食物アレルギーコラム

食物アレルギーを持つ人の声2(外食)

田中あやか(フードコミュニケーション デザイナー)  2011年07月28日

 今回のコラムは「食物アレルギーを持つ人の声」第2弾として外食編をお届けします。もちろん、外食産業においても加工食品はなくてはならないものです。加工食品メーカーの方にも参考にしていただきたい情報がたくさんありますので、ぜひご一読ください。

※点線内のコメントは、2009年~2010年にかけての研究活動で行ったヒアリング内容をまとめたものです。主に、食物アレルギーのお子さんがいらっしゃるお母さん、お父さんに伺いました。

食物アレルギーに対する理解

外食に行きたくてもアレルギーのことを考えると低アレルゲンメニューのあるいつも決まった店に行くぐらいです。電話で問い合わせるのも店側の対応によっては嫌な思いをする事もあります。お店を営まれる方の食物アレルギーへの理解(コンタミネーション含め)とアレルゲン表示がもっともっと普通になっていくといいです。

 

 原材料についてたずねたところ、不誠実な対応で、携帯サイトで確認してくださいとの対応だった。7大アレルゲン情報だけでは不十分なので、再度お店の人に確認したが、適切な対応は得られなかった。外食店は自分の店のメニューの原材料を把握し、問い合わせがあれば答えられるようにしておいてほしいです。

 

 アレルギー情報を事前に電話にてお店に確認しているのですが、いつも親身に答えてくださり、感謝の気持ちでいっぱいになります。

  食物アレルギーを持つ方が外食を利用する際、最初に行なうのが「下調べ」や「問い合わせ」です。下調べの際は、PCや携帯のホームページに細かくアレルギー情報が書かれていると便利なようです。詳細な情報が掲載できない場合でも「食物アレルギー情報については、お気軽にお問合せください」などの文章があるとお店を利用する後押しになります。

 また、ホームページに法律通りの食物アレルギー情報を掲載していたとしても、人によっては足りない情報もあるため、さらに電話で問い合わせをする場合もあるそうです。問い合わせに対しては正直に「できること・できないこと」「確認しないと分からないこと」を伝えましょう。

 アレルギー対応を行う場合は事前に以下のことを確認しておくと安心です。

来店日時/来店者数/希望の座席/アレルゲンの種類/アレルギー対応レベル /発症時の対応

 ・来店日時
来店日時を前もって把握し、食物アレルギーについて理解のあるスタッフが対応できるようにします。また、来店前には、コンタミネーションや配膳ミスがないように、全従業員に確認しておきます。

 ・来店者数(アレルギー対応が必要な人数)
食物アレルギー対応が必要な方の人数を確認します。食物アレルギーを持っている方が1人であっても、同行者全員にアレルギー対応が必要な場合があります。小さなお子さんの場合、取り分けなどもありますし、配膳時や食事の際の飛沫により発症する重症の方もいらっしゃいます。その場合にはコンタミネーションを防ぐため、同じテーブルのお客様全員への対応が必要になります。

 ・希望の座席
通常のお客様にとって良い席が、食物アレルギーを持つ方にとっても必ずしも良いとは限りません。例えば、通路側の席は他のお客様に提供する食材などを運んでいる際に誤ってアレルゲンがかかる危険があります。希望を聞いておきましょう。

 ・アレルゲンの種類
食物アレルギー物質の25品目以外にもアレルギー反応が起こる場合が多々あります。ゴマ、じゃがいもなどにアレルギーがある方も多いようです。

・アレルギー対応レベル
アレルギーの重篤度は人によってさまざまです。あらかじめ、どのレベルの対応が必要か聞いておきます。

(1)原材料NG(原材料として使われているとNGだが添加物等として少量ならOK)
(2)少量NG(原材料だけでなく、二次原材料や添加物として少量使われているのもNG)
(3)コンタミネーションNG(原材料・二次原材料だけでなく、僅かな混入もNG)

 ・発症時の対応
軽い場合は、お客様ご自身が持っている食物アレルギーを抑える薬を飲むなどして治まることが多いかと思いますが、万が一の際は救急車を呼ぶことを従業員に確認しておきましょう。

店員さんはアレルギーに対する知識はないので、店頭ではアレルゲン表を開示してくれる店が親切で好ましい。このような店が増えたおかげで、弁当を持参することも少なくなり、助かっています。遠出が嫌じゃなくなりました。

 

お店のスタッフの知識の向上が不可欠だと思います。乳成分が入っていませんといいながら、マーガリン(乳入り)を使っていたり、牛乳は使っていませんといいつつバターは使っていたり、ちょっとした勘違いや原材料をしっかりとチェックしないで感覚で答えていたり・・・など命にかかわるアレルギーを持つ人にとっては重要なことだと思います。

  アルバイト店員を含め、全ての従業員が食物アレルギーの知識を持っていることが理想ですが、現実的には難しい部分も多いと思います。その点は、食物アレルギーを持つ方も承知していらっしゃいます。しかし、アレルギー対応をする場合は、ある程度の理解と知識がある従業員が対応をする、問い合わせが来た際には適当に答えるのではなく、本部で用意をした資料を提供するなどの工夫が必要です。

他の食材を直接触った手で他の食材を触らない、使い回しをしないなど衛生管理面をしっかりしてくださると不安が減ります。

 

以前、「アレルゲンプレートは出すのに時間がかかるので、他のお客様もそれに合わせていいか?」と言ってくれた。食事が来るのがいつも最後になってしまう息子にとって、皆と同じタイミング(しかも1番!)で運ばれて来てとてもうれしかったようだ。その心づかいに胸がいっぱいになりました。

  配膳時に誤ってコンタミネーションが起こることもあります。同じテーブル内にアレルゲンを含む食事をするお客様がいる時は、細心の注意が必要です。

米粉使用のパンが増えてきたのはうれしいと思いきや米粉グルテンや乳、卵が入っているものばかりで結局食べる事ができません。米粉のみで作られたパンを1種類でも置いていただけたらな・・・と思います!!

