法令対策

2021年6月から食品リコール(自主回収)の届出義務化。手続きの流れと対象製品まとめ

2021年06月07日

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食品に関する健康被害を防止するため、2018年に食品衛生法および食品表示法が改正された。この法律に基づき、2021年6月1日から食品リコール情報の届出が義務化されている。

万が一、対象となる事業者が該当する食品の自主回収を行う場合、新たなルールに沿った報告や申請を行わなければならない。迅速な対応を実現するためにも、今回は食品リコールの概要や対象となる事業者、具体的な届出の流れなどについて詳しく解説していく。

食品衛生法・食品表示法の改正で食品リコール(自主回収)の届出が義務化

2018年に改正された食品衛生法と食品衛生法では、食品等事業者が食品のリコール(自主回収)をした場合、その情報を自治体に届出することの義務化が盛り込まれた。2020年6月から施行され、周知や経過措置の期間が1年設けられたが、2021年6月1日からついに完全施行となる。

食品メーカーなどの事業者は今後、商品を自主回収する際に意図や目的、取り組んでいる状況など、自治体へ報告しなければならない。そして集められたリコール情報は、自治体を通じて厚生労働省のWebサイトなどで公表される。

この仕組みでは、多くの消費者へリコール情報を周知するとともに、事業者の食品安全に対する意識を高めることが狙いだ。加えて様々な事例が蓄積されることで、さらなる改善案の創出やガイドラインの整備を推し進め、食品による健康被害を予防する考えだ。

食品リコールの届出を義務化した背景

食品リコールの原因は、不適切な食品表示や商品パッケージの破損、異物混入などの品質不良によるものなどさまざまだ。話題性の高い原材料の産地偽装問題は、ニュースなどで見かけたことがある人も多いだろう。

異物混入による自主回収の報告件数も増加傾向だ。例えば2011年は554件だが、2017年には750件となっており、ここ6年ほどで1.5倍になっているのが現状だ。しかし今までは、自治体によって事業者にリコールの報告を義務付けていない地域もあった。また義務化を実施している自治体でも報告条件が統一されておらず、消費者がすべての情報を得る仕組みが整っていないという課題もあった。

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一方で、諸外国ではより高度なリコール制度が推し進められており、東京オリンピックの開催に合わせて日本も国際的な水準に引き上げようとしている背景もある。

諸外国のリコール制度
・アメリカ:食品の製造施設にはリコール計画書の作成が義務付けられる
・EU:管轄当局へ自主回収の報告・通報が規定、早期警告システムでリコール情報の公表 

そこで今回の改正法施行により、全国的にリコールの報告制度が義務化。食品衛生法や食品表示法に違反またはその恐れのある商品は、事業者が迅速に自主回収すると共に、厚生労働省のシステムで状況報告や申請手続きが必須事項となった。

まずは営業許可の届出を

今回の食品衛生法の改正で実施される食品リコールの届け出義務化と同時に、HACCPに沿った衛生管理も義務付けられた。これに伴い、食品等事業者には新たな営業許可・届出が必須となる。リコール情報の報告と同様に、食品の安全の確保や事業者の実態を把握することが目的だ。

すでに営業許可が出ている食品事業者についても、今後どの業種に区分されるかで更新手続きの有無が異なる。自社がどの業種の対象となっているか確認し、管轄の保健所に申請を行うことが必要だ。

■食品衛生法の要許可業種

食品衛生法の用許可業種
1.飲食店営業
2.調理の機能を有する自動販売機により食品を調理し、調理された食品を販売する営業
3.食肉販売 ※1
4.魚介類販売 ※1
5.魚介類競り売り営業
6.集乳業
7.乳処理業
8.特別牛乳搾取処理業
9.食肉処理業


10.食品の放射線照射業
11.菓子製造業
12.アイスクリーム類製造業
13.乳製品製造業
14.清涼飲料水製造業
15.食肉製品製造業
16.水産製品製造業
17.氷雪製造業
18.液卵製造業
19.食用油脂製造業
20.みそ又はしょうゆ製造業

