衛生管理・食中毒対策
2018年03月20日
食中毒の時期は梅雨や夏場のイメージがあるが、年間を通して発生している。その原因のほとんどを占めているのが、細菌やウイルスといった微生物だ。中でも最も多いノロウイルスの食中毒は、約8割が調理従事者から由来するといわれている。
そこで、食中毒の原因物質ごとに症状や原因となる食材、有効な対策をまとめた。『飲食店で食中毒が発生しやすい7つのポイントと予防3原則』とともに、自店舗で取り扱うメニューや製品と照らし合わせて参考にしてほしい。
厚生労働省が公表している統計資料によると、2017年に届け出のあった食中毒事件は1228件で、患者数は7992人。食中毒が発生する原因の約7割以上は細菌やウイルスといった微生物だ。食中毒に詳しい公益社団法人日本食品衛生協会の技術参与・飯田信行氏によると、近年の食中毒でもっとも多い原因となっているのが冬季に発生するノロウイルスだという。
食中毒の原因別事件数
食中毒の月毎の発生状況
食中毒の原因と月毎の発生状況(厚生労働省・2017年)
公益社団法人 日本食品衛生協会
飯田信行氏
「ノロウイルスを原因とする食中毒は患者数も多く、年間の食中毒患者の約半分以上を占めます。食中毒事件は年間を通して発生しており、冬季はノロウイルスなどのウイルス性の食中毒、夏は細菌による食中毒が多く、細菌性の食中毒の中でも最も多いのがカンピロバクターによる食中毒です」
鶏の生食あるいは加熱不足によるカンピロバクター食中毒は年々増加傾向にあるという。原因物質別に事件数をみると、ノロウイルスとほぼ同じ約3割が、カンピロバクターによる食中毒である。
「事件数でもっとも多いのはカンピロバクターですが、細菌によっては一度に大規模な食中毒事故を起こすものもいます。代表的なものがカレーやシチューなどを原因とするウェルシュ菌による食中毒で、毎年のように大勢の患者を出しています」
食中毒の原因となる細菌は種類も多く、特性もさまざまだ。また、寄生虫など細菌以外が原因の食中毒も発生している。厚生労働省が発表している食中毒情報を参考にして、以下に主な食中毒の原因と症状、主な食材や対策を以下にまとめた。自店の衛生管理計画を立てるうえでの参考としてほしい。
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