企業インタビュー
2016年03月01日
藤森 真(ふじもりまこと)…1972年、東京都生まれ。専門学校のホテル学科卒業後、バーテンダーとしてフレンチレストラン
に勤務。その後、世界的ソムリエ田崎真也氏の下で研鑽を積み、株式会社スティルフーズ入社。レストラン支配人を経験し、
2010年株式会社シャルパンテを設立。飲食店4店舗、酒販店2店舗を展開し、現在店舗プロデュースやワインスクールも
手掛けながら、お酒と食の新しい楽しみ方を広めている。
今でこそ飲食店も増え、賑わいをみせている、東京・神田駅の東口界隈。しかし、ワインバルの火付け役ともいわれる「ワイン居酒屋ヴィノシティ」がオープンした2010年当時は、周辺に飲食店や居酒屋がほとんどなかったという。
そんな街に、ワインバルを根付かせ、ワインの楽しさを広めることに成功したのが、株式会社シャルパンテの代表取締役、藤森真氏だ。
2015年12月には、銀座8丁目に念願の新業態のレストランをオープンさせ、今波に乗っている藤森氏に、自身が描く飲食店のあり方、また経営者としての気構えについて伺った。
【Q】ヴィノシティの1号店は、東京・神田に出店されていますね。
ワインをメインにした業態を考えていたので、初めは東京の西側のエリア、特に恵比寿、麻布十番、渋谷など、ビジネスマンと観光客などが、半々に集まってくる地域をイメージしていました。
しかしそのエリアで実際に物件を探して、しかも路面店がいいな…と色々考えると、見積り上どうやっても赤字だったのです。いつまでたっても出店計画が立ちませんでした。
そこである日、少し足を伸ばして、神田まで不動産物件を見に行ったんです。すると駅も近くて、家賃も安くて、広さもちょうどいい物件がすんなり見つかりました。ただし路面店ではなく、地下の店だったのです。
とにかく初めての出店ということもあり、まずは店の前を何人の人が通るのか、調べることから始めました。店の向かい側の喫茶店にひとりでこもって、平日、土曜日、雨の日、晴れの日と、条件を変えながら人の流れをカウントしたのです。
地下へと階段が延びるヴィノシティのエントランス
すると、オフィス街が近いせいか、晴れでも雨でも通る人の数は変わりませんでした。しかも、平日のピーク時は1時間に1,000人くらい店の前を人が通るんです。まあオフィス街なので土曜日は全然ダメでしたけどね。
紹介された物件は席数が35席だったので、計算上は1時間当たりおよそ3%の通行人が、店に入ってくれればほぼ満席にできるわけです。すごく単純ですけど、3%くらいならいけるんじゃないかなと考えて、そこに決めました。
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