食の研究所
佐藤 成美(サイエンスライター) 2016年09月20日
イラストや文字が鮮明に印刷された菓子を見かけたことはないだろうか。プリンターの進歩に伴い、「フードプリンター」が身近になってきた。最近は、プリント技術を使ったオリジナルな食品が増えている。
文字や絵が描かれた食品は以前からある。お祝いのまんじゅうには、焼き印で押された「寿」の文字。誕生日のケーキには、チョコレートで「○○君、おめでとう」のメッセージが描かれている。文字や花などのイラストが描かれた菓子は、お祝い事や慶弔の引き出物の定番である。これらは、職人が焼き印や手描きで一つひとつ入れたものだ。
一方、動物の名前が記された「ギンビスたべっ子どうぶつ」のようなビスケットや、表面に「m」の文字が描かれた「M&M」のようなチョコレートには、印刷の技術が使われている。
現在の技術では、クッキー、せんべい、まんじゅう、カステラ、チョコレート、果物、あめ、プリン、水菓子、ケーキ、それに錠剤など、あらゆるものに印刷することが可能だ。
しかも、フルカラー印刷や、鮮やかな写真の印刷も手軽にできる。結婚式の引き菓子やノベルティグッズなどに、オリジナルのデザインがプリントされたものの人気が高まっているという。
印刷は、文字や画像の版をインクで紙に転写し、文字や画像を再現する技術だ。食品の印刷では、シリコン製の型を使って食品に食用色素を押し付ける「パッド印刷」や、静電気を利用して粉末の食用色素を食品にくっつける「静電スクリーン印刷」が使われてきた。ただし、いずれも型が必要で、平面なものにしか印刷できず、コストがかかるので大量に印刷する業務用食品に限られていた。
佐藤 成美(さとうなるみ) サイエンスライター、明治学院大学非常勤講師(生物学)、農学博士。食品会社の研究員、大学の研究員、教員などを経て現在に至る。研究所の広報誌やサイトなどにも原稿を執筆している。著書に『「
<記事提供:食の研究所>
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