企業インタビュー
2018年07月17日
2008年の創業以来、池袋を中心に7店舗(※2018年6月時点)を展開し、すべての店舗が坪月商40万円を売り上げる人気店となっている「やきとん木々家(はやしや)」。一般的な焼き物業態にみられる充満する煙や油っぽさとは無縁の店づくりで、男性客のみならず匂いが気になる女性客のニーズも捕らえて注目を集めている。
今回は元・株式投資のトレーダーという異色の前歴をもつ、株式会社HBGCの代表取締役の林田博之氏にインタビューし、自身が目指す「地に足がついた、感動を積み上げられる仕事」としてのやきとん屋の魅力をさぐった。
一般的にやきとん屋といえば「煙が店内に充満している店」をイメージしがちだが、木々家は、やきとんの大衆的な親しみやすさを保ちながら、清潔感へのこだわりを徹底している。それは自分自身が神経質だからだ、と林田氏は語る。
やきとん木々家(株式会社HBGC)
代表取締役 林田博之氏
「やきとん木々家は飲食業未経験で開業しました。これまでの生きてきた中で、わからないことは積極的に誰かに教えてもらっていましたが、商売がうまくいくコツなんて誰も教えてくれませんでした。そこで初めて、どういう店がいい店なのかを徹底的に考えました。思考の軸にしたのは自分自身です。
グラスの下に布巾を敷かなくてすむよう
メッシュ加工された専用棚
自分が居酒屋に行ったとき、何を考えているか、何が気になるかというと、“グラスがべたついてる”とか“トイレが汚い”といった小さなイライラを感じることが多いことに気づきました。だったらそういうイライラを徹底的に排除した店を自分でつくればいいのではと思いついたのです」
木々家では、油のついた皿と混ざらないようにグラス専用の洗い場を設けている。グラスそのものも汚れがつきにくい、ストレートでシンプルなデザインのものを採用している。布巾ひとつとってもの除菌や湿気がこもらない食器棚などを特注して、汚れやにおいの発生を徹底的に防いでいる。
「例えば、テーブルが汚れるたびに掃除するというのは、実は応急処置の域を出ていません。本当に必要なのは汚れの原因を根本から取り除くことです。
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