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客足が戻る店とそうでない店の決定的な差とは~withコロナ時代の人材育成術

2020年08月19日

客足が戻る店舗とそうでない店舗の決定的な差とは~withコロナ時代の人材育成術

東京都は酒類を提供する都内の飲食店などに対して、8月中の営業時間を午後10時までとする要請を発表した。消費者の外食自粛が続く中、飲食業界には依然厳しい風が吹く。

一方、こうした状況でも客足を少しずつ戻し、売上の減少を最低限に食い止めている外食企業もある。客がなかなか戻らない企業との違いは、いったい何だろうか。日本マクドナルドやファーストリテイリングで人材育成を手掛け、『全員を戦力にする人財育成術』などの著書がある有本均氏によると、人材育成をして店舗のQSC向上ができているかが分かれ目だという。

客足が戻る店舗と、そうでない店舗の決定的な差とは

緊急事態宣言の影響が色濃く出ていた4~6月に比べると、ここ1ヶ月ほどで客足が戻り始めている飲食店が出てきたようだ。ただ全国どのエリアでも共通していることは、顧客の戻りがよい店舗と、そうでない店舗に分かれているということ。有本氏は次のように語る。

株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン 代表取締役社長 有本均

株式会社ホスピタリティ&グローイング・
ジャパン 代表取締役社長
グローイング・アカデミー学長
有本 均 氏

「業態でいうと、焼き肉店は比較的客足の戻りがいいです。換気されているイメージに加え、自宅ではなかなかできない体験ができるという点もありますね。また業態を問わず、もともと常連客が多かったお店も強いです」

たとえばある消費者が、週2~3回行っていた外食を週1回に減らしたとする。その1回をどこで食べるか。まずは馴染みのお店や、馴染みのスタッフがいるお店に行こうと考えるだろう。有本氏によれば、こうした差が客足の戻りに大きく影響しているという。

また店舗運営においてQSC(Quality:品質・Service:サービス・Cleanliness:清潔)が良い店のほうが、客足の戻りが早いとも指摘した。同一企業のチェーン店においても、QSCの差でお客の戻りに違いがあるという。

「QSCにはもちろん、コロナ対策も含まれます。入り口にアルコール消毒液が置いてあるだけで他は何もしていないとか、清潔感が感じられない店舗は敬遠されています。必要なのは、目に見える対策です。従業員にマスクをつけさせたり、大声での掛け声を控えたり、直接手を触れあわないような接客をすること、さらにそのような対策をSNSなどで事前にきちんと発信することです。ある程度大きな会社でプレスリリースを出しているところは、お客様に選ばれやすく、客足の戻りが早い傾向にあります」

基本的な清潔さに加え、コロナ対策を徹底しているかどうか、それを消費者にしっかりアピールできているかどうかが、回復の明暗を分けている。

QSC向上に必要なのは、「従業員教育」一択だ

飲食店で席数を減らし、ソーシャルディスタンスを保つ店員

店舗のQSCを良くするためには、何が必要なのか。有本均氏は従業員教育の重要性を強調する。

「今からでも決して遅くないので、教育制度を充実させることがQSC向上につながります。新型コロナでお客様が減った今だからこそ、チャンスと捉えてOJTに時間を割く企業も出てきています」

お客様の少ないアイドルタイムを利用すれば、時間を有効に使って研修できる。集合研修は難しいかもしれないが、昨今はZoomなどのITツールを使ったオンライン研修という手もある。

また外食各社が頭を悩ませてきた人手不足も、6月以降は解消されつつあるという。コロナ禍で閉店・休業する店舗が増え、もともと働いていた人たちが新たな働き口を探しているのだ。ただ、「長い目で見れば再び人手不足になる可能性は高い」と有本氏。

「コロナの影響は数年間続くでしょう。さらにそこから5年後、10年後を見据えたとき、間違いなく日本の人材は不足します。よい人材を採用したい場合は、今がんばっている人が辞めないような仕組みを作っておく必要があるのです」

