企業インタビュー
2014年07月25日
JR北千住駅西口からほど近い飲食店が建ち並ぶ一角。数メートルの間口に4坪13席と、決して広いとはいえないながらも客足の絶えない賑やかな店「アガリコ 餃子楼」がある。2011年、池袋にオリエンタル・ビストロ「アガリコ」を出店して以来、北千住、中野、札幌、町田などで6店舗を展開しているBig Bellyが、2014年5月に7店舗目としてオープンした餃子が主役の新業態だ。Big Bellyの代表はかつてグローバルダイニングが運営する「モンスーンカフェ」の旗艦店で料理長などを歴任した大林芳彰氏。新たな業態に餃子を選んだ理由はもとより、大林氏の飲食店出店の戦略と成功へ導く秘訣を聞いた。
「まず『アガリコ』のコンセプトはエスニックとワインがメインとなる、それまであまりないジャンルの組み合わせで、25歳から35歳くらいまでの女性をターゲットにしています。客単価は3000円以下に設定し、お通しとチャージがないというのがうちの特徴でしょうか。その方が、お店には入りやすいですからね」
手間を惜しまず手作りされる、看板メニューの焼餃子
そんな「アガリコ」のなかで、「アガリコ 餃子楼」はどのようにして生まれたのだろうか。新業態となる「アガリコ 餃子楼」をオープンした理由について、大林氏はこう話す。
「北千住では、もともとオリエンタル・ビストロ『アガリコ1/3』をやっていたわけですが、その並びにたまたま4坪8畳の物件が出たんです。店は既に飽和状態でしたし、何か新しいことをやりたいという思いがありました」
店の規模に制限がある中で、餃子をメインに据えるというアイデアは北千住というロケーションと同社の独立支援システムから生まれた。
「うちでは、他店での飲食代費用負担や年1回の無料海外研修を含め、スタッフが無借金で独立できる支援システムをとっています。『アガリコ 餃子楼』を仕切っているのも、空港でパッセンジャーサービスに従事していた人間で、飲食業界とはまったく違う業界にいました。未経験の状態から2年間、北千住の店で経験を積んで独立した店なんです。4坪なら家賃は10万円強で、そんなに負担がかかりませんしね。ただ、飲食経験という意味で『アガリコ』のメニューを手掛けるには浅い。それで、お客様にとってもわかりやすく手間をかけて美味しくできるものは何かと考えて思いついたのは、カレーか餃子でした。北千住には、ラーメン屋さんはあるんですが、餃子屋さんがナショナルチェーンを持ってなかったんですね」
経験の差を埋めるために選んだのは、餃子だった。「手間をかけられるところは手間をかけて、とにかく面倒なことを惜しまずやり通す。その“手間ひま”を味にしっかりと落とし込めるものといえば、餃子だなと。お客様が普段食べ慣れているものだからこそ、丁寧に作ったものは差別化できるんだと思います」
餃子のレシピは料理の世界をずっと見てきた大林氏が担当し、それを手抜かりなく作っていくことで、お客を呼べる餃子に仕上げられる。
「餃子の皮も餡も手作りで、チャーシューも一から手仕込みです。もちろん、焼き餃子と水餃子では皮の粉の配合を替えています。仕込みにかける手間と労力は半端ないですね。人気メニューの麻婆豆腐でもそうですが、仕込んだソースを冷蔵庫に入れておいて、オーダーが入ったら温めるだけの状態にしておきます。やっぱり、仕込みをしっかりやっているかどうかで、味に違いが出ますからね」
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