企業インタビュー
2014年05月08日
「こんなに食べました!」-机の上に積みあがったハマグリの殻をカメラに収め、フェイスブックやラインなどへ投稿する。連日そんな多くの客でにぎわいを見 せる大阪・梅田のハマグリの専門店「はまぐり庵」今回は同店を経営する大和企業株式会社(大阪市北区、國次孝平社長)の村田徳次営業部長に、出店の経緯や人気を支える舞台裏について取材した。
「その手は桑名(喰わな)の焼きはまぐり」との諺があるように、三重県桑名市は日本有数のハマグリ漁獲量を誇る。そもそもハマグリは和の高級食材として知られ、都市部では流通量も少ない。しかし地元では、日常的に食される存在であり、ハマグリを焼いてわんこそばのように次々と食していく「焼きはまわんこ」という庶民的なメニューもある。
看板メニューの焼きはまぐり
この焼きはまぐりに着目したのが、大和企業だ。同社は従来から和食店を経営していたが、新規客層の獲得に向けて目玉となるメニューや食材を求め各地を奔走していた。
そんな中、ある取引業者の紹介を経て桑名を訪れた國次社長は、自身の舌でその美味しさを実感し、「目の前でグツグツと音を立てて焼き上がるライブ感、プリプリの身を頬張る贅沢感を再現したメニューは、相当なインパクトと話題性がある」―と、焼きはまぐりの提供を決めたという。
ハマグリへの期待度は高く、まずは店で提供するメニューの選定、提供方法について検討を重ねていった。やがてその期待は確信へと変化し、社長も「ハマグリの専門店にしてはどうか」と決断。もちろん 不安もあったが、「ハマグリを食する度、不安よりも成功する確信の方が勝っていった」(村田氏)とスタッフも自信をもって準備を進め、ハマグリとの出会いからわずか3カ月後の2012年7月に、はまぐり専門のダイニングとしてリニューアル。屋号も「はまぐり庵」と誰もが一目でわかるよう命名した。
「一般の方はまずご存じないでしょうが、ハマグリって『キュッ、キュッ』って鳴くんですよ」と語る村田氏。ハマグリをはじめ貝類はストレスに弱い食材ではあるが、はまぐり庵へ桑名から毎朝届くBOXからは、ハマグリの鳴き声が聞こえてくるほど。この活きの良いハマグリへのこだわりこそ、はまぐり庵を愛してやまないリピーターを生み出す秘訣といえるだろう。
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