21.酒類製造業
22.豆腐製造業
23.納豆製造業
24.麺類製造業
25.そうざい製造業
26.複合型そうざい製造業
27.冷凍食品製造業
28.複合型冷凍食品製造業
29.漬物製造業
30.密封包装食品製造業
31.食品の小分け業
32.添加物製造業

※1:未包装品の取扱い

新たに許可が必要となる業種
16.水産製品製造業
魚介類、その他水産動物またはその卵を主原料とする食品を製造する営業
18.液卵製造業
鶏卵から卵殻を取り除いたものを製造する営業
29.漬物製造業
漬物や漬物を主原料とする食品を製造する営業
30.密封包装食品製造業
密封包装商品で常温で保存可能なものを製造する営業
31.食品の小分け業
営業許可業種(14種)の食品を小分けする営業
 

■食品衛生法の要届出業種

食品衛生法の要届出業種
食品衛生法の要許可業種と届出が不要な業種以外の営業が届出の対応(以下は例示)
製造・加工業の例
・農産保存食料品製造業
・菓子種製造業
・粉末食品製造業
・いわゆる健康食品の製造業
・精米・精麦業

調理業の例
・集団給食(委託の場合、飲食店営業の許可になる場合あり)
・調理機能を有する自動販売機(高度な機能を有し、屋内に設置されたもの)
・水の量り売りを行う自動販売機

販売業の例
・乳類販売業
・食肉販売業 ※2
・魚介類販売業 ※2
・野菜果物販売業
・弁当などの食品販売業
・行商

※2:包装品のみの取扱い

■営業許可の届出対象外

営業許可や届出の必要がない業種もある。主に食品の製造に直接関わらない業種、期限や環境による劣化がほとんどない食品の販売業などが対象だ。ただし営業許可などは必要ないものの、食品等事業者であることに変わりはない。食品リコールを行う際には、後述の方法に則って届出を行うべきである。

届出が不要な業種
1.食品又は添加物の輸入業
2.食品又は添加物の貯蔵又は運搬のみをする営業(ただし、冷凍又は冷蔵倉庫業は届出が必要な業種)
3.常温で長期保存しても腐敗、変敗その他品質の劣化による食品衛生上の危害の発生の恐れがない包装食品又は添加物の販売業(カップ麺や包装されたスナック菓子等)
4.合成樹脂以外の器具・容器包装の製造業
5.器具・容器包装の輸入又は販売業

このほか、学校・病院等の営業以外の給食施設のうち1回の提供食数が20食程度未満の施設や、農家・漁業者が行う採取の一部と見なせる行為(出荷前の調製等)についても、営業届出は不要。
 

食品リコール(自主回収)届出の流れ

食品メーカーから仕入れたものを小売店で販売する場合など、製造者と販売者が異なる食品の自主回収する場合、その届出を行う主体は、製造者または販売者の最も効率的に回収できる者が届出をすることになる。また、本社、製造所などが別々の都道府県にある場合も、最も効率的に回収できる者が届出をする。

東京都など一部の自治体で実施されていた自主回収報告制度では、保健所のWebサイトのほか窓口でも届け出をする流れだった。今回の改正食品衛生法では、原則としてオンラインで申請を行うことになる。パソコンからのアクセスが推奨されているが、スマートフォンなどのモバイル端末で閲覧することも可能だ。

【報告の対象となる食品】
今回のリコール報告義務化で対象となるのは、大きく分けてふたつある。食品衛生法に違反・違反のおそれがある食品と、食品表示法に違反した食品だ。

●食品衛生法違反または違反のおそれ
(違反食品等の例)
腸管出血性大腸菌により汚染された生食用食品、アフラトキシン等発がん性物質に汚染された食品、硬質異物が混入された食品等。

(違反のおそれがある食品等の例)
違反食品等の原因と同じ原料を使用している、製造方法、製造ラインが同一であることで汚染が生じている等として、営業者が違反食品等と同時に回収する食品等をいうこと。

●食品表示法違反
(例)アレルゲンや消費期限等の安全性に関する表示の欠落や誤り。 

【報告の対象外となる食品】
上記の対象となる食品に当てはまらない場合については、基本的にリコール報告する必要はない。不特定かつ多数の消費者に提供されておらず速やかに回収できるもの、消費者の喫食が想定されないものなどが挙げられる。

