企業のアレルギー対策

飲食店の対応術 お客様とのコミュニケーションで共有すべき4つのこと

今村慎太郎 (NPO法人アレルギーっこパパの会 理事長)  2015年02月02日

飲食店の食物アレルギー対策に大切な2つのことは、前回お伝えした原材料情報の収集・整理と、今回お伝えするお客様とのコミュニケーションです。事故を未然に防ぎ、安全を提供するという観点からコミュニケーションの大切さや方法について紹介します。このコミュニケーションは、メーカー・卸さんからの原材料情報なしには行えないものです。外食企業の方だけでなく、卸さん・メーカーさんにも、参考にして頂きたいと思います。

なぜ、コミュニケーションが大切なのか?

お客様とのコミュニケーションで
アレルギーの情報を聞き取りましょう

食物アレルギー対策の目的は、食物アレルギーの人が原因食品を摂取することで引き起こされる発症を未然に防ぐことです。

そのためには、飲食店は可能な限り原因食品を含む料理を提供しない工夫と、お客様とのコミュニケーションでアレルギーの情報を聞き取る必要があります。

では、コミュニケーションを通して具体的にどんなことを共有すれば良いのでしょうか?

コミュニケーションを通して共有すべき4つのこと

(1)原因食品 「除去が必要な食品は何ですか?」
(2)摂取可能量 「どのくらい食べられますか?」
(3)発症症状 「食べたらどんな症状が出ますか?」
(4)食べられる食品 「食べられる食品は何ですか?」

中には対応に時間がかかる内容も入っていますが、アレルギー対応ができる専門スタッフがいる外食企業や来店まで時間的余裕がある場合には、ぜひ取り組んでいただきたい項目です。

(1)原因食品 「除去が必要な食品は何ですか?」

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イチゴもリンゴもバラ科の食べ物です

原因食品は、食物アレルギーの人に対応するために必ず必要な情報です。“具体的な食品”を“漏れなく”共有するよう心掛けてください。

食物アレルギーの人が意図する食品と料理提供者側が想定する食品が異なる場合があり、注意が必要です。例えば、アレルギーの人から申し出の多い原因食品に、「バラ科の果物」や「ナッツ類」などがあります。バラ科の果物にはイチゴやリンゴ、モモなど、ナッツ類にはクルミやカカオ、アーモンドが含まれますが、アレルギーの人は「お店の人は食べ物を提供するプロだから、言わなくて分かるだろう」という認識を持ち、具体的な食品名を省略する傾向にあります。認識違いからミスコミュニケーションが起こりやすいため、出来るだけ具体的に個別の食品を共有するよう心がけましょう。

(2)摂取取可能量 「どのくらい食べられますか?」

摂取可能量は、対応可否を判断する上で重要な項目です。しかし、アレルギーの人自身が具体的な摂取可能量を把握できていない場合も多く、必ず聞き取れる項目ではありません。

特に「完全除去」と言われる一切摂取できず、コンタミネーションにも注意が必要な場合は、具体的な対応方法の確認が必要となります。食器や調理器具、揚げ油や茹で水の共有など、お客様がどこまで許容可能かを確認し、対応できることと対応出来ないことを明確に答えられるようにしましょう。

また、原因食品が複数の場合は、それぞれ摂取可能量が異なります。一つ一つの食品について確認が必要なため手間と時間を要することをあらかじめ考慮しておくとよいでしょう。

(3)発症症状 「食べたらどんな症状が出ますか?」

摂取可能量と合わせて、発症症状についても確認すると、より安全な対応につながります。食物アレルギーの人の中には、一切摂取できなくても発症症状は「じんましんが出る程度」など軽い人がいる一方、一定量摂取が出来ても許容量を超えると「アナフィラキシー」など重い症状を起こす人がいます。特に症状が重い人の場合は、慎重に対応しましょう。

(4)食べられる食品 「食べられる食品は何ですか?」

原因食品が多岐に渡る人を対応する場合は、食べられる食品を把握することをおすすめします。食物アレルギー対策の目的である、“可能な限り原因食品を含むものを提供しない”ということは、“食べられるものを提供する”、と言い換えることができます。また、食べられる食品情報を共有することは、食べられない食品情報の裏付けとなり、前述(1)~(3)のリスク情報と合わせて、リスクマネジメントの観点からも有効な方法です。

<注意>あやふやな回答や対応はしない

食物アレルギーの人とやり取りをすると、把握しきれない原材料の問い合わせや、困難な対応を求められる場合があります。曖昧なやり取りは最悪の状況を招きかねません。良かれと思って行ったことが、全く逆の結果をもたらすこともあります。分からないことや把握しきれないことは事実を伝え、互いに納得できる段階までコミュニケーションを深めていくことが安全と楽しい時間の提供に直結します。

コミュニケーション密度とリスクマネジメントと安全の提供は繋がっている

これまでヒアリングしてきた企業のアレルギー対策から、リスクマネジメントの意識が高い企業ほど、食物アレルギーの人からの評価が高く、コミュニケーションに関しては前述の(1)~(4)を初期コミュニケーションの段階で実施しています。事故を未然に防ぎ、食物アレルギーの人への安全と楽しい時間を提供するためには、コミュニケーションの密度は重要な柱の一つと言えるでしょう。

アレルギー対応のための情報取得ができるアレコミュ

「アレルギー対応専門のスタッフが用意できない」、「オペレーションの兼ね合いで十分にお客様とコミュニケーションができない」また「より万全な対策をしたい」という事業者に向け、弊法人が開発した“アレコミュ”をご紹介させていただきます。アレコミュは食事を提供する事業者が食物アレルギーの人から事前に必要な情報を集めるWEBヒアリングツールです。

食物アレルギーの人からの問い合わせがあった段階でアレコミュ専用アンケートの回答を依頼し、事業者が前述の(1)~(4)の情報を一度に回収するという仕組みです。人と人とのコミュニケーションでは得にくい日常の食生活状況(外食情報、食材情報)も把握でき、アレルギー対応のためのコミュニケーションの時間と手間の削減と同時に、アレルギー対応の安全性を向上することができます。

アレコミュをご利用いただいている外食企業の方からは、「聞き漏れが無くなった」「安全な対応を把握しやすい」「コミュニケーションにかかる時間が減った」などの感想を頂いており、企業と食物アレルギーの人の課題を同時に解決できるツールとしてご利用いただいています。

食物アレルギーの人の外食問題は解決できる社会的課題

最後に、食物アレルギーの人の夢とまで言われている外食は、企業のリスクマネジメントと連動しています。つまり、企業のアレルギー対策のレベルアップは、食物アレルギーの人の安全・安心な外食を実現することとなります。昨今急増している食物アレルギーの人たち、そしてこれから先、ご自身やご家族が食物アレルギーになったとしても生きやすい社会をつくるために、我々のようなNPOの専門性を活用し、一緒により良い社会をつくっていきましょう。

当法人は、今後も食物アレルギーの人の安全・安心な外食ができる社会を目指し、企業のサポートを続けていきます。連載にお付き合い頂き、ありがとうございました。

執筆者プロフィール

今村慎太郎 (NPO法人アレルギーっこパパの会 理事長) 

当事者の視点で、飲食店のアレルギー対応の安全性向上、アレルギー対応に取り組む飲食店の社会的地位向上を支援しているNPO法人「アレルギーっこパパの会」理事長。アレルギー対応に必要な詳細情報を取得できるツールを飲食店に提供している。
アレコミュプロジェクトWEBサイト:https://www.allergy-communication.com/
アレルギーっこパパの会WEBサイト:http://www.arepapa.jp/

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