回は原価率の計算や管理方法から、原価率の低いメニュー・高いメニューの運用などについて詳しく解説する。
そもそも原価とは、メニューを作る際に掛かる材料費のこと。例えばカレーを作るにはジャガイモや玉ねぎなどの野菜、肉や香辛料などの調味料が必要になり、それらに掛かる費用のことである。
そして原価率は、販売額に対する材料費の割合を示したもの。この割合を導き出すことで、店舗の利益などをスムーズに算出できる。
一般的に飲食店では、30%ほどの原価率に抑えることがひとつの目安とされている。
もちろん材料費以外にも、店舗の維持費やスタッフの人件費などの様々な費用が掛かるため、原価率を含めた費用と売上のバランスが重要となる。
原価率が少し高くても、店舗に訪れる顧客数やメニューの注文数が多いならプラスになることもあるだろう。しかしコロナ禍による影響で、飲食店へ足を運ぶお客の数は少なくなっているのが現状である。
そこで昨今の飲食店業界に求められているのが、これまで以上に原価率を抑えること。少ない注文数の中で、ある程度の利益を確保しなければならないのだ。
原価率の計算方法
原価率は、メニューに使用する材料費に対して販売価格を割ることで導き出せる。具体的には、
原価率(%)=原価 ÷ 売値 × 100
|
という計算式になるだろう。
例えば原価が200円、価格が800円のメニューであれば求め方は以下の通り。
200 ÷ 800 × 100 = 25(%)
ただ飲食店の場合、ひとつのメニューに対してひとつの材料を使うことは少ない。1kgの肉を仕入れても、メニューによっては100gや200gに分けて使うことも多々あるはずだ。
そこで大まかな原価率を計算する際には、1ヶ月の店舗の原価や売上額を計算式にすると求めやすい。計算式にすると、
原価率(%)=売上原価 ÷ 売上高 × 100
|
になる。
例えば1ヶ月の売上が1,000万円、原価額が300万円なら、
300万 ÷ 1,000万 × 100 = 30%となり、原価率は30%となる。
さらにいうと、食肉などの場合は1kgまるまる材料として使えるわけではなく、利用できない骨や筋は廃棄するので多少の食材ロスが発生する。つまり1kgの肉でも、100g廃棄しているなら実際に使用できるのは900gほどだ。
こうした仕入れた材料のうち実際に使える部分のことを「歩留まり」といい、原価を900gで計算したほうがより正確な数値を導き出せる。
工程 | 仕入れ | 調理・加工 | メニュー提供 | ||
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画像 | ![]() |
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![]() |
⇒ |
![]() |
数量 |
1000g |
⇒ |
900g |
⇒ |
100g×9 |
原価 |
1000円 |
⇒ |
1000円 |
⇒ |
111円×9 |
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