食の研究所

賞味期限切れ、いつまで食べても大丈夫? 学び直しの「消費期限と賞味期限」(後篇)

漆原 次郎(フリーランス記者)  2013年02月27日

要因を取り除けば長く保存できる

──前篇の話では、「賞味期限」は、開封前のものを指示通りに保存するという前提のもと、「製造メーカーが品質を確実に保証している期限」とのことでした。賞味期限が切れた食品、それに期限前でも開封した食品が、いつまで食べられるのかは身近ながら難しい問題です。

徳江 以前は賞味期限が切れたらすぐに捨ててしまう人が多くおりましたが、『賞味期限がわかる本』などの本を出したり、あちこちで講演をしたりして、だいぶ「賞味期限が切れてもまだ大丈夫だ」という考えが浸透してきています。

 では、賞味期限が切れた後や、開封をした後の食品を、どのように保存して、いつまで食べるか。それは、それぞれの方の知恵や感性の問題になってくるわけです。

──食品を長持ちさせる知恵には、どのようなものがありますか?

徳江 先ほど挙げたような、食品の劣化をもたらす要因を、できるだけ取り除くようにすることが、食品を保存する上では大切になります。

 例えば、水分を少なくし、酸素も食品から遠ざけるようにすれば、微生物が働きにくくなりますから、食品の保存性は保たれます。買ってきた生鮮野菜、肉、 魚などをペーパータオルで拭いて、さらにラップに包んで冷蔵庫にしまうと、食品によっては何日も長く保存できるようになります。

 私も、10枚1セットなどで売っている大葉を買ったときは、水できれいに洗ってからペーパータオルで水分を取り、1枚ずつラップして冷蔵庫に入れるよう にしています。これからお話しする日数はあくまでも目安ですが、2~3日で痛んで黒くなるところが、1週間は保つようになります。

 新鮮なものを棚に並べることが大事であるという点は確かにあるのでしょう。しかし、本当はまだ普通に食べられる半分の期間で処分してしまうのはもったいないことです。

 また、生の野菜には劣化の要因の酵素が含まれていますが、さっと湯がけば酵素はなくなっていきます。それを冷凍保存すれば、単に冷蔵庫に野菜をそのまま入れるよりも長持ちします。

 丸ごと買った魚も、すぐに食べないのであれば、内臓を切り落として3枚おろしなどにしてから、水気を取ってラップでくるみ、冷凍庫に入れると日持ちします

賞味期限後でも「違和感」がなければ大丈夫

──もう1つ、食べる人自身の感覚も大切ということですが。

徳江 ええ。講演会で来場のみなさんとお話をすることがありますが、お母さんと娘さんが「賞味期限から5年が過ぎたズワイガニの缶詰を食べたのですが、2人とも大丈夫でした」とおっしゃっていました。

 よく、「賞味期限からだいぶ過ぎた缶詰を食べても大丈夫ですか」と質問をいただきますが、「開けてみて、大丈夫という実感があれば、食べても大丈夫なのではないでしょうか」と答えています。

──大丈夫かどうかの判断をどのようにすればよいのでしょうか?

徳江 私がしているのは、臭いを嗅いだり、少しだけ食べてみたりして、少しでも違和感を覚えれば食べるのをやめ、違和 感がなければ食べる、といった判断です。みなさんも同じように、臭いを嗅ぐなどして、いままでとちょっと違うなとお感じになったら食べないようにすると いったことでご判断されたらよいと思います。

 賞味期限後や、開封から何日経ったものまで食べるかどうかといった判断は、その人が感覚をよく働かせることが大切なのです。

──感覚をよく働かせるようにするには、どうすればよいのでしょうか?

徳江 1つの手は、自分で料理をしてみることです。それにより、“本物の味の変化”が五感として分かってくるからです。

 例えば、ポテトサラダを自分で作るとします。ポテトやにんじんを茹でて、冷ましてからハム、きゅうり、りんごなどを混ぜて、マヨネーズで和えます。作りたてを食べれば、ポテトの味がふわふわとして美味しいとご本人が自覚します。

 その後、自分で作ったサラダを2日目、3日目と食べていけば、「すこし水っぽくなったかな」「すこし食感が変わったかな」と、作りたてのときとの違和感に敏感に気付くことができます。

 実はポテトは、ポテトデキストロースという細菌の培地にもなるくらいで、微生物が繁殖しやすいのです。コンビニエンスストアなどで売られているポテトサ ラダでは、なるべく日保ちさせるためにお酢などの酸味料が入っていることが多く、はじめから酸っぱいのです。味の微妙な変化に気付きづらい面があります。

 目で見る、鼻で香りを嗅ぐ、舌で味わい、食感を確かめる、耳で歯ざわりの音を聴く。食べものがまだ食べられるかどうか、五感を使った判断を大切にしていただきたいと思います。

執筆者プロフィール

漆原 次郎(フリーランス記者) 

1975年生まれ。神奈川県出身。出版社で8年にわたり理工書の編集をしたあと、フリーランス記者に。科学誌や経済誌などに、医学・医療分野を含む科学技術関連の記事を寄稿。日本科学技術ジャーナリスト会議会員。
著書に『日産 驚異の会議』(東洋経済新報社)、『原発と次世代エネルギーの未来がわかる本』(洋泉社)、『模倣品対策の新時代』(発明協会)など。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
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