 

だし成分を含む塩は使わず、純粋な塩のみで作ってくれたので食べることができた。

 

アレルゲンプレートは他のお子様メニューに比べ華やかさがなく、子供にとっては少し物足りないようです。

 

アレルギー対応メニューはどこに行ってもハンバーグとカレーしかない。米を使った麺やパンのメニューも置いてほしい。

 

今後成人向けの低アレルゲンメニュー(単品で)が開発され、増えてゆくこと、アレルゲン除去の情報が拡大してゆくことを切望しております。

  食物アレルギーは子供に多い病気ですが、決して子供だけの病気ではありません。小学校高学年以上になると「お子様メニュー」では量も質も満足できないようです。「たった一つでもいいから、アレルゲンが使われていない大人も食べられるメニューがあればいいのに」という声をよく伺います。7品目(できたら25品目)を使わずに、野菜中心で薄い味付けのヘルシーなメニューがあれば、食物アレルギーを持つ人だけでなく、健康を気にする人やダイエット中の方にも楽しんでもらえるメニューになると思います。

外食はアレルギー児の夢です。今も「企業秘密だ」といって、原材料をおしえてくれない小さな店もあります。いつか息子を連れて外で食事をしたいです。

 

市販の加工品・惣菜がある程度食べられますので、外食産業でアレルギー表示がなされれば、実はもっと外食できるのではと思います。

 

魚介類のアレルギーがあるので、表示していただく場合、さば、さけなどと種類を絞るのではなく、魚介類全般に対しての表示があると嬉しいです。

  外食で食物アレルギー表示の義務がないのは「作る人にその場で聞くことができるから」という理由によります。加工食品と同水準の情報はすぐに出せなくてはなりません。できれば、全原材料を開示できるように準備しましょう。

出先では、携帯電話のサイトなどで、ぱぱっと情報を知りたい。[メニューの一覧]→[メニュー名をクリック]→[アレルゲンor原材料の表示]のようにすぐにアクセスできると良い。一覧表でずらっと並んでいるものは見にくくて嫌です。

 

私が疲れている時は、アレルギー情報をお店の人に聞くこともエネルギーがいるので、ケータイなどで情報が取れると助かります。

 

情報量の制限がない携帯電話などで個別表示をしてほしいと思います。「やめるため」の情報ではなく、「選ぶため」の情報が欲しいと考えています。

 

最近、ホームページ等でアレルゲン情報を公開しているお店(主にチェーン店)が増え、良くチェックしています。きっと食べられないだろう、と思い込んでいたものが意外と大丈夫だったりすると、うれしくて早速食べに出かけています。

  すべてのメニューについて、常に携帯サイトにアレルゲン情報を公開するのはなかなか難しいかもしれません。まずは、定番メニュー(定番商品)だけでも良いので、サイトに公開してみてはいかがでしょうか。

子供が小さい時はなかなか外食できなかったけれど、食べられるお店があれば多少遠くても行ってました。

 

アレルゲンを抜いたり、代替品でのメニュー提供がなかったとしても、理解して共感してもらえるだけで本人の心はあたたかくなると思います。共感してもらえたらきっと何かの形で子の心へ伝わることでしょう。

 

重いアレルギーの子を持つと外食もままならないですが、安心して食べられるお店でたまに外食できるととても嬉しく、毎日の食事づくりの息抜きになります。

 

初めて外食で食事をした時の娘のうれしそうな顔が忘れられません。それまでは外で食事をする時はお弁当持参で、お店の方に許可はとってあってもまわりの目を気にしながらの食事でした。(指をさされヒソヒソ話をする人の視線など)ですから、自分の目の前に、お店の人が運んでくれたお店のお料理が並び、それを口にできたことは、子供にとっても私たち親にとっても大きな一歩でした。やっぱり外食は楽しい時間であってほしいと思います。

  最後に外食を利用すること全般についてのご意見をご紹介しました。アレルギー対応の第一歩は、まずアレルギーに対する理解を深めることだと感じます。このコラムを読んでくださっている事業者の皆さんにはぜひ「理解」のその先にある「対応」や「メニュー開発」「アレルギー情報開示」に向け、その一歩を踏み出していただきたいと思います。

執筆者プロフィール

田中あやか(フードコミュニケーション デザイナー) 

慶應義塾大学SFC研究所所員、ほっとFOODnet代表、食品表示管理士、食育指導士。2008年より、東京海洋大学にて、ITを用いた食の情報公開と活用について共同研究を行う。
特に食物アレルギー情報に焦点をあてた調査研究で、複雑かつ膨大な食の情報を携帯電話などの身近なIT技術を使って消費者に届ける方法を探っている。

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