経営者インタビュー

スープストックトーキョー・松尾真継社長~分社化で新社長に就任。“お酒”や“和”を取り入れた新業態で、次のステージを切り開く

2016年01月19日

【Q】「世の中の体温をあげる」とは、どういう理念でしょう?

外食企業として、当たり前に満たさなければいけない部分は確かにあります。例えば、美味しいことは当然ですし、食材へのこだわり、食べ続けても不健康になるものは出さないとか。それは、使命であり義務だと思いますが、提供しているものを通じて食欲を満たしたということだけで終わりたくないのです。

1杯のスープを通じて心や体が温まったとか、勇気が湧いてきたとか、涙が出てきたという体験を提供したいと思っています。それを続けられれば、シェアナンバー1 を獲得するとかにこだわらなくても、企業として成立しうるだけの経済合理性も得られる。つまり、お客様がこのブランドを生かし続けてくださると思います。

ですから、我々の競合は外食企業ではありません。むしろ、アートや映画、本など、作り手の思いが込められている作品こそが競争相手だと思います。

食材へのこだわりについて、もう一度考え直させられたある事故

【Q】御社がこだわる食材ですが、過去に一度、事故が起きてしまいました。

2008年、産地偽装された汚染米を見抜けずに使ってしまいまし た。お客様に大変申し訳なく、また原料にこだわっていたはずなのにと悔しくて・・・。それで、素材や加工品も含め全ての食材を産地レベルから見直したのです。

例えば、国産に比べて安いという以外の理由が見つからない中国産の生姜やにんにくを国産に切り替えました。今も、国産の原料をアピールしているわけではありません。しかし、お客様の「スープストックトーキョーなら素材にこだわっているはず」という、期待と信頼を裏切ってはいけないと考えています。

またそのタイミングで、商品の産地やアレルギー情報などの詳細が書かれた商品規格書も見直し、流通経路や原産地証明がある原料以外は使わないと決めました。当然、原価は跳ね上がりましたし、そもそも売るものがなくなってしまったんです。原材料が変わると味が変わってしまうのでレシピも見直したところ、50種類あったレシピが8種類しか残りませんでした。

現場のスタッフからは、「お客様が飽きてしまう」「これでは商売にならない」という悲鳴が挙がりましたが、そこは真剣にやりきろうと決めていました。

【Q】その決断をするにあたり、社内をどう説得されたのでしょうか。

「何のためにオレたちは仕事をしているのか。世の中の体温をあげる仕事をしているんだぞ!」と言い続けました。

日々新聞やネットニュースで「スープストックトーキョーで汚染米」と書かれ、お客様からは「がっかりした」「裏切られた」という電話が鳴り続けました。

そのタイミングでメニューを減らすと決断したわけです。しかし私は「事故のニュースが風化していったとしても、もし自分たちが不誠実な対応をしてしまったらその気持ちは残り続ける。我々はそれを許せる集まりじゃない」という話を、何十回も繰り返しました。


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