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飲食店のデリバリー運営を成功させるには? 店外売上を確保する5つのポイント

2020年09月14日

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長引く新型コロナウイルスの影響で、店内提供の売上が回復しない飲食店も少なくないだろう。ランチ営業やテイクアウト販売をはじめてみても経営立て直しの決定打にならないとの声も聞かれる。

新たな生活様式という変革の中で必要なのは、既存のイートインスタイルに頼らない売上の上げ方だ。あらゆる飲食店が様々な挑戦をしており、中にはコロナ禍で8割以上も減った売上をデリバリーによって前年対比90%まで取り戻した例もある。

愛知県で飲食店を20店舗近く運営する株式会社GRと、そのデリバリーサービスのサポートを行っている株式会社REARSの事例から、デリバリーで成長するポイント5ヶ条を学ぶ。

withコロナに不可欠な、イートイン以外での売上確保

飲食店向けの予約・顧客台帳サービスを提供している株式会社トレタの調査によると、新型コロナウイルスの影響でイートインへの予約は80%以上減少したという。

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※2020年6月4日 日本外食新聞(FOOD FUN)・トレタ予約台帳導入1万点に対する動向データ

飲食店の販促サポートやUberEatsや出前館といったフードデリバリーアプリ向けの業態開発や運用代行サービスを提供している株式会社REARSの代表取締役、後藤靖佳氏は「コロナ禍において飲食店が事業を継続するには、イートインなどの店内営業に頼らない、店外の売上をいかに作るかがポイント」と語る。

「これまで飲食店の主な事業運営は、ランチやディナーだけでした。今後はキャッシュポイントが複数あるフードビジネスへのシフトが求められるでしょう。

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たとえば、コンビニは利便性の高い立地に出店し、飲食物だけでなく日用品、消耗品、あらゆるモノやサービスを取り揃えてキャッシュポイントを増やしています。飲食店の場合も、ランチやディナーだけに頼らない売上構成にする選択肢の一つとして、デリバリーをご提案しています」(後藤氏)

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デリバリーの収益構造やFLコストの考え方は、イートインとはまったく違うという。

REARSのサポートを受け、そのノウハウを基にコロナ禍の中でも右肩上がりに成長している企業のひとつが株式会社GR。愛知県の名古屋を中心に「天ぷらスタンドKITSUNE」など約20店舗の居酒屋を運営している。

代表取締役の安達亮太氏は、「新型コロナウイルスの影響で非常に厳しい半年を過ごし、特に緊急事態宣言後の売上は8割以上減少した」と振り返る。

「売上を確保するため、ランチ営業とテイクアウトをはじめましたが、1店舗あたりの日商は平均3万円弱という状況でした。店舗も一部は休業せざるをえず、シフトを入れられなくてスタッフの退職が相次ぎ、アルバイトの雇用を守ることができませんでした。決定していた東京進出の計画や新規出店の予定も白紙。まさにジリ貧の経営だったのです」(安達氏)

そこで、店外売上を確保すべく複数店舗でデリバリーをスタート。ランチ営業やテイクアウトはやめてデリバリー業態に集約させたところ、1店舗の日商平均が15万円弱まで回復した。

「業務が増えたため、アルバイトスタッフの雇用も可能になりました。今、求人に対する応募数はコロナ禍以前の3倍あり、人材確保のチャンスです。休業店舗はデリバリーに業態変更して前年対比90%の売上を取り戻しました」(安達氏)

一旦白紙になった出店計画も、デリバリーメインでの店舗展開でまもなく3店舗オープンする。デリバリーであればもし第3波がきても乗り切れると考え、東京進出も再度進んでいるという。では、デリバリーで売上を安定させることができた理由は何か。安達氏は、5つのポイントをあげる。

デリバリーで成長する5つのポイント

1.スピード感を大事にする

「我々はデリバリー事業のノウハウがありませんでした。しかし現在、参入企業が相次ぎ競合が非常に多い状態です。その中で勝つには考える時間よりもスピードを優先すべきと考え、REARSさんのサポートを受けたのです」(安達氏)

2.コストに関してマインドチェンジする

店内売上と店外売上の作り方は、収益構造、原価、人件費の考え方が全く違う。コストに対する考え方を変える必要があるという。

計算式にすると、売上 ― 原価 ― 手数料(35%~40%)
一般的な原価率ではまったく利益が出ないので、経費構造を変える必要があります」 (安達氏)