(例)
・地域の催事で販売される食品(お祭りの屋台など)
・BtoB(企業間)の取引に留まっているもの
・卸売業者の倉庫に保管されている食品
・賞味期限や消費期限が過ぎているもの

【クラス分類】
自主回収の理由によっては、健康被害の生じる可能性や度合いが様々なので、それらを一纏めにして発信すると消費者に余計な混乱を招いてしまう。そこで届出のあったリコール報告を危険度の高さなどから3つに分類し、情報の重要性を区分けしているのが「クラス分類」となる。

例えば、極めてリスクの高い食品の場合には「クラスⅠ」、一方で健康被害の可能性がほとんどない場合は「クラスⅢ」といった具合だ。分類したリコール情報は、危険度の高さなどを添えて公表される。

自主回収を行った食品等を自治体でクラス分類して報告
 食品衛生法食品表示法
CLASSI 喫食により重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る可能性が高い場合(腸管出血性大腸菌に汚染された生食用野菜など) 喫食により直ちに消費者の生命又は身体に対する危害の発生の可能性が高いもの
CLASSII 喫食により重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る可能性が低い場合(一般細菌数などの成分規格不適合の食品など) 喫食により消費者の生命又は身体に対する危害の発生の可能性があるものであってCLASSIに分類されないもの
CLASSIII 喫食により健康被害の可能性がほとんど無い場合(添加物の使用基準違反など)

 

【食品衛生申請等システムへの登録方法】
(1)食品衛生申請等システムへアクセス
(2)食品等事業者情報登録(初回のみ)
1. GビズIDの作成またはアカウント作成を選択
2. 必要情報を入力し、登録

【食品衛生申請等システムでの申請方法】
(1)ログインIDとパスワードを入力し、食品衛生申請等システムへログイン
(2)必要情報を入力または選択してすすむ
(3)申請(届出)

参考:厚生労働省「食品衛生申請等システム システム利用マニュアル

なお新しくアカウント作成する際には、「GビジネスID」での登録が推奨される。同IDを一度作っておくと、他の行政サービスに利用できるからだ。すでにGビジネスIDを所有している場合、初回のアカウント作成を行う必要はなく、そのままログインすることもできる。

■食品リコール(自主回収)は、不正表示の予防で対策できる

そもそも食品リコールの原因は、約7割が不正表示によるもの。特に食物アレルギーの原因となる特定原材料7品目の表記忘れ、消費期限や賞味期限の誤表示といった事例などが多く挙げられる。

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間違いやミスが起こったまま製品が出荷されるのを防ぐには、製造工程や原材料情報の適切な管理が欠かせない。しかし膨大な量の製品情報があると、修正や変更の際に手間がかかり、共有漏れなども発生してしまう。

そこで「BtoBプラットフォーム規格書メーカー自社管理機能」を活用すれば、乱雑になりがちな商品規格書の情報を一元管理できる。さらに原材料の一括更新も可能なため、規格書を修正・変更した際に情報漏れの心配もない。

食品リコールによる影響は、単に商品回収の手間や経費が掛かるだけでなく、企業のイメージダウンや消費者の健康被害にも繋がりかねない。HACCP制度の導入やSDGsによる国際目標が注目される中、食品事業者には製品の安全をしっかりと確保する責任が求められるだろう。


BtoBプラットフォーム規格書

【参照文献】

■厚生労働省
食品衛生法の改正について(令和3年度版)
食品リコールについて(事業者)
食品衛生法の改正(食品リコール情報の報告制度の創設)について
資料6 食品のリコール情報の報告制度の創設
食品衛生申請等システムシステム利用マニュアル

■東京都福祉保健局
食品等のリコール情報届出制度
パンフレット「新たな『営業の許可制度』『営業の届出制度』が令和3年6月1日から始まります」
リーフレット「新たに保健所への届出が必要となる場合があります!」」 

■愛知県
食品リコール(自主回収)情報の届出制度について【2021年6月1日施行】

■一般財団法人 東京顕微鏡院
食品自主回収制度の仕組とリコールの現状

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