企業インタビュー
2015年05月29日
熟成肉の人気が加熱している中、飛ぶ鳥を落とす勢いで伸び続けているブランドがある。京都発祥の熟成肉専門店「ステーキハウス 听(ポンド)」だ。
日本では設備やノウハウの問題で、どうしても高価になりがちな熟成肉だが、「听」は和牛の質にこだわりながらも、1人あたり5000円程度という安さを実現。2013年7月のブランド設立から2年を待たずに京都、大阪、東京などで20店舗のチェーンを展開し、5年で50店舗という目標に向けてその勢いはさらに加速している。
その成長の秘密を探るべく、「听」を運営する株式会社T.Sコーポレーションの代表取締役社長・徳山哲大さんを訪ねた。
株式会社T.Sコーポレーション
代表取締役社長・徳山哲大さん
今や予約の取りにくい店として話題を呼んでいる「听」だが、その立ち位置は一朝一夕に確立されたわけではない。
「2009年に黒毛和牛のステーキハウスを開いたんですが、鳴かず飛ばずの状態で細々とやっていました。そんな状態が5年ほど続いてもがいていたところ、熟成肉についてよく耳にするようになったんです。そして、熟成肉という自分にとっては未知の食べ物を初めて口にしたときに、『お肉ってこんなに美味しいのか』と衝撃を受けました」
その後、本場アメリカの専門店を訪ね、熟成によって柔らかさも旨みも格段に増した肉を食べ歩く中で、「アメリカの肉でこんなに美味しいのなら、和牛でやればもっと美味しいんじゃないか」という思いが頭をよぎるようになる。
熟成することで柔らかく、 旨みのあるお肉になる
「和牛といえば霜降りのイメージが強いですが、脂が重くてそれほどたくさん食べられないですし、最近では健康への影響を気にする方もいらっしゃいます。とはいえ、日本人はすでに口が霜降りに慣れてしまっているので、外国産の硬い赤身を普通に食べても美味しいとは感じないでしょう。それなら、和牛を熟成して今まで食べたことのないようなお肉にすれば流行るのではないかと」
高級霜降り和牛と安価な外国産牛の間をいく、これまでにない美味しさの熟成肉。それを、できるだけ低価格で提供することで、一人でも多くの人に熟成肉の魅力を知ってもらいたい。「听」は、そんな徳山社長の熱い思いを具現化していく店となる。
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