愛されるお店の作り方

タブーとされる価格帯。それでもファンが増え続けるお店~マーサーカフェ ダンロ(MERCER CAFE DANRO)

2014年05月30日

2008年、それまで誰も経験したことのない“カフェとレストランの間”というコンセプトを通奏低音のように流した「マーサーカフェ」の1号店が、東京・恵比寿の東口にオープンした。その後、表参道、恵比寿西口…といった具合に店舗を増やし続け、現在12店舗を展開するに至っている。新規出店後も既存店の売上げを伸ばし続けるマーサーカフェ。その愛される理由を、マーサーオフィス株式会社でPRとアートディレクションを担当する坂本耕一さんに伺った。

ニューヨークスタイルを東京で味わう

今回、インタビューの場所として伺ったのは、2010年にオープンした3号店となる「マーサーカフェ ダンロ」。平日の15時というアイドルタイムにも関らず、65席ある店内は女性客を中心に半分ほどが埋まっていた。

「マーサーカフェは、ニューヨークのSOHOにあるマーサーストリートにあるような、いわゆる『ちょっとイケてる』とか『なんかオシャレだよね』という“ストリートな雰囲気”のあるホテルのロビーラウンジのような空気感を、東京で再現できたらいいなというのがそもそもの始まりなんです」

店の中央には、このお店の象徴である石組みの大きな暖炉がある。

「暖炉とニューヨークが直結するというわけではないんですが、こんなものがお店にあるのは見た事がない、というのが狙いとしてあります。普段はテーブルとして使いつつ、パーティーなどではお客様が席として座ったりもします。暖炉の使われ方ということではニューヨークのスタイルと結びつくところはありますね」

それにしても、暖炉をこうも大胆に据えるという“違和感”は、舞台装置として十分過ぎる演出となっている。なぜ、暖炉だったのか?

「1号店は昼の営業がなく、夜から深夜までやっている“大人のファミレス”のような雰囲気で、2店舗目は青山のビル4階とルーフトップのテラスハウスがある春から夏頃の心地よい季節に合う店です。そこで、3店舗目は冬をモチーフにしました。その象徴的なものとして暖炉があるわけです。とはいえ、あくまで象徴で、夏場に売上げが落ちるかというとそういうわけではないですよ(笑)」

こうした店作りのコンセプトは、いったいどのように生み出されるのだろうか。

ターゲットは、思春期に第一次カフェブームを経験してきた人たち

昼間の様子。カフェ使いも食事使いもできるのが最大の特徴。

独特のコンセプトを持った店舗作りについて、坂本さんはこう話す。

「社長と副社長がおりまして、副社長の森野がクリエイティブディレクターなんですが、基本的にはこの2人の頭の中にあるものをプロが図面化するというのがオーソドックスなやり方です。彼らの頭の中には、100も200もやりたい事があると思います。それに付いて行くのも大変なんですけどね(苦笑)」

そうして作られるお店は、出店から時を経ても売上げを伸ばし続けている。

「ここマーサーカフェダンロで言えば、2010年のオープンから売上げは前年比20~30%増で毎年推移しています。ただ、マーサーカフェは、4000円から5000円ぐらいの客単価で、“高い”と言われることもあります。例えば飲食の専門学校とかではタブーとされている価格帯でやっているんですね。そこにうちのコンセプトがあるわけです」

軽めの食事がとれるカフェほどの低価格でもなく、フォーマルなレストランほどに高くはない。その中間に位置する価格帯に込められたコンセプトとは、いったいどういうことなのだろうか。

「マーサーカフェのターゲット層は30代前半から40代前半ぐらいで、思春期に第一次カフェブームを経験してきた人たちです。若い頃から身近にカフェがあって、でも今ではカフェを卒業して、ある程度自由にお金も使える。次のステップに行くにしても、フォーマル過ぎるレストランではいつも行けるわけではない。カフェでもレストランでもなければどこへ行く、となったときに、マーサーカフェがあるわけです」


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