食の研究所
白田 茜(フリーランス記者) 2015年04月22日
消費者庁によると、機能面について表示が可能な範囲は3つある。
1つ目は血圧など「容易に測定可能な体調の指標の維持に適する又は改善に役立つ旨」。
2つ目が、お腹の調子を整えるなどの「身体の生理機能、組織機能の維持に適する又は改善に役立つ旨」。
3つ目が、「身体の状態を本人が自覚でき、一時的であって継続的、慢性的でない体調の変化の改善に役立つ旨」だ。「目」など身体の特定の部位に言及した表現もできる。
一方、「糖尿病の人に」「高血圧の人に」など疾病の治療効果、予防効果を暗示する表現は認められない。
表示項目 | 補足 | |
---|---|---|
1 | 機能性表示である旨 | |
2 | 科学的根拠を有する機能性関与成分又は当該成分を含有する食品が有する機能性 | 特定の食事に追加して摂取することで機能性が期待できる場合は、前提となる食事について表示 例)本品は◯◯を△mg含みますので、魚貝類を□g/日程度(日本人の平均摂取量)摂取している方の✕✕に役立ちます |
3 | 栄養成分の量及び熱量 | |
4 | 1日当たりの摂取目安量当たり機能性関与成分の含有量 | |
5 | 1日当たりの摂取目安量 | |
6 | 届出番号 | |
7 | 食品関連事業者の連絡先 | |
8 | 摂取の方法 | |
9 | 摂取する上での注意事項 | |
10 | 調理又は保存の方法に関し特に注意を必要とするものにあたっては注意事項 | |
11 | その他 | バランスのとれた食生活の普及啓発を図る文言 |
機能性表示での表示項目
(参考:「機能性表示食品の届出等に関するガイドライン」より筆者作成)
現時点で消費者庁が示しているのは禁止される表示(ネガティブリスト)のみ。使用できる表示例については、具体的な言及はなされていない。
そこで、新たな表示制度を議論する「食品の新たな機能性表示制度に関する検討会」で、大谷敏郎委員から提出された「機能性表示や加工食品等に対する意見」に、「生鮮食品と加工食品について想定される表示例」を以下に示した。機能面については、このような表示になると想定されている。
生鮮食品
品目【機能性成分】(品種名等) | 想定される機能性表示 |
---|---|
温州みかん【β-クリプトキサンチン】 | β-クリプトキサンチンを含み、骨の健康を保つ食品です。更年期以降の女性の方に適しています。 |
大麦【β-グルカン】(ビューファイバー、キラリモチ) | 本品はβ-グルカンを含み、糖の吸収を抑えることにより、正常な血糖値の維持に役立ちます。 |
ほうれんそう【ルテイン】(寒締め栽培) | 本品はルテインを補い、目の健康維持に役立ちます。 |
加工食品
品目【機能性成分】(品種名) | 想定される機能性表示 |
---|---|
緑茶【メチル化カテキン】(べにふうき) | 本品はメチル化カテキンを含んでいるため花粉が気になる方の目や鼻の調子を整えます。 |
豆乳【β-コングリシニン】(ななほまれ) | 本品はβ-コングリシニンを含んでいるため、遊離脂肪酸を減らす働きにより、正常な中性脂肪の値の維持に役立ちます。 |
ダッタンそば【ルチン】(満天きらり) | 本品はルチンを含み、正常なコレステロール値の維持に役立ちます。 |
想定される機能性表示の例。赤字は機能面についての表示
(参考:大谷敏郎委員2014年6月26日提出「機能性表示や加工食品等に対する意見」をもとに編集者作成)
新たな表示制度は、トクホよりは費用や時間の面で事業者にとっての負担が少ないとされている。トクホは製品そのものでの臨床試験が必要で国からの許可が要るのに対して、機能性食品制度では許可を得る必要まではない。
だが、機能性食品に求められる科学的根拠はトクホ並みと言えよう。2015年3月2日、新制度のガイドライン案が消費者庁により示された。その食品に機能性があることの評価は「製品で行う臨床試験」か「製品もしくは成分で行う研究レビュー」のいずれかで行われる。
白田 茜(しろた あかね) 1978年佐賀県生まれ。 佐賀県庁で食品のブランド化に関わる。その後、大学院で農業政策や食品安全に関するリスクコミュニケーションを学ぶ。
食品コンサルタント会社を経て、現在は社会的関心が高い科学ニュースについて専門家のコメントを収集しジャーナリストに提供する活動をしている。関心のあるテーマは、農業、食品流通、食品安全、リスクコミュニケーション。
<記事提供:食の研究所>
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