法令対策

飲食店のテイクアウト商品に食品表示が義務付けられる場合とラベルの作り方

2021年02月08日

最終更新日:2021年02月15日

飲食店のテイクアウト商品に食品表示が義務付けられる場合とラベルの作り方

コロナ禍の影響で落ち込んだ売上を取り戻すため、新たにテイクアウトやデリバリーに取り組む飲食店も増えている。このとき、食品表示法により弁当容器に原材料やアレルギー情報などの食品表示をするよう義務付けられることがある。

どのような場合に表示義務があるか知らないうちに法令違反をしないように、また消費者への食の安心・安全のために、消費者庁の資料をもとにした法令対策とラベルの作り方を解説する。

食品表示法とは

食品表示法とは、消費者が食品の内容を正しく理解して、適正な商品を選べるように定めた食の安全性を守るための法律で、2013年に公布された。生鮮食品や加工食品を問わず、食品を販売するときは、食品表示法の基準に基づいて原材料やアレルギー物質などを表示しなければならない。

また、法令で義務付けられた表示のほかに任意表示もあり、容器包装や加工の有無などの条件で表示すべき情報が変わる。提供する食品に合わせたラベル表示が必要だ。

食品表示の義務は製造・販売の場所で異なる

容器に詰められたテイクアウト・デリバリー弁当

食品表示法では、消費者に販売されるすべての食品に対して食品表示が義務づけられているが、例外もある。

飲食店が客の注文に応じて弁当、そうざいをその場で容器に詰めて対面販売する(テイクアウト、デリバリーを含む)場合や、ランチタイムなどの繁忙時に備えてあらかじめ販売見込み量を容器に入れて対面販売する場合、食品表示は必要ない。これは製造者が消費者に直接販売することとなり、品質について説明できると考えられているためだ。

また、製造所と販売所が同じ施設や敷地(スーパーマーケットのバックヤード、菓子の製造小売、パンの製造小売りなど)で弁当・そうざいを調理し、容器包装したものを自ら販売する場合(インストア加工という)は表示義務があるものの、原材料名、内容量、原料原産地名など一部の項目は表示する必要はない。

ただし、セントラルキッチン(自社工場)など別の場所で製造された弁当・そうざいを、別の場所にある店舗に陳列して販売する場合や、インターネットなどで通信販売する場合は、消費者へ直接販売することにならないため、食品表示の義務がある。

参考:食品表示基準Q&Aについて(平成27年3月30日消食表第140号)(消費者庁)
参考:早わかり食品表示ガイド(令和2年11月版・事業者向け)(消費者庁)

消費者庁が公開している食品表示法の基準に基づくと、次の表のようになる。

食品表示項目の表示義務

食品表示の項目他所の施設で調理したものを販売インストア加工(店内調理)したものを同一施設で販売客の注文に応じて容器に詰めて販売(テイクアウト・デリバリー) ※2
名称 表示義務 表示義務 表示義務なし













保存の方法 表示義務 表示義務
消費期限又は賞味期限 表示義務 表示義務
原材料名 表示義務
添加物 表示義務 表示義務
内容量又は固形量及び内容総量 表示義務
栄養成分の量及び熱量 表示義務
食品関連事業者の氏名又は名称及び住所 表示義務
製造所又は加工所の所在地及び
製造者又は加工者の氏名又は名称等
表示義務 表示義務
アレルゲン
(特定原材料※1の成分を含む食品)
表示義務 表示義務
原料原産地名
(国内で製造した加工食品)
表示義務
原産国名(輸入品) 表示義務
遺伝子組換え食品に関する事項
(含有する食品)
表示義務 表示義務
指定成分等含有食品に関する事項
(含有する食品)
表示義務 表示義務
L-フェニルアラニン化合物を含む旨
(アスパルテームを含む食品)
表示義務 表示義務

※1:特定原材料とは、えび、かに、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)の7種
※2:繁忙時に備えてあらかじめ販売見込み量を容器に入れて対面販売する場合も表示義務はない

この他、都道府県が条例で定める食品の品質表示等(例)東京都消費生活条例に基づく食品の品質表示

テイクアウト弁当の食品表示の例

「幕の内弁当」食品表示ラベルの作成例

食品表示ラベルの作り方

食品表示ラベルの作成フロー 1.情報収集 2.ラベルデータ作成 3.ラベル印刷

弁当・そうざいを製造する場所、販売する場所、または取り扱う食材に応じて、食品のラベルには原材料名やアレルギー、消費期限、保存方法などを表示しなければならない。

具体的に食品表示のラベルを作る手順は、3段階に分かれる。

標準商品規格書サンプル画像

添加物、食物アレルギーなどが記録された
標準商品規格書(例)

