業界動向
2019年07月02日
消費者の生活スタイルや食のシーンが多様化する中で成長を続ける、デリバリーやテイクアウトの市場。Web注文や位置情報、電子決済を活用した新たなサービスが次々登場し、消費者の利便性を高めている。
その一方で、テイクアウトを実施しているものの、売上増につながっていないという悩みをもつ飲食店も、少なくないだろう。また、新規事業としてテイクアウトを開始したいが、費用対効果や現場の負担増が不安で踏み出せないといったケースもありそうだ。
2019年4月にリリースしたLINEのテイクアウトサービス『LINEポケオ』は、6月27日から中小規模の飲食店向けにサービス提供を拡充した。先行導入した大手チェーン店への注文状況からみえてきた消費行動は、テイクアウトをする飲食店にとって課題解決の糸口になりそうだ。
O2Oカンパニー
カンパニーエグゼクティブCMO 藤原 彰二氏
中小規模の飲食店のテイクアウト事業への高い関心やニーズを、『LINEポケオ』先行リリース以前から感じていたという、LINEの藤原彰二氏。個人営業の飲食店が抱えるテイクアウトサービスの難しさのひとつに、認知度の低さをあげた。
「多くの飲食店では『テイクアウトできます』という案内を、店舗のウェブサイトや、店内のチラシ、メニュー表への提示で行っています。
しかし、この告知方法では、イートインで店舗を利用したことがある、既存客しか情報を知りえません。新規客をテイクアウトで呼び込むのは難しく、サービス自体、気付かれていないということがあると思います」(藤原氏)
O2Oカンパニー
グルメサービスチーム 武藤 良太 氏
グルメサービス事業を担当する武藤良太氏は、『飲食店のテイクアウトサービスは、個人店の取り組みだけでは限界がある』と指摘する。
「テイクアウトのオーダーを店舗のウェブサイトで受けるお店や、専用アプリでスマホから注文させるお店もあります。しかし、ユーザー側の立場からすると、サービスごとに様々なサイトに個人情報を登録するのはとても煩わしい作業です。ネットショッピングでも、楽天やAmazonなどのプラットフォーム型のサービスが支持されています。それも、ある程度の商品数の規模がなければ、ユーザーはサービスを利用したいと思いません。
ですから、テイクアウトサービスは、店舗がプラットフォームを利用して、一緒に盛り上げていく必要があると思っています」(武藤氏)
次のページ: テイクアウトサービスには、位置情報の提供機能が不可欠
>> もっとみる