食の研究所

魚の消費が減っても市場拡大していた「骨なし魚」~高齢社会で再び注目が集まる“安全に食べられる魚”

佐藤 成美(サイエンスライター)  2017年05月01日

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今や高齢者向け施設の食事では「骨なし魚」が当たり前。より食べやすく、調理しやすくと、さまざまに工夫された製品が出回っている。

水産物消費減の中でも市場拡大

4人に1人が65歳以上という高齢社会になり、高齢者向けの食品の需要が高まっている。高タンパク質、低カロリーの魚は積極的に取り入れたい食品だが、噛む力や飲み込む力が衰えた高齢者には、小骨が喉に刺さりやすい。

骨が喉に刺されば危険なので、事故防止策として2000年頃から骨なし魚が出回るようになった。今では、介護施設では魚は骨なしが当たり前になっている。

骨なし魚とは、あらかじめ骨を抜いた魚のこと。1998年に業務用冷凍食品の開発や販売などを行う大冷が「骨なし太刀魚」を開発し、病院で採用されたのが骨なし魚の普及の発端だった。

当初は高齢者や病院食向けのものだったが、近頃では魚の骨がクレームの対象になることもあり、学校給食や外食産業でも多く使われている。店頭にも並ぶようになり、使いやすさから一般消費者の購入も増えている。水産物の消費が減る中で、骨なし魚だけは大きく市場を広げているのだ。

ピンセットで1本ずつ抜いて「骨なし」に

骨なし魚は手間をかけて製造されている。鮮度が落ちないよう管理した環境で、人がピンセットを使って、骨を11本抜いているのだ。骨の取り残しがないよう、X線で魚を検査する念の入れようだ。骨を抜くと身が崩れるので、酵素や食品添加物を使って形を整え、凍結して製品になる。


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執筆者プロフィール

佐藤 成美(サイエンスライター) 

佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「おいしさ」の科学』(講談社ブルーバックス)『お酒の科学』(日刊工業新聞社)など多数。

<記事提供:食の研究所
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