基本の食品衛生

飲食店で食中毒が発生しやすい7つのポイントと予防3原則

2018年03月13日

食中毒予防の7つのポイント

では、飲食店の現場では具体的にどうすればよいだろうか。食中毒予防のポイントとそれぞれの対策をみてみよう。

1.原材料受け入れ

「原材料の受け入れでは、納品時に立ち会って確認するのがベストです。しかしばらばらに来る業者に常に対応するのが難しい場合もあるでしょう。やり方は店の都合に合わせて構いませんが、必ず立ち会う、チェックする、長時間放置しないことが大切です」

(1)商品や数量など、注文内容と納品物が合っているか確認する。

(2)外観、におい、包装の状態、表示(期限、保存方法)などを確認する。

(3)冷蔵・冷凍品は保管温度を確認する。室温におかれる時間をできるだけ短くする。

(4)なんらかの問題があったときは、返品などの対応をする。

 

2.冷蔵・冷凍庫

「庫内温度の記録をつけるようにしましょう。見える化することで異常な温度変化があった場合などに、故障なのか一時的なものか見きわめやすくなります。温度計は外から温度が見えるものが便利です。また、細菌は冷凍しても死滅しないことに気をつけてください」

(1)庫内の温度を定期的(例:始業前)に確認する。
冷蔵は10℃以下、冷凍は-15℃以下。

(2)保存している食材の期限表示を定期的に確認し、期限内に使用する。

(3)なんらかの問題があったときは、廃棄または加熱して提供するなど、事前に決めた方法に従い対応する。

 

3.交差汚染・二次汚染の防止

「保管や調理の際に、生肉などから他の食品へ食中毒菌の汚染が広がることがあります。まな板や包丁は肉や魚など用途別に使い分けましょう」

(1)冷蔵庫内の食品は、種類ごとに場所を決めて保管する。
特に生肉、生魚介類などの食材はふた付きの容器に入れ、冷蔵庫の最下段に保管する。
まな板、包丁などの調理器具は、肉や魚などの用途別に分け、使った都度十分に洗浄し、消毒する。

(2)決めた頻度(例:作業中)で、冷蔵庫内の保管状況や調理器具の使用・洗浄などを確認する。

(3)なんらかの問題があったときは、事前に決めた方法に従い対応する。
例)調理器具などを介して生肉などからの汚染の可能性がある食材は、必ず加熱して提供する、または使用しない。まな板や包丁などに汚れが残っている場合は、再度、洗浄し、消毒する。

 

4.器具の洗浄・消毒・殺菌

「汚れが残っていると、他の食品に汚染が広がってしまいます。また、洗剤や薬剤も保管・管理が不十分だと誤使用の危険性があることに気をつけましょう」

(1)扱った都度、以下の手順で十分洗浄し、消毒する。

A. まな板、包丁、へらなど

1.水道水で水洗いし、目に見える食品、汚れを取り除く。

2.スポンジタワシに洗剤をつけ、泡立ててよく洗浄する。

3.水道水で洗剤をよく洗い流す。

4.熱湯、塩素系殺菌剤または70%アルコールなどで殺菌する

5.よく乾燥させ、清潔な場所で保管する。

B. ふきん、タオル等

1.水道水で水洗いする。

2.洗剤をつけ、泡立ててよく洗浄する。

3.水道水で洗剤をよく洗い流す。

4.沸騰したお湯で5分間以上煮沸殺菌、または、塩素系殺菌剤で殺菌する。

5.清潔な場所で乾燥、保管する。

(2)なんらかの問題があったときは、事前に決めた方法に従い対応する。
例)使用時に汚れや洗剤などが残っていた場合は、洗剤で再度洗浄、すすぎを行い、消毒する。

 

5.トイレの洗浄・消毒

「トイレは特にノロウイルスなどの汚染源になります。手すりやドアノブなど、手が触れる場所は入念に消毒してください。清掃の際には清掃用の作業着などに着替え、調理する食品を汚染させないように気をつけましょう」

(1)以下の手順に従って、決めた頻度例(例:始業前)で実施・確認する。

1.調理時とは異なる服、くつ、ゴム手袋を身に着ける。

2.トイレ用洗剤、ブラシ、スポンジを用意する。

3.水洗レバー 、ドアノブなど手指が触れる場所を、塩素系殺菌剤で拭く。5~10分後に水を含ませて軽く絞った布で拭く。

4.手洗い設備を洗浄する。

5.便器は、専用洗剤を用いて、ブラシでこすり洗いした後、流水ですすぐ。

6.床面は、専用洗剤を用いて、ブラシでこすり洗いした後、流水で洗い流す。

7.消毒済みの個所を汚染しない。水洗レバー、ドアノブなどに触れてしまうなど、汚染の可能性があった場合は、再度殺菌する。

8.使用した用具は洗浄して乾燥・保管する。

9.終了後は、入念に手洗いをする。

(2)なんらかの問題があったときは、事前に決めた方法に従い対応する。
例)業務中にトイレが汚れていた場合は、洗剤で再度洗浄し消毒する。

 

6.従業員の健康管理・衛生的な作業着の着用など

「ノロウイルス食中毒の原因の8割は調理従事者に由来します。また、手指の傷は黄色ブドウ球菌による食中毒の原因になることを知っておきましょう」

決めた頻度(例:始業前または作業中)で、以下について確認する。

1.従業員に下痢や嘔吐などの症状がある人がいないか確認する。
症状があった人は帰宅させ、病院で受診させる。治るまでは、直接食品を取り扱う業務に従事させないようにする。

2.従業員の手指に傷がないか、確認する。
傷がある場合は、耐水性絆創膏をつけた上で手袋を着用させる。
手袋着用を過信せず、着用時も手洗いをする。

3.従業員が食品を取り扱う際、清潔な服を着用しているか確認する。

4.従業員が髪を清潔に保ち、必要な場合は結んでいるか確認する。

5.腕時計や指輪などの貴金属を外しているか確認する。

 

7.手洗い

「昔から手洗いにはじまり手洗いに終わるというのが食品衛生の基本です。なぜ手を洗わなければいけないのか、しっかり理解した上で衛生的な手洗いを心がけましょう」

(1)決めた頻度で、衛生的な手洗いを実施し、確認する。
(例:トイレの後、調理施設に入る前、盛り付けの前、作業内容変更時、生肉や生魚などを扱った後、金銭をさわった後、清掃した後など)

(2)なんらかの問題があったときは、事前に決めた方法に従い対応する。
(例:従業員が手を洗っていないことを確認した場合は、すぐに手洗いをさせる)

以上の飲食店で特に食中毒が発生しやすい7つのポイントへの対策については、厚生労働省が公表している「HACCPの考え方に基づく衛生管理のための手引書(小規模な一般飲食店事業者向け)」に、詳細が掲載されているので参照いただきたい。
(参考)食品等事業者団体が作成した業種別手引書(厚生労働省)

「飲食店の衛生管理で大切なことは、何のためにやるのか、どうすべきか従業員一人ひとりが意識することです。そこをしっかり教育することが食中毒予防につながります」

衛生管理は、食品を扱う事業者にとってはあたりまえのことだ。基本的なことをしっかり守って食中毒事故を防いでほしい。

取材協力:公益社団法人日本食品衛生協会


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