食の研究所

高級グラスと安物コップ、どちらが食事が進むのか?~「食の環境」は「食」をどう変えるか(後篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2017年01月23日

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人はほぼ毎日、何らかの食べものを食べている。総務省が2011年に実施した「社会生活基本調査」によると、日本人が1日に食事に費やす時間は平均1時間39分。かなり時間を食に割いているといえる。

では、人は日々どのように「食の意思決定」をしているのだろう。毎回の食事では、何が、あなたに「その食べもの」を選ばせているのだろうか。

こうした食の根本的な疑問をテーマに、前後篇で研究者に質問を投じている。応じてもらっているのは日本大学危機管理学部准教授の木村敦氏だ。「食の社会心理学」が研究分野の1つであり、とりわけ「食の環境」という外的要因が食の意思決定にどう影響しているのかを研究している。

前篇では、同じワインを出されても、異なる産地を言われると、一緒に提供された料理を食べる量が変わるといった、海外での先行研究の事例を紹介してもらった。

後篇では、木村氏が行ってきた研究の成果を聞くことにする。グラスの形が違うだけで、そのときに食べる量や、食事でのコミュニケーションのとり方が大きく変わるというのだ。どういうことだろう。

男性的・女性的イメージが食に制限をかける

――前篇では、食の意思決定は「一番おいしそう」や「お腹が空いているから」といった感覚的要因だけでなく、食の環境という外的要因の影響も受けるとの話でした。木村さんは、食の意思決定や外的要因について、どのように研究を進めてきたのでしょうか。

木村敦氏(以下、敬称略) 食品総合研究所という研究所にいたとき、社会心理学的な観点から研究している資料などを読んで興味を持ち、普段の食生活をどうしたら良くできるかという目的で研究を始めました。

――最初のテーマはどんなものでしたか。

木村 食品に対する「ジェンダー・ステレオタイプ」についてでした。ジェンダー差による固定観念を、ジェンダー・ステレオタイプといいます。

たとえば、「牛丼屋に女性だけでは入りづらい」「ケーキ屋に男性だけでは入りづらい」といったイメージを人は抱きがちですよね。こうしたことは、食に対する制約の意識をもたらします。

意識が強くなりすぎると、摂食障害などにつながる恐れもあり、食のジェンダー・ステレオタイプの研究が米国や欧州などで行われてきました。私は、日本にはどのようなジェンダー・ステレオタイプがあるのか、また、どうしたらそれを変えることができるかを求めて研究しました。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議理事。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
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