飲食業経営ノウハウ

食物アレルギーのある消費者の声。安心して利用できる外食・宿泊施設のアレルギー対応策とは

今村慎太郎 (NPO法人アレルギーっこパパの会 理事長)  2021年08月02日

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株式会社CAN EATと当法人NPO法人アレルギーっこパパの会による共同調査「食物アレルギーに関する外食実態調査(20212月実施)」において、アレルギー当事者または家族にアレルギーを持つ人がいる家庭の、約7割の人が外食で発症した経験があり、さらに約8割の人が飲食店のアレルギー対応に不安を感じたことがあると回答したことがわかりました。

食物アレルギーに関する外食実態調査(2021年2月実施)

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今回は外食・宿泊全般におけるアレルギー当事者の悩みや、アレルギー対応における課題から対応方法を掘り下げてお伝していきます。

飲食店やホテル・旅館の従業員がとるべきアレルギー対処方法

一般的にアレルギー当事者が不安を感じる対応は次のようなものです。

・確認もせずに容易に「大丈夫です」と店員に言われる
・店員が原材料を理解していない
・アレルゲンについて質問した際「多分〇〇「~と思います」といった曖昧な回答をされる
・加工品にもアレルゲンが使われていることをわかっていない 

曖昧な回答に不安を抱くのは当然ですが、「大丈夫です」と言われても不安になる心理は、当事者特有の感情と言えるでしょう。この点に関しては、食物アレルギー家庭の来店頻度が高い飲食店のシェフに伺ったところ、次のような意見が出てきました。

「わたしは『食べられます』や『大丈夫です』といった断言はしません。本当に食べられるかどうかは、その人にしか判断できないことであり、我々はあくまで判断するための情報を提供するしかないからです。また、料理を出したときに不安に感じると思われる料理については、前もって原材料の説明をします」

『まずは情報を開示し、当事者家族側に判断を委ねる』というのは、数多くの経験によって培われたアレルギー対処方法のひとつでと言えるでしょう。

選ばれる飲食店、ホテル・旅館になるためにできること

飲食店や食事を提供するホテル・旅館は『アレルギー対応をしたから』といって、すぐにアレルギー当事者の家庭に選ばれるとは限りません。

ではアレルギー当事者が普段どんなことを求め、なにを基準に飲食店や宿泊先を選んでいるのかをインタビューをもとに紐解いてみましょう。

〇お話を伺った「田中さん(仮名)」のプロフィール
・妻と二人の子ども(8歳男の子と5歳女の子)の4人家族
・旅行好きで、海外旅行にも積極的
・食物アレルギーがあるのは上の子
 卵、麦類、乳製品、エビ、カニ、そば、ナッツ類、アワビ、フォアグラ。
 アレルゲンと共用の油で揚げている揚げ物も避けている。

外食する先として選ばれるためにも、まずはアレルギー表を用意する

【Q】普段の生活で利用している外食先はどのようなところでしょうか?

アレルギー対応メニューがある外食チェーンをネットで調べたり、焼肉や寿司のように、材料がシンプルで調理の少ない料理を提供している店を利用したりしています。

焼肉はたれに使用されている成分を、回転寿司であれば個別に握っていただけるかどうかなどを電話等で確認します。

【Q】利用したことがない飲食店に行くとしたら、どんなことがポイントになるでしょうか?

まずはアレルゲン表の有無を調べますが、アレルゲン表がない規模が小さいお店の場合は、食物アレルギーの知識があるかどうかを問い合わせて調べてから行きます。

【Q】利用したことがない飲食店に行くとしたら、どんなことがポイントになるでしょうか?

まずはアレルゲン表の有無を調べますが、アレルゲン表がない小さめのお店の場合は、食物アレルギーの知識があるかどうかを、問い合わせて調べてから行きます。

【Q】問い合わせして確認するのはどういうポイントですか

簡単に「大丈夫です。」という返答をするところは不安になるため、を控えた方が良いでしょう。こちらから伝えるアレルゲンに対して、使用している原材料を一つ一つ回答してくれ、その上で大丈夫かどうか確認をしてくれるところは安心して利用できます。

仮にアレルゲンのすべてに対応できなくても、特定原材料7品目だけでも確認をしてくれれば、あとはこちらの自己判断で食べられるので安心できます。私の近所の和食のお店は、小さなお店でメニューがよく変わるのですが、メニューが変わるたび調味料や加工品の表示を見せてくれるので、非常に安心できます。

旅行の宿泊は事前にメニューのやり取りができるかどうか

【Q】旅行をする際は、食事のアレルゲンの対応してもらえる宿があるかどうかで観光地を決めるのが良いでしょうか?

まずは希望の観光地の中からインターネットで「アレルギー対応」や「低アレルゲン」など、食物アレルギー対応に関するキーワードで検索をし、候補に挙がった宿に問い合わせをします。それでも対応してくれそうなところがない場合は、残念ですが行き先自体を変えることもあります。それくらい食のアレルギー対応は重要なのです。

また、修学旅行を受け入れている宿は対応なれしている事が多いので宿泊先の候補になります。

それでも初めて訪れる土地の宿場合は、アレルギー対応が可能かはもちろんのこと、食事に子どもが食べたことがない食材が入っていることもあり、その点についても確認したいので、事前にメニューのやりとりができるかどうかは選ぶ際の必須条件にしています。

また、アレルギー対応とは違いますが、家族全員同じメニューにしてくれるのであれば、気持ちとしてはとてもうれしいですね。

【Q】これまで宿泊先や旅行中の食事に対応してもらえずに、旅行自体をあきらめたことはありますか?

我が家の場合はないです。行き先を変えてでも探し続けます。海外旅行をしたこともありますが、海外は自炊で乗り切りました。

【Q】これまでの旅行であったエピソードを教えてください

感動的な対応で良い思い出になったこともあれば、旅行中に発症してしまった悪い思い出もあります。良い思い出になった旅行は、苦労をしてでも行って良かったなと思います。一方で、スキー場で発症してしまい、タクシーで山を下り、救急車に乗り換えて病院に向かったことや、バイキングのアレルギー表示間違いに出くわした経験もあります。

いかがだったでしょうか。田中さんの家族は、一時的に緊急事態宣言が解除されたタイミングを見計らって、妻の両親と諏訪湖で一泊し、宿泊先の丁寧な対応に感動したとのことです。今年の夏も政府の発表や状況を確認しながら、この宿をリピートで利用して、両親と会おうと考えているところです。

食物アレルギーなどの食事制限は増加・多様化の傾向にあり、外食に関して悩みを抱える人は日々増加しています。飲食店やホテル・旅館はアレルギーがある人やアレルギー対応に取り組むことで、お客の安心・安全を確保でしながら顧客満足度を上げていくことができるのではないでしょうか。

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執筆者プロフィール

今村慎太郎 (NPO法人アレルギーっこパパの会 理事長) 

長女の食物アレルギーをきっかけに、2013年にNPO法人アレルギーっこパパの会を設立し、理事長に就任。「食物アレルギーがある人の安心できる外食は、料理を提供する人の安全からはじまる」を信念に、外食事業者に向けた講演、日本マクドナルドのアレルゲン検索システム構築の際のアドバイス、森永製菓、第一屋製パンとの新規事業立ち上げ、障害者就労支援施設でのアレルギー対応食品製造、100名規模の参加者全員のアレルゲンに対応した外食イベントの開催、約5年間に渡る『HOTERES(週刊ホテルレストラン)』でのコラム連載などを行う傍ら、週に数日、飲食店の現場に入り料理の提供も行っている。
公式サイト:https://www.arepapa.jp/

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