企業インタビュー
2015年10月30日
右田孝宣(みぎたたかのぶ)…1974年、大阪府生まれ。高校卒業後に鮮魚店へ就職。23歳の時に渡豪し、現地で回転寿司チェーンを運営する日系企業で勤務。帰国後に居酒屋を開業し、2007年にはサバ寿司の製造・販売を行う株式会社鯖やを設立。2014年に外食事業に特化した株式会社SABARを立ち上げ、とろさば専門店「SABAR」を大阪にオープンした。
大阪の福島で2014年に開業するや、またたく間に予約の取れない人気店となった「SABAR」をご存じだろうか。「動物性タンパク質はサバしか扱わない」というルールを守りながら、現在、近畿と東京に6店舗を展開するサバ料理専門店だ。このあとも東京の銀座・日本橋・大門、京都の桂川、大阪の難波、さらにシンガポールなどで新店舗が決まっており、外食業界にちょっとした「サバブーム」を巻き起こしている。
この「サバに完全特化」という他に類を見ない業態を仕掛けたのは、株式会社SABARの右田孝宣社長。サバ寿司の製造・販売を行う株式会社鯖やの代表も務め、サバへの愛とこだわりを貫き続ける信念の人だ。注目される機会の少ないサバという商材をどのようにいかし、旋風を巻き起こしているのか。ブランド戦略や遊び心あふれる店づくりなど、そのユニークな経営手法についてお話を伺った。
【Q】サバという素材に注目されたきっかけを教えてください。
20代の頃、ワーキングホリデーを利用して、オーストラリアのお寿司屋さんに勤めていたことがありました。その時に、「外国の方にしめサバをおいしく食べてもらうにはどうすればいいか」を研究し始めたことがはじまりですね。
鯖やで販売しているさば寿司
帰国して開いた居酒屋でもサバ寿司の評判が高かったので、2007年にサバ寿司の製造と法人向け配達サービスを行う株式会社鯖やを立ち上げました。起業時に考えていたのは、「サバ一本でどこまでビジネスを大きくできるか」です。だから、鯖やが倒産の危機にあったときも、サーモンやマグロには浮気せず、サバ一本でここまできました。「俺はお前しか見てない」と、「それでダメなら仕方ない」と。
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