企業インタビュー
2016年02月12日
2013年のオープン以来、女性客を中心に連日賑わう「フレンチ前菜食堂 ボン・グゥ神楽坂」。神楽坂駅の神楽坂口から徒歩1分の好立地で、フレンチレストランながらコース料理ではなく前菜に特化した“食堂”を名乗る新たな業態だ。フランス料理オーグードゥジュールグループのシェフを経て、株式会社キャーンズの代表取締役社長となった野口尚人氏に、オープンから人気店に成長するまでの紆余曲折を聞いた。
きっかけは、冗談混じりの雑談だったという。当時、野口氏が働いていた会社の社長や、シェフ仲間達と「こんなコンセプトの店があったらいいよね」「なんでこういう店ないんだろうね?」とたわいもない会話に花を咲かせていた。そのひとつが“前菜だけのフレンチ”だった。
前菜が主役。と大きく書かれた看板が目を引く
「確かに面白いけど、コースなしで全てが前菜のフレンチレストランなんて、正直無理じゃないかって。初めはメニューも100種類くらいと想定して話していたので、全て注文を受けてから作り始めたのでは、単純に厨房が対応しきれないだろうなと」
しかし、この妄想話は、思わぬ展開を見せる。
「コンセプトを詰めるよりも先に、手頃なサイズの空き物件が見つかり、とんとん拍子に新店舗の話が進んだんです。最初は『じゃあ、やっちゃう?』みたいなノリでしたね」
野口氏は働いていたレストランで、新業態の店の料理長として“メニュー作成”を一任され、いよいよ“前菜食堂”というコンセプトが本格的に形になっていった。
そして、2013年3月「フレンチ前菜食堂 ボン・グゥ」はオープンする。滑り出しは快調で、さらに嬉しい誤算があったそうだ。
同じ料理でも、豊富なサイズの
バリエーションがある
「そもそも、“前菜食堂”のヒントになったのは、『フレンチは好きだけど、年齢的にコースの量はちょっと…』という、お客様の声だったんです。ですから、当時のターゲットは40代後半から50歳以上の夫婦のお客様を想定していました。ところがオープンしてみると、想定以上に20代や30代の女性グループが多かったんです。今もお客様の女性率は80%を超えていますね」
確かに、フレンチでありながら、ヘルシーな野菜と魚がメイン。お酒を飲みながら、自分の好きな料理だけ色々つまめる。
こんな“お得感”を世の女性達が喜ばないはずはなかったのだ。
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