1.情報収集
食品に含まれる食物アレルギー、添加物などを確認する。仕入れ先から食品の情報が記録された「商品規格書」を取り寄せるのがいいだろう。

2.ラベルデータ作成
食品表示のルールに従って、ラベルデータを作成する。消費者庁のガイドライン「早わかり食品表示ガイド(令和2年11月版・事業者向け)」を確認しよう。

3.ラベル印刷
食品表示のラベル印刷は、専用のラベルプリンターを利用するのが最も簡単な方法だ。

ラベルプリンターには熱転写式や感熱式、ラミネート式などさまざまな印刷方式の機種があり、食品表示では感熱式のラベルプリンターがよく使われている。特に弁当や惣菜など、消費期限が短い商品向きで、導入コストも比較的安価なため、飲食店のテイクアウトには最適と言えるだろう。

なお、商品規格書の情報収集からラベル作成・印刷までを一元管理できるサービスもあるので、検討するのもいいだろう。

栄養成分表示の計算方法

食品表示法に基づく食品表示基準では、消費者へ販売される食品に栄養成分表示が義務付けられている。必ず、熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、ナトリウム(食塩相当量に換算したもの)の5つを表示する必要がある。

表示する値は分析する方法とデータベースから計算する方法のふたつあるが、一般的な飲食店であれば計算する場合でいいだろう。データベースの例としては、文部科学省が公開している日本食品標準成分表のほか、事業者団体が作成したデータベース、加工用原料製造者等による原料の栄養成分表示値等がある。

冷凍・冷蔵でテイクアウト販売する場合は、許認可が必要になるケースも

飲食店は「飲食店営業許可証」を取得しているので、その範囲内でのテイクアウトは可能とされている。だが、場合によっては別の許認可が必要になる場合がある。たとえば、とんかつ定食屋がとんかつ弁当を提供するのは何ら問題ないが、調理前の冷凍とんかつをお持ち帰り用として販売するには、食肉販売業の許可が求められる。提供するメニューによっては複数の許可が必要になるケースもあるため、注意しなければならない。

以下のような食品を販売する場合、それぞれに該当する許可を所轄の保健所に別途申請することが定められている。

許認可が必要なものの例

乳飲料 乳製品製造業・乳類販売業
アイスクリーム アイスクリーム類製造業
食肉(生) 食肉販売業
食肉(加工品) 食肉製品製造業
鮮魚介類 魚介類販売業
弁当・惣菜 食料品等販売業
お菓子・パン 菓子製造業
生めん めん類製造業
冷凍品 冷凍冷蔵業

 

一般的に製造業の許可は高度な設備が必要で、飲食店が取得するのはかなり難しいが、販売業の許可であれば比較的とりやすい。上記以外にも別途許可申請が必要なケースはあるので、テイクアウトやデリバリーを始める際は、必ず事前に、管轄の保健所に確認しておくべきだ。

食品表示に迷ったら、保健所に相談しよう

もし、食品表示に迷ったら、独自で判断せずに管轄の保健所に問い合わせて確実な回答を求めてほしい。食品表示は、食物アレルギーを持つ客にとっては命に関わる重要な情報だ。消費者の安全や企業の信頼のためにも、しっかりと確認してから記載しなければならない。

飲食店のテイクアウト・デリバリーにも食品表示法対策を

飲食店がテイクアウトやデリバリーを始めるには、食品表示法に基づいた適切なラベル表示と、取り扱う商品に応じた各種の許可申請が必要になる場合がある。食品表示は事業者の義務であり、消費者の安全と健康増進、食にかかわる企業の信頼性を確保するためには知らなかったでは済まされない。今あらためて、適切に対応しておきたい。

飲食店にとっては厳しい時期が続く一方で、テイクアウトやデリバリーをうまく活用し、クチコミから新たな顧客層を獲得できたという事例も見られる。食品表示法にしっかり対応しつつ、危機を機会に変えて、巻き返しを図りたいものだ。

【参照文献】
平成二十七年内閣府令第十号 食品表示基準(e-Gov法令検索)
食品表示法(衆議院)
食品表示法等(法令及び一元化情報)(消費者庁)
食品表示基準Q&Aについて(平成27年3月30日消食表第140号)(消費者庁)
知っておきたい食品の表示(令和2年11月版・消費者向け)(消費者庁)
食品表示法の概要(平成25年6月)(消費者庁)
初めて栄養成分表示をする方へ 食品表示基準における栄養成分表示(消費者庁)
食品衛生の窓加工食品「一般用加工食品の概要」(東京都福祉保健局)
食品衛生の窓加工食品「営業許可種類一覧」(東京都福祉保健局)
【よくある質問】飲食店で持ち帰り(テイクアウト)・出前(デリバリー)を行うには(渋谷区) 


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