3.食材在庫・消耗品在庫の管理を徹底

GRは1店舗で複数のデリバリー業態を展開している。新業態の開発も行っており、すべての在庫が1店舗に集約されている状態だ。管理できないとロスになってしまう。

「デリバリーで店がぐちゃぐちゃになりやすいポイントとして、在庫や容器などの消耗品が店を圧迫してしまいがちです。在庫の滞留は発注ミスの原因にもなり収益率にも関わってくるので、棚卸を細かく行い在庫を溜めないクセをつけましょう。最低でも月半ばと月末の2回は行いたいです」(安達氏)

ミニマムな在庫管理が利益を上げるポイントだと語る安達氏。食材価格は変動が激しく、飲食店の棚卸は手間のかかる業務だが、棚卸機能がある発注システムを利用することで、効率よく正確な在庫管理が可能になる。システム化で変動した単価は自動更新され、オリジナル商品の仕込み品も自動で計算できる。

「売上は1円のずれもなく管理する意識があっても、冷蔵庫にある商品というお金を管理できていないケースはありがちです。棚卸を細かく行って、多く仕入れすぎたなどがわかるようになると、現場で数字意識も高まります」(安達氏)

現場が数字を意識すると、ムダな発注もなくなり仕入れ原価削減につながるという。

4.業態変更は早めのジャッジ

リアル店舗を出店させるには数千万円のコストがかかるが、デリバリーはアカウントを増やすことが出店になる。既存のデリバリー業態と同じ容器や調味料を使って新たな業態を考えれば数十万円程度で新たな出店が可能だ。

「デリバリーの新業態は、売上の初動がいいかどうかがポイントです。個人的には出店から2週間程度でジャッジを下してダメならすぐ別の業態にするくらいのスピード感だと思っています。出店コストがまったく違うので、トライ&エラーでちょっと攻めた業態にも挑戦してもいいでしょう」(安達氏)

5.大手と戦わない

ハンバーガーや牛丼、とんかつといった大手チェーンが参入している業態は勝てないという安達氏。大手は売価に手数料をすべて乗せず、イートインとあまり変わらない価格で提供しているところもある。

「まったく勝負にならないというわけではなく、1度食べて美味しいと思っていただければお気に入りマークをつけてリピートされる可能性はあります。ただ、イートインと違って、デリバリーはどの店の何が食べたいという選び方ではありません。注文したい時に一覧で並んでいる中から選ぶので、価格勝負になりやすいのです」(安達氏)

デリバリーもイートイン同様、リピート促進が重要だ。専門店などこだわりが伝わる業態や商品名はウリになるという。

飲食店シェアリングエコノミーの時代性

フードデリバリーサービスをはじめ、モノやサービスをシェアするシェアリングエコノミーは飲食業界でも広まりつつあった。コロナ禍はそれを加速させたともいえるだろう。安達氏は今後、実店舗を持たず注文に応じてシェアキッチンなどで調理しデリバリーするゴーストレストランに優位性を見出している。

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「まだライバルのいないゴーストレストランこそ、店舗収益のカギを握っていると思います。今後は即配型のデリバリー、テイクアウトと法人向けの完全予約制の高単価弁当なども視野に業態開発を進めていきたいです」(安達氏)

BtoBプラットフォーム受発注

■株式会社REARS(代表取締役 後藤 靖佳)
大阪府出身。2016年7月に「食に関わる全ての人の幸せをつくる」をミッションに株式会社REARSを設立し、飲食企業様に対して販売促進・Webデザインを中心にサポート。2018年10月25日には、食品ロス削減アプリ「FOOD PASSPORT」をローンチ。現在、飲食企業様の新しいビジネスモデルを作るべく既存のサービスを組み合わせたサポートを様々展開中。過去、大阪工業大学 経営工学科を卒業。大学在学中は1年間休学し、飲食店に従事。2007年4月にSIer(株式会社CSK(現SCSK株式会社))にセールスで約6年間従事。2013年9月には、株式会社ぐるなびをセールスで約2.5年間従事した経験を持つ。

■株式会社GR(代表取締役 安達 亮太)
愛知県出身。2016年3月より現在まで飲食店様のWEB広告戦略コンサルティングを100店舗頂いている経験を活かし、飲食店の経営に顧問として従事。名古屋での肉バルブームを牽引したウッシーナグループは立ち上げから携わり、全国に16店舗までの立ち上げ業務、M&Aまでの出口戦略にも携わる。2017年8月には自社の飲食店の経営に乗り出し、天ぷらスタンドKITSUNEという屋号の天ぷら酒場を現在までに20店舗を直営・FC共に展開中。

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