企業インタビュー

ラグジュアリーブランドが手掛ける“ブランドワイン”の可能性

2014年04月29日

若者のアルコール離れからドリンクの売り上げが伸び悩んでいる、というレストランの話を聞く機会が増えた。そんな中、高級レストランや焼肉店、旅館やホテルなどで、ワインの新しいジャンルとして注目を集めているのが、グッチ創業者の4代目がプロデュースするTOBEGやVERSACE、MISSONNIなどラグジュアリーブランドが手掛ける“ブランドワイン”だ。今回は「日本でのワインの敷居を低くしたい」という思いで、ブランドワインの販売を行う株式会社acuesの増田裕一郎社長にその魅力を聞いた。

左からグッチ「TOBE G」、ヴィトン「XLV」、VERSACE、VALENTINO、MISSONI

ワインに詳しくない人でもわかる、という付加価値

日本でワインといえば、ボジョレーなどの出来立てや、ビンテージ、地ものなどがおなじみだが、ヨーロッパではそれに加えて、アパレルのブランドが作った“ブランドワイン”というジャンルが話題になりつつある。

ブランドが自社の畑を持ってブドウからつくる場合もあれば、請負人に委託してテイスティングを繰り返し、ブランドイメージとすりあわせながら作り上げる場合もある。通常はパーティの出席者や上客に配るために作られた非売品のことが多いが、最近では販売に乗り出すブランドも出てきた。

その最大の魅力は、難しくて敷居が高いイメージがあるワインに、誰もが知っているわかりやすい付加価値をつけられる、という点だ。

「例えば高級シャンパンの代表ともいえる、ドンペリやモエ・シャンドンでも、知らない人は知らないですよね。しかし、ブランドワインには何十年もかけて築き上げてきたそのブランドのイメージがあり、ワインが飲めない人、よく知らない人にも“すごいものなんだ!”と思わせる力があります」(増田社長)

デイリーなものとは違い、レストランでワインを飲むときは、イベントや祝いのシーンも多い。特別な日に、その場にいる全員で乾杯して喜びを共有できるツールとして、これ以上わかりやすいものもない。

「ワインはどうしてもうんちくが多くて、それが苦手という人もいると思います。ワイン好きには学者みたいな人も多いですし、よく知らない人は下手に感想を言うのも怖いとか・・・。でも、『これがグッチ家が作ったワインだよ』と言われたらワインについて詳しくない人も一緒にみんなでわいわいと盛り上がると思うんです。そこに土壌がどうの、渋みがどうのと専門家みたいな感想はいりません。共通の思い出として、グッチのスパークリングワインで乾杯した!という楽しい記憶が残ればそれでいいのではないかと」

小売の販売よりレストランを重視する販売戦略

現在、日本で様々なラグジュアリーブランドと契約して、ワインを販売する正規販社は、東京のMarcheJapan株式会社と、その支部をつとめるacues社など数社ある。その販路の最大の特徴は、「小売より飲食店重視」ということ。量販店などで安く市販すると価格崩壊が起こり、ブランド価値を下げてしまう恐れがあるためだ。

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