食の研究所

「ポリフェノールは体によい」はなぜ広まったのか~赤ワインを飲む口実にはならぬほど、含む食材は多種で豊富

佐藤 成美(サイエンスライター)  2020年03月24日

「総量がどのくらいか」が重要

「いくら赤ワインのポリフェノールが体によいからといって、お酒に弱い人が毎日無理して赤ワインを飲むことは現実的ではありません。ポリフェノールを含む食品はたくさんあるのですから、他のものを食べればいいのです」と近藤さんは続ける。

フランスは赤ワイン大国だが、国によってコーヒーをたくさん飲む国もあれば、紅茶をたくさん飲む国もある。国によって食生活は異なるが、みなさまざまな食品からポリフェノールを摂取して、自然に抗酸化能を高めてきたのである。

 

202003_polyphenol_miso

みそにもイソフラボンなどの
ポリフェノールが含まれている。

「日本人の健康については大豆、特にみそ汁の摂取が貢献してきたのではないかと注目しています」と近藤さんは話す。日本人が昔からたくさん食べてきた大豆には、ポリフェノールの一種イソフラボンがたくさん含まれている。

近藤さんは「特定のポリフェノールをどれくらい食べるかではなく、ポリフェノールのような抗酸化物を含む食品を食事で十分にとることが大事だと考えます。バランスよく食べて、摂取するポリフェノールの総量がどれくらいになるのか考えることが、健康食につながるのではないでしょうか」と言う。

岐阜県高山市の住民を対象にした疫学研究「高山スタディ」からは、ポリフェノールの総摂取量と死亡率の関係が示された*1 。

この研究は、生活習慣や食習慣と死因や生活習慣病の発症を明らかにすることを目的としたもので、1992年に調査した食事摂取量をもとに、その後16年間の死亡率を調べている。

その結果、「ポリフェノール総摂取量」と「全死亡率および、心疾患や消化器疾患による死亡率」は逆相関することが示された。つまり1992年から16年の間では、ポリフェノールの摂取量が多かった人ほど死亡率は低く、また心疾患や消化器疾患による死亡率も低いということである。

まだ不明な点は多いが、ポリフェノールは、炭水化物、タンパク質、脂質、ビタミン、ミネラルの五大栄養素に続く栄養素になるのではないかと期待されている。自分の食生活を見直し、ポリフェノールを多く含む食品をバランスよく取り入れていきたい。

*1:Taguchi, C., Kishimoto, Y., Fukushima, Y. et al. Eur J Nutr (2019).


BtoBプラットフォーム受発注

執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。

<記事提供:食の研究所
JBpress、 現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ 方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
食の研究所はこちらhttp://food.ismedia.jp/

食の研究所 バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ





業務用食品、衛生関連資材の購入は、BtoBプラットフォーム商談 eSmartで!会員登録無料・今なら3500ポイントプレゼント!

メルマガ登録はこちら
フーズチャネルタイムズ 無料購読はこちら