経営者インタビュー

老舗の条件「メニューを変えるな」「経験に嘘をつくな」~株式会社つばめ 石倉悠吉代表取締役社長

2014年07月01日

【Q】生産者とのつながりについてお聞かせ下さい。

生産者情報を店頭とウェブサイトで毎日載せている

メニューを変えないことのもう一つのメリットに、生産者とのつながりの強化が挙げられます。生産者にとって、一時的にいっぱい買ってもらうのではなく、継続的に買ってもらって徐々に量を増やしていくという付き合い方が一番よいです。コックは素材を超えられませんから、自分たちと一緒に苦労し、共感し、自分たちの求めるものを一緒に作っていこうという生産者を見つけることが、良い料理につながると思います。

飲食は需要がある程度確実に見込める商売です。ある程度お店を出していれば、いきなり売上げが半分になることはないですし、来年の需要もわかります。その計画を農家さんに共有し、農家さんとの関係に結び付けていくことが大切です。

外食は将来有望な産業

【Q】会社経営に携わった約50年間で最大のピンチと、それをどう乗り越えたかを教えてください。

ピンチはたくさんありました。例えば私がつばめグリルを継いだばかりのとき、保険に入っていないのに店が火事で燃えちゃったりとか、コックさんの総上がりを食らったりとか。今振り返ると、大変なことが起きていたなあと思うのですが、当時の私はあまり深刻にならずに「よし、今度は自分が好きなように店を建てられる」「今度は自社でコックを育てていこう」と、次にやりたいと思うことを描いていましたね。

そのように前向きでいられたのは、ピンチになったときに、誰に相談すればいいかというのがわかっていたからだと思います。普段からいろんな人に大変なときの話を聞いておいて、いざ自分がその立場になったときに、「あの時あなたが話していたようなことが自分にも起こってしまった。あの話、もっと聞かせてくれ」と相談できる人を作っておくことですね。

ピンチになってから新たに話を聞きにいく人を探すようじゃダメです。ダメになってからつかんだワラはダメだというのが私の意見です。

【Q】今後の運営計画について教えてください。

「つばめや」のメニュー

当初は、コックさんへの給料を払い続けるために多店化を目指したのですが、いまは人の成長に合わせて、そしてお客さんの望みに合わせて店を出すというようにしています。基本的なところはいままでと変わりません。ただ、お客さんが食事をすることに加え、飲食店という場所に楽しむとか時間を過ごすという要素が増していることは感じていますので、表現の仕方を変えていかないといけないとは思っています。

【Q】これから飲食店を始めようとしている人へのメッセージをお願いします。

私自身は、外食産業は将来有望な産業だと思っています。だけど残念ながら、いま日本の外食産業は、付加価値を追求しなくなってきています。業態が長続きしないことを前提とし、原価率の低い海外加工の半調理品を使い、防腐剤や化学調味料で補い、パートに頼って早く投資を回収しようとしているような飲食店が多いように思えます。それらは見せ方を工夫しても、すぐに同質化して値段の叩きあいになります。

そうではなく、もっと本質的なところに入っていってほしく思います。毎日自分で食べておいしいと思うものを、コックさんが毎日試食し続けて美味しさの中に付加価値を追い求め続けるような店が増えてほしいですね。

株式会社つばめ

企業所在地:〒108-0075 東京都港区港南3-2-9
事業内容:飲食店
店舗:「つばめグリル」「つばめや」など24店舗。(2014年6月現在)
公式サイト:http://www.tsubame-grill.co.jp/

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