法令対策

2023年4月に新たな遺伝子組換え表示制度が施行。食品メーカーの「任意表示」への対応法

2022年06月06日

2023年4月に新たな遺伝子組換え表示制度が施行。食品メーカーの「任意表示」への対応法

2023年4月から遺伝子組換え表示制度の内容が改定され、食品によって現行と異なる表示方法が求められる。対象となる食品メーカーでは、商品パッケージなどに記載している遺伝子組換え表示を切り替えなければならない。

これまでの制度と何が違い、どのような対応が必要になってくるのだろうか。今回は主な変更点である遺伝子組換え制度の「任意表示」について解説していく。

2023年4月から遺伝子組換え表示の変更が必要

遺伝子組換え食品とは、他の生物から有用な性質を持つ遺伝子を取り出し、その性質を持たせたい植物などに組み込む技術を利用して作られた食品のことである。

これらの商品はもちろん、食品衛生法の安全審査により許可されたものだけが国内で流通しているが、中には倫理的な観点などから不安の声もあるのが現状だ。そこで消費者が食品を購入する際に、遺伝子組換えの原材料が使用されたかどうかを判別できるようにしたものが「遺伝子組換え表示制度」である。

2023年4月1日から施行される同制度では、遺伝子組換えの不使用表示(Non-GMO)がより厳格化されるので、これまでの表示内容を変更せざるを得なくなるケースが増えるだろう。

遺伝子組換え表示制度の変更点

遺伝子組換え表示制度は、2023年4月から改定される部分と、現行のまま維持される内容がある。そのため変更点をしっかり把握した上で、商品ラベル表示の切り替えに取り組む必要があるだろう。

遺伝子組換え表示制度の新旧比較

遺伝子組換え表示制度は、義務表示と任意表示の2つに分かれている。現行の制度と新たな制度の違いを、以下にまとめた。

 現行制度新制度
(2023年4月1日~)
義務表示 ●対象となるもの
大豆、とうもろこし、ばれいしょ、なたね、綿実、アルファルファ、天菜、パパイヤ、からしな。これらの原料を使用した33の加工食品群。
●対象の範囲
加工食品に使う原材料として、重量の占める割合が高い上位3位までで、かつ原材料と添加物の重量に占める割合が5%以上であること。
●表示方法
「遺伝子組換え」「遺伝子組換え不分別」など。
現行通り(変更なし)
任意表示 ●対象となるもの
分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆およびとうもろこし。またそれらを原料とする加工食品。
●表示方法
「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」などの表示が可能
●対象となるもの
分別生産流通管理をして、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆およびとうもろこし。またそれらを原料とする加工食品。
●表示方法
適切に分別生産流通管理された旨の表示が可能
<表示例>
「原材料に使用しているとうもろこしは、遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を行っています」
「大豆(分別生産流通管理済み)」等
(施行前でも表示できる)
●対象となるもの
分別生産流通管理をして、遺伝子組換えの混入がないと認められる大豆およびとうもろこし。またそれらを原料とする加工食品。
●表示方法
「遺伝子組換えでない」
「非遺伝子組換え」
などの表示が可能

[参考]消費者庁「知っていますか?遺伝子組換え表示制度(PDF)」

今回の改正では、「任意表示制度」の内容が厳格化されているのがポイントとなる。「遺伝子組換えでない」等と表示していたものを、以下の2つに分別する必要がある。

●意図せざる混入率が5%以下の大豆およびとうもろこし、またはその加工食品
「分別生産流通管理済み」

●遺伝子組換え作物の混入がない原材料
「遺伝子組換えでない」
「非遺伝子組換え」

これまでは「分別生産流通管理を行い、意図せざる混入を5%以下に抑えている大豆およびとうもろこし、それらを原料とする加工食品」の場合、「遺伝子組換えでない」旨の表示が可能だった。

しかし新しい制度ではそうした任意表示が認められなくなり、代わりに「分別生産流通管理を適切に行っている」旨の表示が推奨されている。そして遺伝子組換えの混入がないと認められたものに限り、「遺伝子組換えでない」「非遺伝子組換え」などの表示ができる。

大豆及びとうもろこし以外の対象農産物
意図せざる混入率の定めはない。しかし、それらを原材料とする加工食品に「遺伝子組換えでない」と表示する場合は、「遺伝子組換え農産物の混入が認められないことが条件となる。

遺伝子組換え表示制度における食品メーカーの対応方法

遺伝子組換え表示制度が改定されることで、食品メーカーは商品パッケージに記載している任意表示を見直す必要性が出てきている。どのような対応を実施すればよいのか見ていこう。

食品に応じて適切な任意表示に切り替える

まず自社で展開している加工食品のうち、遺伝子組換えの任意表示を行っているものを確認しリストアップする。その中でも使用している原料に応じて、「適切な表示方法(分別生産流通管理済み)へと切り替える商品」「現在の表示で問題ない商品」に分けることが重要だ。

