企業インタビュー
2015年10月05日
愛知県名古屋市の名古屋駅近くでバル業態を中心に展開している、株式会社マールダイニング。2013年5月に4業態目の「ワイン食堂カドマル」をオープンした。カドマルの店舗面積はわずか2.5坪、たった8席という小さな店だ。
しかし、売上の方は小さくまとまらない。一般的な算出で坪当たりの月商(坪売上)が20万円なら“繁盛店”という見方もある中で、平均120万円以上という驚異的な数字を叩き出している。オープン以来、右肩上がりの売上を出し続ける店の秘密は何か?代表取締役の秋山清高氏に聞いた。
秋山さんは18歳の頃から飲食業に携わり、30歳を機に飲食店の事業を開始した。経営者として10年間で80店舗を立ち上げる。しかし、順風満帆な毎日を送る中で、ふと疑問に思うことがあったという。
「10年ほど“現場”から離れて新業態の店舗を考えたり、会社のシステムを作ったりすることに専念していました。しかし改めて、お客様の気持ちをもっと理解するためには、自らが“現場”にいることが大切ではないか。と思い始めたのです。」
40歳。これが最後のチャンスと思い、会社を退任して、自ら現場に戻る決心をした秋山さん。満を持して新会社を始めるには、売上だけを追い求めるのではなく“自分がお客だったら行きたい店”を中心に考えたという。海外に行く機会が多かった秋山さんは、スペイン語圏や南ヨーロッパで盛んな “バル”文化に注目した。
「小さなスペースで、ワイワイ楽しく喋って、立ちながらワインを酌み交わし、安価なつまみを食べる。そんな文化を店に取り入れたいと思いました。当時は、『名古屋は車社会なので、立ち呑みやバルは難しい』と言われていました。でも、誰もやっていないからこそ自分で作ろうと思ったのです」
秋山さんが立ち上げた「カドマル」の前身に当たる「イタリア食堂MARU」は、オープンしてすぐに評判の店になった。多くの人に支持され、その後も縁あって物件を次々に紹介され、バル業態を拡大していく。その中のひとつが、とある小さな物件だった。
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