業界動向
2015年10月06日
「スライダー」という料理をご存知だろうか。その名前から推察することは難しいが、簡単に言えばハンバーガーのミニチュア版だ。重さは通常のハンバーガーの3分の1程度。直径7cmほどのバンズを使っており、「喉を滑り落ちていく(スライドする)ほど小さい」ことから、その名前がついたと言われている。ハンバーガーの本場アメリカで誕生し、日本でも2014年あたりからジワジワと広まりつつある。最近では、首都圏を中心にしたレストランでの期間限定販売や、六本木ヒルズで開催されたバーガーグランプリへのエントリーなど、目にする機会も増えてきた。
新メニューとして飲食店に新たな強みをもたらしてくれそうなスライダー。本格的なブームを迎える前の今だからこそ、ハンバーガー探求家でフードアナリストの松原好秀さんによる考察とともに、スライダーの正体と魅力について迫ってみたい。
松原好秀さん。ハンバーガー関連書籍
「HAMBURGER STREET」も執筆。
松原さんによると、スライダー発祥の地はアメリカ中西部カンザス州だという。
「1921年に創業した全米初のハンバーガーチェーン『ホワイトキャッスル』が、サイズも値段も手頃なハンバーガーを出したのが元祖だといわれています。スライダー、イコール『ホワイトキャッスル』という代名詞的メニューのようです。その後、徐々に扱うお店が広がり、今ではほぼ全米で親しまれています」
現地では、どのように提供され親しまれているのだろうか。
「アメリカ全土をはじめ世界中から人種と文化が集まるニューヨークを例に挙げると、バーや酒場ではお馴染みのフードメニューです。スライダーをつまみながらビールやカクテルを楽しむ姿は、よくある光景ですね。また、パーティーなどのアミューズとして提供される機会も多いようです」
確かに、アメリカの映画やドラマのワンシーンで、テーブルの上にずらりと並ぶ小さなハンバーガーを目にすることがある。そんな人も少なくないだろう。
「小さく手軽につまめるので、軽食代わりになることはもちろん、お店で出している他のメニューへの誘導にも有効なものだと思います。酒場なら、お酒のおかわりや他のおつまみのオーダーとか。満腹になりたい方はレギュラーサイズのハンバーガーを、いろいろなメニューを楽しみたい方はスライダーを注文されるようです」
本場アメリカから上陸して以来、日本でもジワジワと広まりつつあるスライダーはどのような存在なのか。レギュラーメニューとして提供している飲食店での実例を、松原さんに紹介いただこう。
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