業界動向
2016年04月05日
ロサンゼルスからブームの火が付き、今やアメリカでは一家に1本の存在となっている「シラチャーソース」。ここ数年、新しい調味料が続々と登場して話題を集めている日本においても、2015年頃からジワジワとブームの波が広がっている。輸入食品専門店やネット通販等で取り扱い店舗は徐々に増えてきており、ファンの間では「見つけたら即買い!」と言われるほどの人気ぶりだ。2016年1月には亀田製菓が「柿の種シラチャーソース味」を発売し、それまでその存在を知らなかった消費者にも認知が広まっている。
そこで、日本での本格的なブーム到来を前に、シラチャーソースがアメリカで広まった経緯や活用ヒントを、シラチャーソースに詳しいアメリカ在住のシェフ、サナエ・シカヤマ・ベイカーさんにお話を伺った。
日本のフレンチレストランで修業後、アメリカのカリフォルニア州バークレーやサンフランシスコのレストランでシェフを務めた経歴を持つシカヤマさん。現在はカリフォルニアハワイアン料理の店でコックとして働いている、まさに西海岸の食事情に精通している人物だ。
そんなシカヤマさんに、まずはシラチャーソースとは何なのかを聞いてみた。
「シラチャーソースのルーツは、唐辛子、砂糖、塩、酢、ニンニクが原料の、タイの伝統的な調味料『シラチャ』です。発祥地であるSiRachaという町にちなんで名付けられ、東南アジア各国ではタバスコの様な存在として親しまれてきたといわれています」
そんなタイ発祥の調味料『シラチャ』が、シラチャーソースとしてアメリカでブームとなるきっかけは、約30年も前に遡る。
ロサンゼルス在住のベトナム系アメリカ人が、母国で慣れ親しんだ味を試行錯誤の末に再現し、シラチャーソースとして商品化した。アジア系のレストランから人気の火が付き、タバスコと並ぶ辛味調味料として、他の食品メーカーからも販売されるようになった。
今では、バーベキューやシーフード、フライ、ハンバーガー、ピザ、カリフォルニアロールなど、あらゆる料理に使える調味料として重宝されている。さらに料理以外では、ポテトチップスなどお菓子のフレーバー、カクテルなどのドリンク、スイーツもあるようだ。
「アメリカやカナダでは、ほとんどのレストランやカフェにシラチャーソースが置いてあります。スーパーでも同じで、売っていない店がないほどの常備品となっており、無添加やオーガニックのものまで売られるようになりました。タバスコよりも人気があり、ブームの域を越えて家庭では日常の調味料として定着している感じです」
アメリカの料理雑誌やレシピ本にも登場することが多いシラチャーソースだが、料理のプロであるシカヤマさんにとって、その魅力は何なのだろう。
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