セミナー・イベントレポート
2016年09月02日
2016年8月22日、株式会社トレタ主催の外食産業の未来を考えるイベント『FOODiT TOKYO 2016』が開催された。講演者は外食業界のみならず食品、ITなど各業界の先陣を切るリーダーたち。接客や人材教育、顧客獲得、古い体質との戦いなど様々なテーマで熱論を展開し、どのセッションも立ち見が出るほどの盛況ぶりだった。中でも『FOODiT未来総研が大胆予測!外食産業の10年後はこうなる』と題したクロージングセッションでは、カリスマ経営者であるカフェ・カンパニー楠本氏やカゲン子安氏などによるトークが展開され、満員の会場を大いに沸かせた。今回はその内容をお伝えしたい。
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カフェ・カンパニー株式会社 代表取締役社長 楠本修二郎氏 「WIRED CAFE」など多数の飲食ブランドを展開。設計デザイン、都市開発コンサルテイング、地域活性化事業、音楽レーベル事業など幅広く手がけている。 |
株式会社カゲン 取締役 子安大輔氏 博報堂にて食品、飲料、金融などの戦略立案に従事後、2003年飲食業界に転身。著作に「『お通し』はなぜ必ず出るのか」「ラー油とハイボール」(新潮社)。 |
株式会社トレタ 代表取締役 中村仁氏 2000年株式会社グレイスを設立し、とんかつ「豚組」、和風スタンディングバー「壌」など開店。2013年に株式会社トレタ設立。FOODiT TOKYO実行委員長。 |
本セッションでは飲食業界について議論する前に、まずは社会面、技術面で10年後の日本がどのように変化するかを予想した。
生産年齢人口は10%減少する社会
今後の日本の総人口は減少していくと予測されている。ここで問題としたいのは、2025年には生産年齢(15~64才)の人口が10%減少することだ。これを労働者として考えると、現在10人で働いている職場では、9人になる。人手が集まりにくい職種は、1人少なくなるだけでは済まないこともあるだろう。
このことから、時間や場所にとらわれない多様な働き方を認めざるを得ない社会に進んでいくともいわれている。2016年6月、トヨタ自動車はほぼすべての総合職で、在宅勤務を認めると発表した。会社に出勤してフルタイムで働いてほしいと言っていては、労働力を確保できないからだ。つまり今後は事務所に出勤する人が減ることで、オフィス街のある都市部は昼間人口も変化していく。
テクノロジーが生活に浸透する社会
すでに現在、タクシーやトラックなどの無人運転や、ドローンによる品物の宅配が実用化に向けてテストされているように、10年後はAI(人工知能)などのテクノロジーが生活に浸透する時代になる。また現実の空間に擬似的な映像を映し出すVR(仮想現実)といった技術も発達し、映画などの娯楽産業以外にも様々な関連ビジネスが生まれるといわれている。労働力が足りなければ、テクノロジーでカバーする時代がやってくるのは当然だ。
このような10年後の社会で、飲食店はどう変わってゆくのか――。座談会では「接客」「調理」「場」の3つの要素にフォーカスして、登壇者がトークを繰り広げた。
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