企業インタビュー
2018年12月27日
新井勇佑(アライユウスケ)…東京生まれ。臨床心理学の研究員を経て、東京・町田のタイ料理店で修業。タイの屋台の雰囲気を再現した「タイ屋台999(カオカオカオ)」を出店。2019年2月現在、都内で3店舗を展開中。タイ料理研究に没頭し、これまで国内、タイ本国含め200軒以上のタイ料理屋で約3000食を食べ歩く。
2014年、東京・中野に出現した「タイ屋台999(カオカオカオ)」。タイ語が飛び交う中で味わう本場さながらの屋台料理は、連日大人気だ。およそ40席のカラフルなテーブルや椅子、さらに食器などもタイから仕入れ、現地の雰囲気を再現している。運営する株式会社カオカオカオの代表取締役 新井勇佑氏は、こよなく愛するタイ料理を徹底的に研究。仮説と検証を繰り返しながら、2018年現在、都内で3店舗を展開し、さらなる展望でタイ料理の未来を描いている。
【Q】タイ屋台999(カオカオカオ)開業の経緯を教えてください
株式会社カオカオカオ 新井勇佑社長
もともとタイ料理を作るのも食べるのも好きだったので、好きが高じて、自分で店をやってしまおうと考えたのです。それまでは、臨床心理学の研究員として大学で長年研究を続けていました。
研究員時代に、タイ屋台の雰囲気をもつカフェに出会ったことが、タイ料理にハマったきっかけです。常連客として通いつめるうち、その店で働くまでになっていました。「研究」の対象が、心理学から「タイ屋台料理」や「飲食業」になった形です。
【Q】タイ料理とタイ屋台料理には、なにか違いがあるのでしょうか?
けっこう難しい質問ですね。一般的にタイ料理というのはアユタヤ王朝時代に入ってきた文化と、その後19世紀20世紀くらいに西洋から入ってきた文化によって作り上げられた王宮料理や、少し位の高い人の食べる料理を指していました。
一方でタイ屋台料理は、中国の華僑の人たちがタイに渡ってきた時に日常的に作っていた料理です。日本でいえば、料亭や割烹の料理と、肉じゃがとか味噌汁などの家庭料理くらいの差があるんです。
これまで日本でタイ料理というと、ちょっと高価な感じや、リゾートな雰囲気の店が多かったと思います。でも僕は絶対に日本人はタイの屋台の空間のほうが好きだろうと考えていました。
奥まった路地裏に、こつ然とタイ屋台が出現
理由は、昨今の大衆居酒屋や、昭和レトロに代表されるブームです。みんな意外とチープな雰囲気というか、ガヤガヤ楽しむ雰囲気のほうが好きじゃないですか。
2014年9月にオープンした中野本店は、通りにも面していない、奥まった場所に作りました。不利な立地を武器に変えるため、あえてタイ屋台料理屋でもちょっと裏路地の「隠れ家的」な店づくりを目指しました。
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