適切な表示例としては以下のような方法が挙げられる。

・「分別生産流通管理済み」
・「IP管理品」
・「遺伝子組換え作物の混入を防ぐため分別」
・一括表示事の欄外に記載する場合、「原料に使用している大豆は、遺伝子組換えの混入を防ぐため分別生産流通管理を実施しています。」
など

一方で、消費者が誤認してしまうような曖昧な表現や文言は、不適切と見なされてしまうこともあるため注意が必要だ。

【不適切な表示例】
・「遺伝子組換えでないものを分別」
・「遺伝子組換えの原材料はほぼ含まれていません」
・「分別管理により、できる限り遺伝子組換え作物の混入を減らしています」

また遺伝子組換え作物の混入が検査等で検出されない場合であっても、混入の可能性が考えられる際にはあえて任意表示を行わないというのも選択肢の1つだ。もし不使用表示をしているにも関わらず混入があった場合、企業の信用問題に関わってくるからだ。

混入の可能性が考えられる例として、例えば「国産大豆と輸入大豆を併用している」「原材料の調達や管理状況により厳格な管理が困難」などが挙げられる。

「遺伝子組換えでない」と記載する条件

任意表示で「遺伝子組換えでない」と表示するには、いくつかの条件を満たす必要がある。内容は以下の通りだ。

・生産地で遺伝子組換えの混入がないことをチェックした農産物を専用コンテナなどに詰めて輸送し、製造者の所で初めて開封している
・国産品または遺伝子組換え農産物の非商業栽培国で栽培されており、生産や流通過程において遺伝子組換え農産物の栽培国からの輸入品と混ざっていないこと
・各事業者が生産や流通過程で遺伝子組換え農産物が含まれていないことを証明しており、その内容が記載された証明書を用いて取引を実施している

また行政が実施する検査などで遺伝子組換え作物が入っていることが確認された場合、「遺伝子組換えではない」という表示が不適切と見なされるケースもあるので注意が必要だ。検査方法等の詳細については以下の消費者庁の資料を参照してほしい。

[参考]消費者庁「新たな遺伝子組換え表示制度について(令和3年7月)」(PDF)
[参考]消費者庁「食品表示基準について 別添 遺伝子組換え食品に関する事項」(PDF)

改正前に製造した商品在庫・包材の利用

食品表示基準の改正後でも、それ以前に製造した商品の販売は可能である。しかし改正後に古い遺伝子組換え表示の商品を流通することは、消費者の誤認を招く恐れがある。

そのため、新たな表示制度が施行される前に、速やかな取り組みで表示変更を行うことが望まれる。また食材を入れる容器や包装については、2023年4月以降は改正後の表示基準に即した内容にする必要があるため注意しなければならない。

食品メーカー各社の対応事例

食品メーカーの中には、新しい制度へ対応するための取り組みをすでに開始しているところもある。企業の一例を以下に挙げる。

■ミツカン
・対象製品に「分別生産流通管理済み」を記載
・遺伝子組換えの混入がない製品に「遺伝子組換えでない」旨を記載
・納豆に使用している大豆については遺伝子組換えの検査結果の確認
[参考]ミツカン「食品の気になる情報 遺伝子組換え作物(GMO)の使用について」

■タカノフーズ
・遺伝子組換え表示制度の改定に伴い、該当の製品に「分別生産流通管理済み」を表示
[参考]タカノフーズ「お客様相談室 安全・環境に関する質問 遺伝子組換えについて」

■生活協同組合コープみらい
・これまで「遺伝子組換えでない」と表示していた製品の内、混入の可能性があるものは「分別生産流通管理済み」と表示
・加工食品に用いるしょうゆや植物油は商品ラベルへの記載を撤廃し、Webサイトでの情報提供に切り替える
[参考]コープみらい「遺伝子組換え作物・食品について」

主に任意表示の追加や切り替え、撤廃などが行われており、商品によって適切な方法が異なることが分かる。

早急な対応で消費者から信頼される取り組みに繋げる

新たな遺伝子組換え表示制度に向けて取り組んでいる食品メーカーがあるように、現在ではすでに「分別生産流通管理済み」などへの表示変更は可能だ。とはいえ該当する商品の確認や任意表示を行うかどうかの検討、商品ラベルの差し替えなど、対応しなければ事項は少なくない。もしギリギリまで対応を引き延ばしていると、古い表示のまま商品を販売してしまう恐れもある。

消費者への正確な情報提供は食品メーカーとしての信頼性アップにも繋がるため、2023年4月までの猶予期間のうちに規格書管理システムで原材料の情報を整備するなどして、できる限り早めに方針を決めて対応にあたるべきだろう。


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