業界動向
2015年09月01日
ビヨンセやジェニファー・ロペス、ミランダ・カーなど海外セレブが愛用し、健康的なダイエットを成功させていることで注目を集めるスーパーフード「キヌア」。日本でも各メディアがこぞって取り上げ、女性を中心にブームの波が高まりつつある。最近では、バラエティー番組のダイエット企画で、お笑い芸人がキヌアを使った料理を食べて1週間で4kgの減量に成功したことも大きな話題を呼んだ。
今回は、日本初のキヌアレシピ本『アンデスのスーパーフード おいしい!キヌアレシピ』の著者で、フランスの三ッ星レストランでの修業経験もある料理研究家・中医薬膳師・国際中医師の村岡奈弥さんに、キヌアの魅力と飲食店が導入する際のポイントについて話を聞いた。
キヌアとは、ほうれん草やとんぶり、てん菜などの仲間に属するヒユ科アカザ亜科アカザ属の一年草。原産地は南米のアンデス山脈一帯で、現地では約5000年前から食用し「穀物の母」と称されてきた。直径約2mmの小さな種子は、日本穀物協会ではヒエやアワ、キビなどイネ科の作物と同様に雑穀に分類されているが、正確には擬似穀類で穀物ではないという。
16世紀のスペインによるインカ帝国征服で姿を消したが、1990年代には世界中から注目されるようになった。NASA(アメリカ航空宇宙局)がその特性に着目し、「21世紀の宇宙食」として推奨したのだ。以来、欧米では、栄養バランスに優れ一般的な食品より栄養価が高いスーパーフードとして人気を博し、様々な料理の素材としてはもちろんパンやパスタなどの原材料としても利用されている。
日本でもブームの兆しはあるものの、まだまだ馴染みが薄いキヌアという食材。世界中が注目する理由はどこにあるのだろうか。
日本におけるキヌア料理の
第一人者、村岡奈弥さん
「米粒半分ぐらいの小さくて可愛らしい粒の中に、凄いパワーが詰まっているんです。白米に比べ、10倍の食物繊維、6倍のカルシウム、5倍の鉄が含まれています。また、2倍のタンパク質は9種の必須アミノ酸をバランスよく含んでいるので、健康と若さを保つ完全食品といえますね。さらに、米や麦などと違ってキヌアにはアレルゲンがないので、穀物アレルギーをもつ人をはじめ、妊婦さんや赤ちゃん、高齢者の方まで安心してオススメできます」
そんな村岡さんがキヌアに注目するようになったのは、国連が定めた「国際キヌア年」の2013年。知人を通じてキヌアを使ったレシピ本の制作を依頼されたのがきっかけだったという。
次のページ: レシピ制作を通じて、明らかになったキヌアの魅力
>> もっとみる