業界動向
2016年06月13日
近年、スーパーやコンビニ等でノンアルコール飲料を目にする機会が増えた。また、飲食店でアルコール類と並んでノンアルコールメニューが常備されているのも、もはや当たり前の光景になっている。2002年の道路交通法の改正をきっかけに、広がりを見せたノンアルコール飲料。当初はアルコールの代用品のようなものだった。それから10数年、時代の変化とともに利用シーンも変化をみせているようだ。
今回は、そんなノンアルコール飲料の市場の推移と飲食店への導入ニーズを、消費者動向などから考察してみたい。
ノンアルコール飲料は、ブームの起きた2009年以前にも存在したが、法的にはアルコールが1%未満であれば「ノンアルコール飲料」を名乗れるため、実際には微量のアルコールが含まれるものだった。
日本初のアルコール度数0.00%のノンアルコールビールが登場したのは、2009年のこと。キリンが発売した「キリンフリー」だ。極端にお酒に弱い体質の人や、ドライバー、妊婦なども飲用可能となり、ノンアルコール飲料の市場規模や認知度は一気に拡大した。同年のうちに、アサヒ、サントリー、サッポロなど各社から同様の商品が次々にリリースされ、「ノンアルコール飲料」というジャンルが確立していく。
翌2010年には、カクテル、チューハイ、梅酒テイストなど、ビール以外のノンアルコール飲料(RTDテイスト飲料)も加わり、2012年には、4000万ケースを突破するまでに拡大した。
2012年以降、販売数量はほぼ横ばいとなり、市場は飽和したように見える。しかし、2015年の消費者アンケートの調査結果では、ノンアルコール飲料の認知率は96.6%にも上り、月1回以上飲用している人の飲用量は、67.6%が3年前と比べ「増えた」と答えた。さらに過半数を越える52.9%が、今後も「増えそう」と予想している。
2010年~2011年頃、ノンアルコール飲料の消費量大きく伸びた背景としては、外食需要での影響も大きい。外食企業大手の株式会社コロワイド東日本では、若者の飲酒離れや、女子会ニーズなど需要の変化を踏まえ、ノンアルコール飲料を飲み放題にした「ノンアルコール宴会プラン」を2011年から取り入れている。
また、近年では消費者の利用シーンも多様化し、仕事の合間のリフレッシュや行楽地の飲食店でもノンアルコール飲料が選ばれるようになっている。
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