食の研究所

味の社会学(第3回) 「知り合い自給率100%」ならば騙されない

菅 慎太郎(株式会社味香り戦略研究所)  2014年01月29日

「産地」や「農法」は「おいしさ」の証しか?

1990年代前後のグルメブームに端を発し、農産物、畜産物の「産地」や「品種」はおいしい食材の「証し」として浸透してきました。

お米ならば、「魚沼産コシヒカリ」がお米のトップランナーとしての地位を確立しています。肉なら「松阪牛」。大分で水揚げされる「関サバ関アジ」なども全国区の「ブランド」として浸透しています。

これらの「名称=おいしさ」という図式が、売り場にあふれる大量の食品の中から効率よくおいしい食材を選び出す「おいしさの証し」として機能してきたことは間違いありません。

しかしお米の世界でも、北海道産の「ゆめぴりか」や熊本県の「森のくまさん」など新しい対抗馬が出現しており、「魚沼産コシヒカリ」がいつまでもトップに君臨できるか危うい状況にもなりつつあります。

変わる「仕入れ価格」、変わらない「販売価格」

私たちが食べる「食品」の価格のあらゆるものが「時価」と表示されていたら、一体どんな印象を持つでしょうか?

下のグラフは、2011(平成23)年の東京都中央卸売市場の月別野菜の価格(円/キログラム)について、いくつかグラフ化したものです。

img_201401_1

東京都中央卸売市場の月別野菜の価格

これを見ると、添え物として馴染み深い「パセリ」は夏場には3~4倍にも跳ね上がり、1年を通して価格の変動が大きいことが分かります。また、野菜サラダなどに用いられる「ミニトマト」だって、冬場はさすがに値段が上昇傾向にあります。

野菜には「旬」があり、季節によって育ちやすい環境がある。夏野菜が冬に並んだりするのは、ハウスで温める燃料費がかかっていたり、「それなりのワケ」が存在します。

けれどもこうした価格の変動幅は、「販売価格」においてはそれほど反映されることはありません。しかしそれは、生産者が泣き寝入りしたり、小売段階での内容量調整によって「見た目上の価格」が安定しているに過ぎないのです。

ホテルの謝罪相次ぐ「食品誤表示」問題

相次ぐ謝罪や発表に、消費者はもはや怒りを通り越して諦めの境地になっているかもしれません。2013年10月22日に阪急阪神ホテルズのレストランで発覚した「誤表示」問題は、1企業にとどまることなく、全国各地のホテルやレストランが「誤表示」の発表・謝罪に追われました。

安価な「バナメイエビ」を「芝エビ」と表示、既成品のジュースを「フレッシュジュース」とするなど、品目も範囲も広範に渡っています。その理由も「無知だった」「無自覚だった」と、「過失」を強調したコメントに終始しているのです。

もちろん、「法の穴」もあったことは否めません。プロが作る外食産業には、材料や産地の表示を義務付けるJAS法は適用外です。法律を「知らなかった」のか、「理解していなかった」のか、各ホテルや料亭の会見でも真相は闇のままです。

「ホテル」というブランドさえ信頼ができないのならば、消費者は一体どうやって「食を選択」していけばいいのでしょうか。

執筆者プロフィール

菅 慎太郎(株式会社味香り戦略研究所) 

株式会社味香り戦略研究所味覚参謀、口福ラボ代表。味のトレンドに特化したマーケティングの経験を生かし、大学での講義や地方での商品開発や地域特産物の発掘、ブランド化を手がける。
キッズデザインパーク講師。日本味育協会認定講師。

<記事提供:食の研究所
JBpress、現代ビジネス、ダイヤモンドオンライン、プレジデントオンラインの4つのビジネスサイトが共同運営する「食」の専門ページ。栄養士が勧める身体にいい食べ方、誰でも知っている定番料理の意外な起源、身近な食品の豆知識、食の安全に関する最新情報など硬軟幅広い情報を提供。
食の研究所はこちらhttp://food.ismedia.jp/

食の研究所 バックナンバー



食品メーカーなど8000社導入!製品規格書クラウド管理システム BtoBプラットフォーム 規格書

メルマガ登録はこちら