経営理念を伝えるコミュニケーションで共感させる

人材を定着させるには、従業員教育を通して自社の経営理念を理解・共感してもらうことが必要だ。しかし応募者を面接しただけで自社にマッチするか判断するのは難しく、実際に働いてもらうまで自社に合うか分からない。そのため面接だけで判断しようとせず、入社後の教育制度で、理念を理解してもらうことが重要になる。

「まずは経営者が、現場任せにせず、しっかりコミュニケーションをとっていくことです。具体的にはとにかく話をすること。もっといえば教育を『仕組み化』し、仕組みの中に理念や、こんな人と一緒に働きたいという思いを散りばめるのです」

どのような仕組みを作れば、経営理念が伝わるのか。有本氏は外食企業へのコンサルティングの際、「評価制度の行動評価に経営理念を入れ込む」ことを実行してもらっているという。数字では見えない過程を評価する部分、つまり行動評価の部分に、経営理念や行動指針に沿った行動をしているかを入れ込むのだ。

「例えば『お客様を喜ばせるためにQSCを向上したか』などですね。従業員自らが経営理念や行動指針に基づいた行動をするためには、きちんと評価される仕組みを作ることが重要です。そうすれば、人は変わります。やってもやらなくても評価されないなら、人はやりません。でも、誰だって同じ方向を向いて頑張る気持ちは持っています。道を作ってあげれば、必ず人は成長するのです」

さらに教育制度で有効なものは、「『達成すべき具体的な基準』を作ること」だという。基準を示さなければ、人は動かないからだ。

「経営者や評価者とのコミュニケーションを通してその基準を浸透させることが大事ですね。従業員は店舗ごとに働く場所も違えば、接しているお客様や問題も違うため、どうしても個人の優先順位や考え方によるところが大きくなります。まずは全店で運用するオペレーションマニュアルを作成してみましょう。社内で運用する分には、資料の見た目が多少整っていなくても問題ありません」

サービス業に必要なのは、義務教育型の研修制度

こうした教育制度で人材を定着させるためには、特定の人だけに成長機会を与える「選抜型教育」ではなく、全員の底上げを図る「義務教育」が大切だという。

「飲食サービス業の従業員は、お客様に接して利益を上げるという点で、全員が同じゴールを目指しています。ゴールが同じならば、義務教育化したほうがいいのです。人手不足の時代だからこそ、メンバー全員の力を底上げする義務教育が必要です」

従業員に研修を受けさせる場合、人件費や会議室などの費用が発生する。コロナ禍で売上が減少した企業が低コストで教育をするにはどうすればよいか。この場合、Zoomなどのオンライン会議ツールを活用するのがいいという。オンラインだと学習効果が下がると思うかもしれないが、画面上で互いの顔が映されるので、ディスカッションもしやすい。一方的に話すのではなく、発表させたりするのも有効だ。

有本氏は最後に、この時期だからこそ重要な人財育成について次のようにまとめた。

「若い世代に限らず、すべての人は成長意欲を秘めています。こちらが良い研修をすれば、話は聞いてもらえるのです。コロナ禍で大変な時期ですが、今こそ利益のベースとなる人材教育に力を入れ、長期的な発展を目指しましょう」

厳しい状況が続くが、企業の成長は「人」なくしてありえない。教育を通して、コロナ禍を乗り切る方策を考えたい。

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株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン 代表取締役社長 有本 均

著書『全員を戦力にする人財育成術』株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン 代表取締役社長 有本均日本マクドナルド『ハンバーガー大学』学長、ファーストリテイリング『ユニクロ大学』部長、バーガーキング・ジャパン代表取締役など歴任。2012年、人材育成のノウハウを活かし株式会社ホスピタリティ&グローイング・ジャパン設立。経営者やアルバイトの役割に応じた研修を実施し、現場や人事制度と連動した「最高の学び」を提供する。著書に『全員を戦力にする人財育成術』など。https://g-aca.com/

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