ハラール食ビジネスの第一歩

外食編~イスラム教徒を呼びこむ、飲食店のハラール対応。ムスリムフレンドリーという選択も

2016年04月21日

「CoCo壱番屋は、“日本の美味しいカレーを海外に提供する”という戦略を立てたうえで、日本のカレーの人気が根強いASEANに進出しています。シンガポールにはイスラム圏外の国から数多くの外国人が居住し、インドネシアやマレーシアにも、『認証がない店では食事しないムスリム』がいる一方で、『豚が入っていなければ認証の有無は気にしないムスリム』も一定数います。CoCo壱番屋は、そうした人たちをうまく集客しています」

訪日ムスリム客に対応する飲食店のハラール戦略

ここからは、訪日ムスリム客のインバウンド需要に対する飲食店の対応を見てみよう。

「ムスリムのインバウンド需要は年々大きくなっていますが、大手外食チェーンの参入はほとんど見受けられません。東京五輪に向けて訪日ムスリム客の増加が見込まれるなか、中小規模の外食企業にもビジネスチャンスが開かれているということです」

そこで今、ムスリムの集客で成功を収めているのが、東京・浅草のラーメン店「成田屋」だ。ハラール(昆布や魚介類)のダシでつくる醤油ベースのラーメンを提供し、店内にはムスリムが祈りを捧げるプレイルームを設けている。

「この店は日本でも珍しい100%ハラールの店。『宗教法人 日本イスラーム文化センター』のハラール認証を取得しています」

訪日ムスリムにとって希少価値が高い、ハラール認証のラーメン店。その店舗情報をホームページやFacebook上で英語を使って発信すると、ネット上で瞬く間に評判が広がり、これが「成田屋」の集客力につながっているのだという。

だが、国内の飲食店がハラール認証を取得するハードルは高い。

「ハラール認証の申請は、イスラム圏の各国の認証機関が公認した、日本に約20ある認証機関のいずれかで対応してくれます。ただ、取得するとなると、提供する料理はすべてハラールであることや、アルコール類の提供禁止、ムスリム従業員の雇用も求められます。お酒が出せないので、いわゆる宴会やパーティーを催すことができなくなり、日本人のお客様に来店いただくのが難しくなる可能性があります」

そこで、店の厨房や調理機器などで“部分的に”ハラール基準を満たしていればいいとする、ムスリムフレンドリーという取り組みがある。「部分認証」「ローカルハラル」とも呼ばれる。正式なハラール認証ではないが、「部分的もしくは段階的にハラールに対応している」証明として、飲食店での提示が可能だ。

「ムスリムフレンドリーではハラールとノンハラール(ハラーム)を、厨房、調理器具、食器の3つで明確に分ければ、同じ店で提供することができます。具体的には、厨房の一部をハラール対応にして専用の包丁やまな板、鍋を置き、そこでハラールの食材を調理し、専用の食器で提供する形です。その体制を店内につくれば、日本人向けにノンハラールの料理やアルコールを提供することが可能になります。また、ハラールを管理する研修を施せば、ムスリムを雇う必要もありません」

ハラールマークがついた専用の食器で提供している

ハラールマークがついた専用の食器で提供している

この取り組みを使い、ムスリムという新規顧客の獲得に成功しているのが、東京・港区にある焼肉店「炭やき屋・西麻布本店」である。約20年前に焼肉・ホルモン専門店として開業し、5年前に認証を取得した。現在は来店客の約50%がムスリム客だという。

「この店では、日本人客向けにお酒(アルコール)を提供しています。しかし、厨房で扱う調理器具や食器はハラール専用のものを揃えており、牛肉や鶏肉もハラールに対応しています。ハラール肉はと畜方法が違うだけで味も食感も変わりませんので、日本人の客にも同じ肉を提供しています」

さらに、もう少し手軽にできるハラール対応の方法もある。

ハラール食ビジネスの第一歩  バックナンバー

おすすめ記事

関連タグ





メルマガ登録はこちら
フーズチャネルタイムズ 無料購読はこちら