データでみる食品事故

知っておきたい食品リコール(前編)~増える食品事故と自主回収の判断基準

2016年11月21日

自主回収実施の“4つ”の判断基準

商品回収(食品リコール)は、件数的にみると、行政命令による回収よりも、自主回収の方が圧倒的に多いのが実情だという。その端緒となるのは、多くの場合、消費者からの情報提供(苦情)である。

「各企業が設置しているお客様窓口に直接入ってくる場合や、消費者から連絡を受けた販売・流通業者からの情報提供。また、消費者本人から連絡を受けた消費生活センターや保健所などの行政機関からクレーム情報が入ってくることもあります」

では、外部から寄せられた情報を受けて、最初に何をすべきだろうか?

「まず、苦情の内容や事故原因から、消費者への健康危害の恐れがあるのかどうかを調査し、併せて、法令違反の有無や、自治体の条例(自主回収報告制度における報告義務)に該当する問題かどうかを判別します。自社で判断できない場合は、すみやかに地域を管轄する保健所へ連絡し、指示を仰いでください。そこで、自主回収すべきかどうかも含めて、的確なアドバイスがもらえるはずです」

 自主回収で忘れてはならないのは、法令違反を除けば、自主回収の判断主体者は、あくまでも事故を引き起こした事業者にある、ということだ。自主回収実施の判断材料としては、①健康危害の程度(被害の質・重大さ)、②法令違反の恐れ、③商品の異常の範囲(事故の拡大可能性)、④社会的影響(コンプライアンスや企業のブランドイメージ)の四つが挙げられる。

もちろん、この4要素を複合的に検討した結果、“自主回収しない”という選択肢もある。例えば、不適正な食品を製造しても単品不良であることが明らかな場合だ。しかし近年では、そういった軽度な食品事故に対しても、回収に踏み切る傾向が見られる。

「健康には影響がないと考えられる印字のミスや、包装紙が少し剥がれただけでも回収をおこなうなど、過剰反応とも見える自主回収も目立ちます」

その背景には、先述した自主回収の判断要素『④社会的影響』が関連している。

「現代は、消費者の食品への安全意識の高まりに加え、ツイッターやフェイスブックなどのSNSが普及したことで、事故情報が世間に拡散しやすい状況です。そのような状況で企業イメージを守ろうとするあまり、回収が行われる傾向が強まっていると考えられます」

過剰な自主回収は、過剰なコストと食品廃棄を生む。その点を見直そうと、公益社団法人「日本消費生活アドバイザー・コンサルタント協会(NACS)」では、“消費者への健康被害の可能性があるかどうか”を回収の優先的な判断基準とする『食のリコールガイドライン』を示している。関心のある事業者は参考にしてもらいたい。

引き続き後編では、食品回収決定後の手順として、消費者やメディアへの効果的な周知方法や自主回収の“終わらせ方”、商品回収のコストについて取り上げる。

取材協力:公益社団法人日本食品衛生協会


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