企業インタビュー
2016年08月02日
青野玄(あおのたかし)…1980年、福岡県生まれ。2003年横浜国立大学教育人間科学部マルチメディア文化学科卒業後、音楽プロダクションへ入社。2004年に同社を退社し、株式会社エスエルディーを設立。2005年、渋谷区神南に『kawara CAFE&DINING 神南本店』をオープンする。以降、都市部を中心に主にカフェダイニング業態の店舗を展開。2015年3月にはジャスダックに株式上場を果たした。
新規出店ごとに地域に必要とされる店をゼロから考え、最も適した業態を作り上げている株式会社エスエルディー。直営店71店舗のうち、主軸となる和の『kawara CAFE&DINING』は約30店舗あるが、それぞれの店に地域ごとのローカライズを施しているため、お客様が系列店に訪れても、同じ会社の店だと気付かれないこともあるという。
多店舗展開しながらも、あえて各店の作り方を変えることで、利益を最大化したいと言うのは代表の青野玄氏。通常の飲食業の多店舗化のセオリーからは外れるが、2004年の設立から順調な成長を遂げ、2015年にはジャスダック上場を果たしている。
今回は、店舗展開におけるポリシーと、それを実現するための人材育成のノウハウなどについて、青野氏に伺った。
【Q】創業当初は、飲食業ではなかったそうですが。
前職の音楽プロダクションを退職すると同時に、明確なビジョンもないまま資本金5万円で、自分の会社を設立しました。飲食業も考えていましたが、まだ資金も信用もなかったので、学生時代から行っていた音楽イベントや船上イベントの運営から始めたのです。
創業から1年半ほど経ったころ、ようやく資金も調達できるようになって、改めて飲食店用の物件を探し始めたのです。
【Q】なぜ、『瓦』カフェだったのでしょうか?
カフェなのに本気の郷土料理
『kawara CAFE&DINING』がオープンする前後の、いわゆる“カフェブーム”には、少し排他的な雰囲気が漂っているように感じていました。どの店も特徴的で面白いのですが、その店のカルチャーにそぐわない人は、少し入りづらいような…。
私は個性的でもいいけれど、もっと懐の深い店を作りたかったのです。例えば、田舎の両親を連れて行っても、喜んでくれるような店ですね。私の両親は山口県の出身なのですが、地元料理に『瓦』を、器や鉄板代わりに使った料理があります。こういうインパクトの強い和食を、メニューに取り込めたら幅広い世代に喜んでもらえるかなと。
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