企業インタビュー
2016年09月21日
東京・新橋の高架下で、まだ日も高いうちから人が集まり始め、毎夜満席となっている店がある。カキをはじめ魚介類の焼き物を中心とした、バーベキュースタイルが人気の「かき小屋」だ。
スタッフのみならず、来店客も派手なハッピを身にまとい、元気な掛け声とテーブルの焼き網からの煙で活気に溢れた店内。店に入る人をよく見てみると、手には思い思いの飲み物を下げている。本来、飲食店において、ドリンク・アルコール類は売上のため欠かせない商品のひとつ。通常の飲食店への持ち込みはタブーだ。しかし同店ではサービスのひとつとして「ドリンクの持ち込み」を許可している。
同店はどのようにして利益を確保しているのだろうか?運営を行う株式会社ジャックポットプランニングのプロジェクトマネージャー新名健二さん、かき小屋新橋店 店長の新井幹浩さんに詳しい話を伺った。
プロジェクトマネージャー新名健二さん
「祐天寺の『かき小屋1号店』をオープンする際、店舗の面積が狭く、お酒を十分に置くスペースがありませんでした。たまたま3軒隣に酒屋があったので、飲み物はそこで好きなものを買ってもらえばいいかなと思い、始めたのがきっかけです。飲み物の在庫を大幅に減らすことができ、本来なら在庫スペースだった部分を客席に変更できたり、仕入れ業務の手間がなくなったりと、サービスを初めてすぐに店にとってメリットが大きいと分かりました」
さらに、アルコールというのは一度開栓してしまうと、すぐに味の劣化が始まる。通常、飲食店ではお客様の飽きが来ないよう、多種多様なドリンクメニューを作るが、実はそのメニューの品質を維持するだけでも、一苦労なのだという。
ドリンクは、持込”可能”ではなく”推奨”
かき小屋のドリンク持ち込みは、他店でよく見られるようなワイン1本1,000円といった形態とは異なる。ひとり600円(税込)を支払えば、“無制限”に持ち込みが可能で、手元の飲み物が足りなくなったら、自由にお店を出て買いに行っても良いという徹底ぶりだ。
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